「小飼弾の論弾」で進行を務める、編集者の山路達也です。
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今回は、2019年6月4日(火)配信その2をお届けします。
次回は、2019年8月6日(火)20:00の配信です。
お楽しみに!
2019/06/04配信のハイライト(その2)
- シェルの話題とMac Proの「電気食い過ぎ」
- Microsoft de:codeとHoloLens、MicrosoftのブランドとWindows
- プログラミング言語とプログラマーの好き嫌い
- 減りすぎて「特殊な事件」になってしまった日本の殺人
- 『白い巨塔』リメイクと時代との対応
- 自己責任論と「親の私刑」と「一人で死ね」
シェルの話題とMac Proの「電気食い過ぎ」
山路:じゃあどうしましょう。WWDCで他にポイントになるようなところって、他にあったりします? マニアックなところだと、デフォルトシェルがzshになると。
小飼:ええ? そうなの?
山路:bashからzshになる。
小飼:でもどのみち、僕はずっとtcsh使ってるので。
山路:ああそうですか。
小飼:なんか凄い、自分がオッサンに感じるよね。いや本当に大学生の頃からだったもんね。僕が大学にいる時に、tschという、要はコマンドヒストリを編集できるtcshが出てきたということで、こりゃいいわということで使って来たんですけれども、そうしたら普通のBourne Shellもbashで追いつき追い越せで、zshはもっといろいろあって。
山路:あのう、私そんなにコマンドシェルを多用するというわけでもなくて、本当に基本的なことしかやんないのであれなんですけど、シェルの違いってそんなに重要なんですか?
小飼:けっこうクリティカルなところはクリティカルなのよ。特に標準出力と標準エラー出力を使い分けたい時とかっていうのは、けっこう。
山路:だけど、アンパーサンドとかあんなんで、切り換え、どのシェルでも。
小飼:書き方が違うんですよ。
山路:ああ、そういうことか。
小飼:BourneShellとtcshと、あとzshはzshの流儀があるし。
山路:でも、今ってそういう何かのシェルスクリプトみたいなものって、基本的にみんなbashというか、あれを基本に前提にしてるんじゃないですか?
小飼:いちおうタテマエとしては、bashとかtcshとかzshとかそういうのは何もついてない。/bin/shで動くというのがタテマエではなってます。でもね、Linuxの人とか区別せずに、これbashじゃなきゃ動かねえだろうっていうシェルスクリプト、ガンガン送ってくることあるからね。逆にそういうのが気になる時とかっていうのは、他のプログラミング言語Perlとかで、Pythonとかを使った方がいいかもしれない。
山路:コメントでもシェルの話題で盛り上がってる。fish、ああ聞いたことありますね。
小飼:まだ標準じゃないでしょう。けっこうシェルというのは、超保守的な面というのがあって、僕ももう30年近く、30年か、tcsh使っているのと同じような。
山路:なんかあるあるで皆、なんか納得、共感してるところがあるみたいですけどね。今回のWWDCは基本的にその新製品はMac Proとかディスプレイくらいで、別にiPhoneの新製品は出なかったんですけど。
小飼:Mac Proは、フル装備するとおいくら万円くらいなんだろうね? だってあれ1万ドル切る構成って、ディスプレイまで含めるとありえないよなという。
山路:どこかの記事とかが、仮に今のコンポーネントとかを元に算出すると500万円くらいになるみたいな数字出してるところありましたけどね、メインメモリとかも目一杯積んで、SSDとか。
小飼:まあでもそんなもので収まるんだ。そんなもので収まるんだ。
山路:500万ってけっこうな値段じゃないですか?(笑)
小飼:だけれども、あれよりもさらに……でかいワークステーションとかで、たとえばメモリが3テラ載る、CPUのソケットが2つついているみたいなやつだと、30万ドル近く、あるいは30万ドル超える構成とかっていうのもありうる。
山路:へえ! 普通の住宅が買えるような価格。
小飼:流石にあのレベルだと食指もわかないというのか。まず値段以前に、ちょっと電気食い過ぎだよね。
山路:1400ワット。
小飼:ちょっとうちの配電盤見直さなければ。
山路:検討はしてるんだ(笑)。
小飼:いちおうちょっとは考えたけども。
山路:あんだけのマシンパワーいるのって、動画とかの編集とかじゃないんですか?
小飼:でも今ProでないiMacで間に合っちゃうからな。
山路:じゃあいらないんじゃないですか(笑)
「でも何に使うの?」(コメント)
「1400ワットだとすぐブレーカー落ちるだろう」(コメント)
「何アンペア必要なんだろう?」(コメント)
小飼:でも、うちはウチ全体で100Aあるんで、置こうと思えば置けるけども、でも今普通のうちというのはメインブレーカーがあって、サブブレーカーがセクションごとに分かれてて、そのサブブレーカーのサイズって確か20Aなんですよね。
だからディスプレイも繋げると落ちる。だからちゃんと分けておかなければいけない、サブブレーカーを。
「常にドライヤー使ってる感じ?」(コメント)
小飼:それいい例えだわ。
山路:でも若干ダサいですよね。もう排熱を優先したようなデザインですよね、本当に。
小飼:うん、やっぱりあれでチーズをおろさないとね。
山路:あれそんなに鋭い穴じゃないらしいですけどね(笑)。なんか割と窪んでて。
小飼:でも遠くからみると本当にチーズをすりおろしそう。
山路:あと9月、iPhoneとかいつも出てますけど、それに関するヒントみたいなものってありましたかね? 今回のそのOSはのiOS13とか、それって9月に出る新製品とか、あるいは来年に向けての布石みたいなものって感じたりしました? なんかARKitとか新しくなったりとか。
小飼:それとSwiftUIは向こう数年という感じでしたしね。
山路:開発環境が浸透していくのに、ああ完成レベルに行くのにということですか。うーん。あとはそうかまだARKitも確かにバージョンアップはしてたけど、なんかARグラスが今年来年に出るという感じのニオイはしなかったような。
小飼:ぜんぜんしなかったね。でもいきなり出すのがAppleではあるけど。でも。
山路:アプリがないと。
小飼:Apple Watchですら最初の製品が出る前に下馬評というかはあったからね。
Microsoft de:codeとHoloLens、MicrosoftのブランドとWindows
山路:どんなに早くてもそれらしい話が出てくるのは来年以降という気はまぁしますけどもね。じゃ、Microsoftの話、いきましょうか。Microsoft、このMicrosoftの日本でやったイベントはde:code。
小飼:de:codeといいます。de:code19。
山路:これ世界的にやっているのは、Microsoft Buildのほうでしたっけ? なんかいくつかありましたね。
小飼:アメリカでやってるのがBuildで、それを日本で再生という言い方も変ですけども、したイベントというのが、de:codeという。
山路:この発表、目玉というのか、
小飼:HoloLens 2だったんですけども、人気がありすぎたのか、HoloLens 2の全員のハンズオンはなくて、入場券がガチャ券にもなってて、そのガチャに当たった人というのは、HoloLens 2をハンズオン出来るという。
山路:貰えるわけじゃないんですね。
小飼:貰えたら凄いよな。
山路:なんか、そうか、試せるのがもうガチャなんですね。
小飼:うん、人気ありすぎ。人気ありすぎてというのか、人入れすぎたかな、箱の大きさに対して。
山路:それって千人とか数百人くらいは来てた感じなんですか?
小飼:まあ千人オーダーだったと思いますよ。あれは。芝公園のプリンスホテルでやってたんだけれども。ちょっと箱が小さいというのか、人が多すぎというのか、ちょっと人口密度が厳しかった。
山路:HoloLens 2自体はもうすでに発表はされてたもんですよね。確か反応が凄え速くなったりとかしたりという。
小飼:頭の後ろのほうにも部品を突っ込んで、かなりバランスがよくなったという。
山路:それは体験できなくて残念でした。
小飼:こればっかりは実際に被ってみないと。まあでもGOROmanさんに被せてもらった、始めのHoloLensもかなり。
山路:ああGOROmanさんの。
小飼:かなりいい出来でしたからね。まあでも3000ドルだっけ? HoloLens 1。
山路:そんなものですよね。30万円くらいはした。
小飼:まだちょっと高いよな。
山路:なんか今回のHoloLens 2って多少安くなったんでしたっけ? あれ? 同じ値段で性能がよくなったんでしたっけ?
小飼:同じ値段でだと思いますよ。やっぱりHoloLens 1もHoloLens 2も、これあくまでも外から見た感じなんですけども。量産しにくそうだなあ。少なくともOculus goとかOculus Questみたいにはいかないだろうなっていう。
山路:組立作業の工数がかかりそうな構成ではありますよね。
小飼:そうそう。
山路:de:code自体のメイントピックはHoloLensというか。
小飼:だけではないんですけどもね、Azureの話とか、けっこう面白い話をいっぱい聞かせてもらったんですけども。
山路:やっぱりMicrosoft、開発会議のメインの話題っていうのは、クラウドになるんですか? それともあるいはOfficeか。
小飼:クラウドのトラックが1番多かったんですけども、やっぱり圧倒的人気はHoloLens 2でしたね。
山路:あはは(笑)
小飼:圧倒的に、こんなに近くにあるのに、ああ被りてえなあ、でも手が届かないなというのがHoloLens 2でした。
山路:これクラウドで面白かったのはどの辺です? クラウド関係の発表で。
小飼:ああ、やっぱりあれかな、ゲームへの応用かな。ゲームでもSQL叩きまくってるゲームがあって。
山路:それは今までだったらデータベースとのそんな頻繁なやりとりが難しかったけども、それが出来るようになったという話なんですか?
小飼:じゃなくて、今のオンラインゲームというのはまさにそうで、ロジックというのは殆どクラウド側にあるんですよ。
本当に端末はディスプレイという感じで。Googleが出したStadiaみたいなものっていうのは、本当にリモートディスプレイで出来るぐらいな感じなんですよね。だからソシャゲというのは、レイテンシーもわりと甘いし。
山路:なんかユーザーのステイタスをある意味データベース上で変えているだけともいえる。
小飼:いや、もちろんリモートディスプレイみたいにしたら、パケ死するというのは必須なんで、実際は状態変化だけやりとりをして、手元側でレンダリングしているではあるんですけども、その時に、サーバ側でどうやってデータを管理しましょうかという時に、もう素直にSQLを使える時代だと。
山路:今まではそういうSQLのデータベースっていうのは、そんなに素直には使えなかった? もっとプログラマーのほうで運用、工夫しなきゃいけんかったとかそういうことなんですか?
小飼:まあ余計な気、オーバーヘッドが大きかった、それにつきますね。だから何でも出来るけれども、出来ることが多すぎて、これを徹底的に早くやりたいといういうのは、やりにくかったのね。でも今はそのまま、力づくで書いちゃってもそこそこ動くものが出来ますという。
山路:あと、AIりんなが、なんかいろいろde:codeで出てきたみたいな話も聞いたんですけど。
小飼:そうそっちのほうね、あんまり見れなかったのよ。
山路:ああ、そうなんですか。なんか社長がプロのダンサーの踊りっていうのを、Microsoftの日本法人の社長が、社長の人物のデータを使って。合成でダンスをさせるみたいなやつを。それはちょっと見れなかったわけですよね。そうかそうか。
小飼:でも何と言えばいいのかな、今、MicrosoftだけがGAFAの中で、Microsoftが固有に持っているものっていったらやっぱり圧倒的にHoloLensになるので。
だってAzureはAWSとGCPという、強敵がいてチャレンジャーの立場じゃないですか。今のMicrosoftって、全部。競合がいるんですよね。
山路:これ日経でちょっと載ってた記事をリンク出したんですけど、開発会議で見えた期待と懸念みたいな話でMicrosoft、今消費者向けのあんまり強力なブランドを持ってないよね。
小飼:強いていえば、ああそう、Minecraft。でもMinecraftのデモ、もうWWDCのARのやつのほうが面白かったっちゃあ面白かった。あれは消費者向けですよね。まさに消費者向けですよね。でも昔に比べると何と言えばいいのかな、Minecraftが買収した事業も、昔のブランドをそのまま使うようになったなと、Microsoft化あんまりしないよなというのが、ちょっと印象深いところですね。
山路:Microsoft Minecraftって言ってないですもんね。
小飼:そうなんですよ。WWDCのデモの時でも、Mojangのままでしたね。1番感じなかったのがWindowsでしたね。de:codeでなんか1番存在が希薄だったのが、Windowsでしたね。
山路:最近Windowsの、WWDCとの対比でアプリのことについていうと、Windowsのアプリって今までずっとwin32のAPIとかを使ってきたのが、そのUWPでしたっけ? なんか新しいそういうAPIに移行しようとして、でもあんまりそれが開発者が移行してくれなくてみたいな、そういうことを言ってたりしますけど。そういうWindowsの開発っていうのアプリ開発みたいなところっていうのは、昔ほど盛り上がってないんですかね? そういうWindowsも目立たなかったり。
小飼:そう、面白い分野ではなくなった感がありますよね。というのか、Windowsアプリで一儲けネタというのが確かに見つからなくなってきた。皮肉かもしれないけれども、ウィルスバスター的なものというのは、確かに儲けを期待出来たわけですよね。
山路:ウィルスバスター的なっていう例えが凄いけど(笑)
小飼:今、だから本当にソフトウェアで一山当てようと思ったら、やっぱりスマホ用のアプリがでかいんですよね。
山路:Microsoftって結局アプリストアであんまり上手く行ってないですよね、なんかそのMicrosoftストアでしたっけ? そういうWindowsから買える、結局ゲームとかもまあ、なんかそこで有料のをバンバン売っていくという感じではなかったりして。
小飼:いやだからこれはWindowsでなければダメでしょうというのが、ゲーミングなんだけども、でもゲーミングもWindowsの機能はあんまり使ってないよねと。もうあれだよね、App Launcherだよね、であれば、Linuxでもいいじゃんというふうになりつつあるよね、Steamとか。
山路:そうなんですか。Steamのゲームって、なんかあれはWindows用というよりは、もうUnityで作られて、Windowsがlauncherになっているだけなんだ。
小飼:そうそう。
「Windowsサーバの将来はいかに?」(コメント)
山路:Windowsサーバとかの話ってでました? このde:code。
小飼:あったはずなんだけど、僕はそのセッションには出てない。あったはずなんだけれどもという、ちょっと希薄になっちゃったというのか、だって、AzureでLinuxも動くじゃん。LinuxどころかFreeeBSDですら動くじゃんみたいな。
ただWindowsサーバというよりも、Windowsサーバ直にではなくって、たとえばゲームで使うSQLサービスにしても、SQLサーバが凄く安くていい感じだよ、みたいな。
山路:さっきのやつでも、記事なんかでも消費者向けブランド、その商品がどんどん空気のように、クラウド事業なんかで力を入れているのは、それはそれで成功して凄いんだけれども、消費者、次世代の若者たちが知らない会社になるリスクがあるということをこの記事で書いてたんですけど。
小飼:まあIBM的なね。今も昔もIBMというのはちゃんと儲けを出している会社だけども、どこで儲けを出しているのかっていうのは、やっぱり変わって来てるからね。
まあでも、開発者であれば必ず付き合いが生じる会社でもあるんだよね。なんといっても、GitHub持ってるからね。
GitHubのセッションもありましたね。あったけれども人が多すぎて、僕は遠慮した。満席のが続いてて、もう少し箱のアロケーション考えておいて欲しかったな。
山路:なるほどね。あとこのGoogleI/Oとか、FacebookのF8とかも5月に行われて、とりあえず、AmazonのAWSはちょっと時期が違うかな? Amazonは別にしても、だいたい大物がこの5月6月とかでだいたいの方針、開発者会議出して来たんですけど、それなんか概観して、これが面白かったとかなんかそういうのってあります? Google、Facebook、Microsoft、Apple……。
小飼:ええとねものすごい正直に、ぶっちゃけてしまうと、つまんねえなと。
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