「京都では明治政府の学制発布より3年も前に、64校もの小学校が町衆によって建てられていた!」――そのことを知ったのは9月15日、思想史家・関曠野氏を中心とするメーリングリスト「時代塾」での関氏の投稿によってだった。『よみがえる廃校』(「増刊現代農業」11月号)の締め切りは目前だったが、農村だけでなく都市部でも「学校は住民が自前で建てた」ことを示す格好の事例だと考え、急遽、関氏に原稿を依頼、大阪在住の元西日本新聞記者・渡邊美穂さんに「京都市学校歴史博物館」の写真を撮ってもらうことにした。

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番組小学校の歴史が展示してある京都市学校歴史博物館。旧開智小学校

 詳細はぜひ、『よみがえる廃校』の「『番組小学校』に結実した町衆の自治の精神」をご参照いただきたいが、ここでは概略を紹介したい。

 幕末動乱のさなか、新時代の到来を予感した京都の画家、書家、香具商など市井の知識人の寄合があり、彼らは福沢諭