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幹から枝葉へ、枝葉から幹へ
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幹から枝葉へ、枝葉から幹へ

2013-06-05 14:03
    幹から枝葉へ、枝葉から幹へ

    今回はメカAGさんのブログからご寄稿いただきました。

    ■幹から枝葉へ、枝葉から幹へ
    ネットでいろんな人の意見を見ていると、枝葉の部分の知識ばかりたくさん仕入れて、肝心の幹の部分の構築に失敗している人が多いと思う。

    たとえば物理で最初に習うのは、力と質量と運動の関係。この場合空気抵抗とか床との摩擦は無視して計算する。もちろん実際の世界は空気抵抗や床との摩擦が存在するから、計算とは一致しない。

    でも物事の基本的な関係を押さえておくことが大事で、その上で必要に応じて考慮すべき事象(摩擦とか)を増やしていくことになる。基本的な関係を疎かにして、表面だけ見ていると誤った認識に陥ってしまい、なかなかそこから抜け出せない。たとえば重い物の方が速く落ちるとか、天動説とか。

       *   *   *

    とはいえとりあえず表面からわかることから、内部の関係を推測しようというアプローチ自体は間違っていない。重い物の方が速く落下するというのも一面真実だろうし、天動説しかり。しかしもっと適切で便利なモデルが構築できるということ。

    誰でもよく知らない分野はとりあえず見よう見まねで判断するものだ。これは俺も同じで「なんとなく~だろう」みたいな(笑)。以前誰かが「○○は○○だ」って言ってたから、今回のケースもそうなんだろう、とか。

    ただなんとなく自覚はあるんだよね。「どうもしっくりこない」と。ただなぜしっくりこないかが自分でもわからない。何か自分の知識に欠けてる部分があるとはわかっても、なにを見落としているかわからない。

    「思考のバグ取り」 『メカAG』

    http://mechag.asks.jp/366561.html

    で書いたように、動いている台車から荷物を取り上げた場合、質量の減少は考えても、運動量の減少を考え落としているとか。

       *   *   *

    もしネットで「重い物の方が速く落ちる」が是か非か論争したら、「重い物の方速く落ちる」派が勝つような気がするんだよね。経験は圧倒的にそっちを支持しているはず。「○○で○○を落としてみたら、やっぱり○○の方が先に落ちた」と。両者が同じなら、綿ぼこりはいつまでも空中に漂ってることの説明ができない、とか。

    「落下」という現象を「重力による加速」と「空気抵抗」に分けて考えなければ正解にたどり着かないのだが、そこに到達するにはかなりのハードルを越えなければならない。おそらく途中に「同時に落ちることもあれば、重い物が先に落ちることもある」というよくわからない状態を経験するはず。

    でも大半の人は「何かの間違いだろう」とか「なにかよくわからない宇宙の法則が働いているんだ」といって思考を止めてしまう。「よくわからない法則」を解明するのは、誰でもできることじゃない。

    「重さ」と「落下速度」の関係を問題にしているのに、じつは「表面積(空気抵抗)」が隠れた要因として存在することを見抜くのは、特殊な才能が必要。それは「同じように見える」ものの違いを見出すこと。同じ重さでも表面積によって落下速度が違うという点にたどり着けるかどうか。

    多くの人は提示された条件しか考えない。「重さ」と「落下速度」。それにとらわれてしまう。なんかおかしいと漠然とは感じても、その呪縛から逃れられない。

       *   *   *

    ネットで断片的な知識は容易に手に入るようになったけれど、それは表面的な知識が多い。空を見上げて天体の動きを観察したら、地球を中心にすべての天体が動いていることがわかった、みたいな。あるいは窓から布団と鉄アレイを落としたら、鉄アレイの方が先に地面に落ちたとか。

    隠れている根本的な物事の関係を説明しているサイトは少ないし、あってもめんどくさくて誰も読まない。俺だってよっぽど必要性を感じないとわざわざ基本からきっちりと説明しているサイトなんて敬遠して読まない(笑)。だって欲しい情報がなかなか手に入らないんだもん。結論だけ「これが結論です」と3行ぐらいで書いてくれているサイトのほうが便利!

       *   *   *

    でもそれでいいんだと思うんだよね。だってそもそもそうやって人間は真理を解明してきた。最初は表面的な経験則を蓄積していった。しだいにそれを一貫して説明できる原理を考えるようになった。でもしばしばそれは間違っていて、また別なモデルを構築しなおした。

    学校の勉強は綺麗に舗装された道路のように、順番に学んでいく仕組みが整えられている。幹からスタートして徐々に枝葉へと向かっていく。親切だけれどゴールまであまりに遠く、「なんのために勉強してるのか?」ということになる。

    ネットで情報を仕入れるというのは逆で、生きたノウハウ集だと思う。打てば響くように役に立つ情報が溢れている。でもそれは枝葉であって、幹ではないから、隠れている根本的な法則は、漠然とネットを見ているだけでは学べない。

    まあ学ぶ必要もない。人間は興味を持つから「基本原理は?」と考え始めるのであって、大半のことはどうでもいいことだ。税金の計算方法やその意味なんて知りたくもない(苦笑)。

       *   *   *

    でも興味を持った分野は、せっかく興味を持ったのだから、枝葉から幹へと探求を深めていく方が面白いと思う。ただそのルートがあまりにもネットは整備されていない。

    小学校の理科の教科書なんかは、わりと枝葉→幹の順になってるものが多いと思うんだよね。身近な疑問から「それはなぜでしょう?」と考えを促す。

    でも中学になると基本から順に教える方法になる。幹→枝葉だ。なのでそのあまりに非日常的なギャップに辟易してしまう人が多いのだろう。

    学校教育をいまさらどうこういってもしかたないが、せめてWebで枝葉→幹というルートがあると良いのではないかと思う。知らないことを質問しても、いきなり「基本から勉強しろ」と教科書みたいなサイトを紹介されても、読む人は少ないだろう。

    執筆: この記事はからご寄稿いただきました。

    執筆: この記事はメカAGさんのブログからご寄稿いただきました。

    寄稿いただいた記事は2013年06月04日時点のものです。

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