第89回アカデミー賞は、映画『ラ・ラ・ランド』が作品賞を逃しただけでなく、受賞作品として誤ってアナウンスされ、我々にこれまでで最大の衝撃を与えた。これは何年にも渡っての話題となるだろう。ここに、ハリウッドの重大な夜に起こったその他いくつかの驚きを紹介する。
驚き:作品賞『ムーンライト』
アカデミー賞授賞式でこれほどまでに衝撃的な瞬間があっただろうか?映画『ムーンライト』が作品賞を受賞したが、同部門の最有力候補だった『ラ・ラ・ランド』の名が誤ってアナウンスされた。しかし、『ラ・ラ・ランド』のプロデューサーであるジョーダン・ホロウィッツは、「『ムーンライト』の仲間にオスカー像を手渡すことができて誇りに思う」とスピーチし、この夜で最も品格ある瞬間だった。
冷遇:デンゼル・ワシントン『フェンス』
今年の全米映画俳優組合賞(SAG)で主演男優賞を獲得するなど、デンゼル・ワシントンは、オーガスト・ウィルソンの名作戯曲をもとにした映画『フェンス』で自身3度目となるアカデミー賞の獲得に臨んだ。しかし結局は、映画『マンチェスター・バイ・ザ・シー』で英国アカデミー賞(BAFTA)とゴールデングローブ賞を受賞したケイシー・アフレックがアカデミー賞を獲得し、ワシントンはSAGの受賞のみに終わった。
驚き:主要2部門を受賞した『マンチェスター・バイ・ザ・シー』
ケネス・ロナーガンの高く評価された『マンチェスター・バイ・ザ・シー』は、確かに主演男優賞と脚本賞の最有力候補だったが、両部門で厳しい競争に直面したため確実視はされていなかった。とりわけ、デンゼル・ワシントンがSAGを受賞し、ケイシー・アフレックは同組合賞を逃したが、同作は2つの主要部門でアカデミー賞を手にした。
驚き:コリーン・アトウッド、衣装デザイン賞『ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅』
コリーン・アトウッドは、これまでに衣装デザイン賞で3度のアカデミー賞を獲得しているが、同部門で今年最有力候補とされていたのは、『ラ・ラ・ランド』あるいは『ジャッキー/ファーストレディ 最後の使命』だった。しかし、アトウッドは4度目のアカデミー賞を獲得した。映画『ハリー・ポッター』シリーズとしては初のアカデミー賞受賞作品となる。
冷遇:ライカと『Kubo and the Two Strings(原題)』
長編アニメ映画賞に加えて視覚効果賞にノミネートされたストップモーション・アニメーション映画『Kubo and the Two Strings(原題)』は、いずれの賞も逃した。それは、意欲的なアニメーション製作会社ライカが、映画『コララインとボタンの魔女』、映画『パラノーマン ブライス・ホローの謎』、映画『The Boxtrolls(原題)』に続き、ノミネートされたすべての作品でアカデミー賞を逃したことを意味する。
驚き:録音賞と音響編集賞
2つのサウンド部門の賞がそれぞれ異なる映画に与えられ、最有力候補だった『ラ・ラ・ランド』はそのどちらも獲得できなかった。音響編集賞は映画『メッセージ』が受賞、録音賞は映画『ハクソー・リッジ』が賞を手にし、ケヴィン・オコネルが20回目のノミネートで初受賞を果たした。
冷遇:映画『LION/ライオン ~25年目のただいま~』、映画『Hidden Figures(原題)』、映画『最後の追跡』
作品賞を含む複数の部門にノミネートされた高評価の映画(『LION/ライオン ~25年目のただいま~』は6部門、『最後の追跡』は4部門、『Hidden Figures(原題)』は3部門)が、手ぶらのまま会場を去ることとなった。
冷遇:ジェームズ・ラクストン、撮影賞『ムーンライト』
『ラ・ラ・ランド』と撮影監督リヌス・サンドグレンが撮影賞を受賞したが、Twitter上の多くのオブザーバーたちは、1990年代のフロリダを繊細なビジュアルで映し出し、作品賞を獲得した『ムーンライト』がよりふさわしい選択だったと感じたようだ。