名前:篠原 孝(しのはら・たかし)
政党:民主党衆議院議員
選挙区:長野1区
生年月日:1948年7月17日
血液型:B型
座右の銘:身土不二(しんどふじ)
趣味:テニス、野球、読書
好きな食べ物:りんご
お気に入りの店・ショップ・ブランド・グッズ...など:買いものは主に地元のお店で。ブランド等こだわらない。あえていうなら地産地消で国産品を購入。
ホームページ:http://www.shinohara21.com/
Q1:なぜ政治家になろうと思ったのですか?
私は55歳で立候補をしました。1996年から羽田孜(はた・つとむ)元首相、堀込征雄衆議院議員、北沢俊美現防衛大臣の3人から「長野1区で選挙に出てほしい。民主党は都市政党のままでは政権交代できたとしても再び政権がひっくり返ってしてしまう。そうならないためにも田舎の律儀な有権者に支えられた議員を多くつくっておかなければならない。そのためには農政が必要で、君に農政を任せるからぜひ民主党に参画してくれ」と言われて立候補しました。
Q2:政治家になる前はどのような仕事や活動をしていましたか?
霞ヶ関(農水省)に30年間いました。2回生以上の民主党議員で、私以外で霞ヶ関の管理職を経験しているのは、財務大臣の藤井裕久さんを含めて5名しかいません。他の官僚出身議員は10年間も所属しておらず、ろくすっぽ霞ヶ関を知りません。霞ヶ関とのつきあい方を見ていると、どうもトンチンカンに感じます。
Q3:どのような政策にいちばん力を入れていますか?
農政ですね。現に私は農業者戸別所得補償を2004年に打ち立て、民主党の農政の柱にし、ずっと同じ政策で戦ってきました。農政はプロじゃないとわかりません。農政の法案を通すには、「落としどころを探って合意する」という感覚が必要です。
こんなこと言ってはなんですが、民主党の人たちは企画・立案はできますけど、国会で法案を通すことは本当にヘタクソです。みんな青年の主張コンクールや弁論大会の優勝者のような人ばかり。農政はそれでは進みません。
Q4:日本をどのような国にしたいですか?
先ほどの政策にも絡みますが、私は「農的循環社会への道」(2000年8月、創森社)という本を書きました。日本は大国ぶるのではなく、中肉中背の中ぐらいの国であり、分際をわきまえて生きていけばいいと思います。他国から原材料を取り寄せて輸出して儲けるのでなく、国内で回してみんなで仲良くやっていける社会にすべきだと思います。貿易などは減らすべきだと思います。食べ物の世界では地産地消・旬産旬消と言いますが、食べ物だけでなく、無駄なエネルギーコストをかけないのが一番良い。そんな国にしたいと思います。財界からすると、そんな国にしたらたまらないかもしれませんが。
Q5:今回の「政権交代」をどう感じましたか?
いいことだと思います。
ただ組織をいじくるのはもう少し時間が経ってからでいいかなと思います。組織に属している人ならわかると思いますが、新しいことを始める時より、組織を変える方が時間とエネルギーが必要なんです。それをいま一挙にやっているので、ひっちゃかめっちゃかで危なくて見ていられません。その点、小沢さんはピシッとするノウハウは心得てます。
Q6:民主党の政権維持のポイントは?
あまり急ぎすぎず、1つずつ政策をきちんとやり遂げることです。そうすれば国民は納得してくれるのではないでしょうか。例えば菅直人さんが執着してきた高速道路無料化は7割以上の有権者が反対しています。もしCO2対策をするのであれば、CO2を出している車とそれををバックアップしている道路から上がってくる税収を森につぎこむ、というような柔軟な政策の転換をしてもいいのではないでしょうか。
Q7:自民党は再生できると思いますか?
再生してもらいたいです。二大政党の一つとして。消滅してもらっては困ります。しかし、10年間ほど政権野党にしておかないと再生できないと思います。次の衆院選は民主党が勝ち抜き、10年間ぐらい与党としてやっていけばそのことが自民党再生のためにもなります。自民党は苦しんだらいいと思います。
Q8:企業献金廃止に反対ですか?賛成ですか?
賛成です。だから政治資金規正法改正案を今年6月1日に提出しました。翌月鳩山代表の故人献金問題で急に審議されるようになりましたが、その審議でも私が答弁に立ちました。提案者は私と岡田克也さんと他3名でした。
企業献金はこれから3年で廃止し、個人献金だけでやっていきます。そのかわりお金が少ないですから、私も大変です。私の場合は2008 年は完全に赤字。今年は選挙がありましたので、さらに赤字です。これが政治家の実態ですよ。
Q9:読者からの質問
─「WTO」体制からの離脱を含めて貿易自由化完全実施すること見直すのか。(投稿者: 八代勝美 | 2009年9月29日 12:13)
世界貿易協定(WTO)のラミー事務局長とも議論してますが、自由貿易のテーマが少なくなりました。その一方で、各国が食料・農業政策を自主的に決定する権利である食料主権というものを全面に出してきています。私は、自由貿易というものは10年、15年後には過去の理屈になっているんじゃないかなと思います。地域でできたものをその地域で食べるというのが絶対に良い。食べ物だけではなく、電気についても送電ロスが少なくなります。
─自由化をめぐってマニフェストを修正するということがありましたが
当時の直嶋政調会長が米国も要求していない米国とのFTAを締結すると先走って書き、あわてて菅直人さんが修正記者会見しました。どこの手続きも踏まずに出していました。これは噴飯物だし懲罰すべきだと思います。
「透明性」「情報公開」と言いながら、党内の人間が知らないうちに文言ができあがり、公表するというのはいかがなものかと思います。それに関係した役人が結果責任を問われ、給料も役職も下がるような影響が出ました。また、農村部にも影響を与えましたから、当然懲罰すべきです。しかしその政調会長は現在経済産業大臣になっています。とんでもない話だと思います。
Q10:最後に一言を!
(長野1区の有権者から得た)16万票の付託はちゃんと成し遂げなくてはなりません。この次の選挙を民主党が勝ち抜くように進めて行かなくてはいけません。このままでは政権が次の参院選で終わってしまうような可能性もなきにしもあらずと思います。これを阻止しないと羽田さんの付託に応えたことにはなりません。
今回はおそろしいことに都市部で民主党の候補者がみんな当選しています。「もう農政なんていいや」という安直な気持ちが民主党幹部には広がっています。田舎の農民はそれを敏感に感じています。民主党はのぼせ上がった巨大与党でなく、謙虚な与党になってもらいたいです。
あえて言うなら「減らず口」ですかね。
僕は政治家には向いてないと思っていますが、菅直人さんには「政治家に向いている」と言われたことがあります。その理由を聞くと、「篠原さんの激烈でシニカルなモノの言い方、率直で走りすぎる筆といい、役人時代はさぞかしご苦労されたでしょう。その点政治家は言いたいことを言っていいんです。民主党は党議拘束違反も厳しく問いません。自由にやっていただいて良いんです。ただ一つ、有権者に対して絶対的な責任を負い、次の選挙でそれを判定されるだけです」と。私は「ああ、この党首(当時)はいいこと言うな」と思っていたのですが、それでは終わらないんです。でも、菅さんはオチとして「篠原さんは政治家には向いてますけど、党内出世は見込めませんからね」と言いました(笑)。「党内出世なんていらないよ!」って言い返しましたけどね。
『農的循環社会への道』
2000年8月、創森社
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