「小飼弾の論弾」で進行を務める、編集者の山路達也です。
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 今回は、2020年09月29日(火)配信のテキストをお届けします。

 次回は、2021年02月02日(火)20:00の配信です。

 お楽しみに!

2020/09/29配信のハイライト

  • カフカスの紛争と「トランプの払った税金750ドル」
  • TikTok差し止め問題と「半導体に関して中国には勝ち目がない」
  • EVトラックニコラとEVの難しさ
  • ベーシックインカムの財源は「社会相続」がいい
  • 「一世代遅れのマイナンバーカード」とデジタル庁は「仕事を増やすのでは」
  • 「NTTドコモ子会社化のインパクト」が弱まった
  • 株主議決権の未集計問題の大きさ

カフカスの紛争と「トランプの払った税金750ドル」

山路:今日は……先にいくと「どこ?」っていうコメントがいきなり来てるんで、そうそう、全く違うところに見えたんですが、スタジオを改装しまして。配信、

小飼:そうなんです、スタジオが異世界になったんですね。

山路:かなり、なんというか今までの愛想のない背景から比べると、アナログゲームとかでおしゃれな感じになりましたね。これ全部なんかほぼ私物みたいですけれども。スタッフのなおやさんの。

「はねたトラックが良かったんだろう」(コメント)

山路:「はねたトラック」ってなんですか(笑)

小飼:いや異世界です。

山路:異世界(笑)。それをどうやって背景にするんだかわかんないけれども。今回タイトルはいちおう、ベーシックインカムになってるんですけれども。始まる直前になんかえらいやたら今日ってでかいニュース多くなかったですか。

小飼:多いですね。なんか今週末から、今週末じゃない、この場合、あれ、週っていつ始まる? いつ始まり、日曜始まり?

山路:私、カレンダーは月曜始まり。普通は日曜始まり多いのかな。

小飼:じゃあ先週なのかな。

山路:司法省がGoogleを訴えようとしてるとか。さらには今日なんかはもうNTTがドコモを子会社にするとか、その他もろもろ、相当でかいニュースが多かったんですけれども。

小飼:でも一番大きな大きいはずのニュースというのはアルメニアとアゼルバイジャンの間に戦争が始まって。

山路:はいはい。

小飼:戦争って言っちゃっていいのか。でも少なくとも、アルメニアの方は成人男性を全員動員

山路:徴兵したっていう

小飼:動員っていう言い方をしてますね。だから英語で言うとmobilizationっていますけど。

山路:それは徴兵は普段からあるって事なんですかね、もしかすると。

小飼:それはあるというのか、国力違いすぎるんだよな。

山路:アゼルバイジャンが東のほうですよね。

小飼:いえ、西です。ごめんごめん、アゼルバイジャンが東側です。東側で、カスピ海の、西海岸にあるのがアゼルバイジャンで。

山路:隣がアルメニア。兵力が違うっていうのはアゼルバイジャンの方が圧倒的に強い。

小飼:圧倒的に金持ってるんで。石油が出るぶん。

山路:人口は確かアゼルバイジャンが1000万人ぐらいで、アルメニアが300万人とかなんかそんな様な。

小飼:そう、だから国力違いすぎるんだけど。

山路:アゼルバイジャンはなんでそんなに国力があるんですか。

小飼:アゼルバイジャンに国力があるというより、アルメニアに国力がないんだけどね。ろくに資源ないし。

山路:その割には何か、アルメニアあってえらく持ってると言うか

小飼:まぁなにせロシアが支持してるんで。こう言うのもなんだけど、アゼルバイジャンに対する楔じゃないか、あれは。で、領土とか見るとすごいんですよね。まずアゼルバイジャンも、こっちが東側だとしては、アゼルバイジャンがここにあるとしって、アルメニアはここにあるんだけども、アゼルバイジャンの飛び地がここにあって。しかもアゼルバイジャンの中の山のとこにカラバフという、ナゴルノ・カラバフという場所があるんだけど、これはアルメニア人が実効支配してるという。

山路:戦争が絶対起こる感じの配置になってる。

小飼:そうそう、どうすれば仲良くできるねんっていう配置ではある。

山路:今回これ、ドローンが使われたりとかしてるんですか。

小飼:そうそう。

山路:もう実戦にドローンが投入されてたりする。

小飼:そうそう。しかもアメリカ軍が使ってるような、通信を衛星経由でやるようなデラックスなやつではなくって

山路:ラジコンで飛ばすみたいな

小飼:そうそう。

山路:それに手榴弾ぶら下げてみたいな感じなんですかね。

小飼:いやいや、それで対空ミサイルサイトを潰してますからね。あの画像がフェイクでないとしたら。むしろフェイクするほうが難しいんじゃないかな、どうなんだろ。

山路:へええ。いやなんかこれって何て言うのかな、どれぐらいでかい戦争、戦争と言うか戦いに影響になるんだろうかと……

小飼:人によれば、一次大戦のセルビア皇太子暗殺みたいなことを言う人もいれば、しょっちゅう紛争は、インドパキスタンみたいな感じはあって、しょっちゅう戦争まではいかない紛争をやってては、だからいつのまにかなぁなぁになってるっていう意見もあるんですけども。
 ほんとに頭を抱えるような場所ですよね。両国のすぐ南にはイランがあって、西にはトルコがあって、北を見るとロシアで、さらにすぐ西隣にはジョージアが、グルジアがあるという。

山路:なんというか日本は昔、戦国時代なんかには細かい国に分かれてたりしたじゃないですか。

小飼:はい。

山路::早めに天下統一されてまだラッキーだったんですかねっていう。

小飼:いや、でも日本土地の広さで言うと狭くはないけど、たとえばヨーロッパの国に比べると、日本よりも広いのはスペインとフランスだけなんで。待てよ、スウェーデンがあるか。北欧まで含めると。だからこの三つだけなんですよね、日本より広いのは。でもその一方、カリフォルニア州1個より狭いわけです、日本というのは。しかも島ですから。

山路:いや、それにしても細かく、細かいやつに分かれて争いすぎやろっていうのがありますけれどもね。いくらなんでも。

小飼:いや、細くもなくてけっこう広い国ですよ。

山路:いや、人口レベルで言ったらかなり

小飼:人口レベルで言ったらね。

山路:そのアゼルバイジャンでも1000万人とかそういう

小飼:というのか、かつてはどちらもソビエト連邦の一共和国だったわけです。でもその頃から仲が悪くて、こう言うのもなんですけども、ユーゴスラビアが可愛く見えるぐらい仲が悪かった。

山路:ユーゴスラビアが可愛く見えるレベル(笑)。いやな喩えだな(笑)

小飼:いやな喩えですけど。

山路:ちょっとこれはまだあのアゼルバイジャンとアルメニアの戦闘に関してちょっとどうなってるのかってのが、詳しい情報ってのはよくわからないんで。

小飼:普通こうなってると、こういうことがあると原油価格がポーンと上がるんだけど、今はパンデミックのおかげで(笑)

山路:ダブついてるから。あらゆるとこで予想外の事が起きてるな。

小飼:そう、だからオイルダラーもやばいんですよね、あのパンデミックの。原油がダブついているという。

山路:そうか、こんな黒海油田みたいなものとかもぜんぜん、カスピ海とかあのへんのやつとかも

小飼:だからけっこういろいろな物の常識が止まってるから。だからそうやって考えてみると、やっぱりパンデミックは凄いんだなと。

山路:じゃあまず最初の話題、これもでかい話題なんですけれども、トランプが税金を払ってなかったと言う(笑)

小飼:これはどっちかって言うと「まさか」ではなくて、「やはり」案件なんだけど、

山路:やはり案件(笑)

小飼:やはり案件なんだけども、ちゃんとニューヨーク・タイムズが証拠を押さえた上で打ってるというところが、はい。

山路:トランプ本人がフェイクニュースだって

小飼:だから、写しを出すだけでいいんですよ。とくにないかをどうこうする必要はないんです。本人は監査中だからと言ってるけど、それは公開しない理由にはなりませんというのはもう司法省が言っちゃってる。だけれども、出さなければ違法ですというところでそれも止まってるんだよね。

山路:ん? 出さなければいけないというのが、違法?

小飼:だから今までは慣習で出してたわけ。

山路:法的に決められたことじゃなくって、大統領たるものは規範示すべしみたいな、ノブレス・オブリージュ的に出してた

小飼:それで、議員は出さなければいけないんです。日本と同じで。資産公開しなければいけないんです。

山路:大統領は違うんだ。

小飼:大統領は慣習でやってたんだけど。

山路:いろいろ変な感じの例外みたいなのがあったりするんですね。あー、そうか、トランプはある意味そこを突いてるってことか。

小飼:そういうグレーなものというのは、いちいち裁判を起こしていちいち判決を勝ち取って、それが判例になっていって、こういう場合にはこうってなってるのがあれですから。そうそう、米国流なので。だから今まで大統領が資産公開を拒んだということはなかったんですよ。

山路:すごいですよね、これ記事とか見ると一年間に払った……

小飼:議員ではないです、議員はなれません。アメリカの場合三権、日本よりもきちっと三権分立してるので、はい。ましてや行政のトップなので、議員は絶対なれないです。だから議員は辞めなければならない。だけど元議員というのは割と大統領になるルートとしてはとてもありふれていて。オバマも上院議員でしたよね。

山路:言ってみたら顔を売ると言うか、政界に。

小飼:そうそう。

山路:だけどトランプはある意味、そう言う伝統的なルートから、違うところから出てきたという話ではありますね。トランプが納めた税金なんて2016年と2014年の納税額、それぞれ8万円程度という。

小飼:750ドルという。

山路:これ、日本時間で明日ですかね。大統領のための、二人の大統領候補のディベートが

小飼:あるみたいですね。

山路:あるんですけど、この税金の問題ってけっこうでかいポイントになる?

小飼:これすら氷山の一角というねえ。

山路:これ、この税金の話とかってぜんぜんトランプ支持者には影響ないんですかね。

小飼:うーん、コアな人はもうそういうのもぜんぜん入らないでしょう。もうトランプでなければ、いわゆるトランピアンと言われてる人たち。

山路:俺たちのトランプ

小飼:ただ選挙の趨勢を決めるというのは、どっちにしようかなという人たちなので。そういった人たちにはやっぱり響くものがあると思いますよ、はい。
 ディベートでどの程度使うかというのが、司会がどの程度この話を振るかでもあると思いますけどね。

「トランプ支持者もやっぱりと思ってそう」(コメント)

山路:なんかある意味、そういうアナーキーと言うか、アウトローなことをするから人気があるみたいな所もあったりするから、難しいですよね、これは。

小飼:いや、だけれどもマジョリティにはなりえないわけです。結局、前回の大統領選挙の時もマジョリティーではなかった。これもやっぱり、法の不備が彼を大統領にしたというのは、ここ一番重要なところなので。なんでトランプは大統領になれたのかって言うと、だからリベラルのお高くとまりやがってとかっていうこと言うことはありますけど、一番最初の、絶対に否定できない理由というのは法の不備です。

山路:選挙人制度の

小飼:そうそう、Electoral Collegeのおかげです。もちろん、接戦まで持っていったという理由という名前はいっぱいあるわけです。要はだから接戦州、要はこの州を落とすとpopular voteにかかわらず取れるというところを懸命に攻めたという、選挙戦のうまさというのはあるんですけれども。でも根源的な理由というのはもうそこです、Electoral Collegeです。

山路:これ、なんかバイデンがじゃあ有利とは言われてるけども、バイデンは何かこう認知症の疑いもあるみたいな。

小飼:いや、だからそれはやっぱりトランピアンの言うことですよ。こう言うのもなんだけど、ある程度はあると思うよ。

山路:もう歳だし(笑)

小飼:だけれども、少なくともまわりの言うこと聞くから。

山路:なるほどね(笑)。それは大きな違いだ。

小飼:あとあれだね、今回の場合は税金いっぱい収めてるねというのも使えるよね。そう、だからけっこうびっくりしたのが2017年のバイデンの納税額で、2.3ミリオンダラーズだから、230万ドルぐらいある。なんでそんなにあるって言ったら、本が売れてた。

山路:ほう。いやぁ英語圏でベストセラーになるってすごいなと。いや変なところに感心……これ、そういや税金で脱税みたいなことの疑いも出てるんでしたっけ。

小飼:出てる出てる。

山路:そっちの方がむしろ本命的な

小飼:そう、だからトランプにとって大統領から滑るというのは、それだけですまない可能性があるんだよ。

山路:もう本当に重罪人として、訴えられてとっ捕まえられるという。でも脱税で、大統領選の結果脱税で捕まったらちょっとドラマチックですよね。

小飼:今まで大統領で一番みじめ、みじめという言い方が適切かどうかわかんないけれども、他に言い方がないんでそういう言い方すると、リチャード・ニクソンですよね。

山路:ニクソン、ほう。

小飼:リチャード・ニクソンもまあ詰め腹切らされたというのは事実ではあるんですけど、いちおう形、建前としたは自分で辞めたことになってるんです。

TikTok差し止め問題と「半導体に関して中国には勝ち目がない」

山路:続いてこの、政権のことに関連するんですけど。このTikTokの差し止めが……

小飼:いや、でもこういうのばっかりですね。大統領令を……

山路:出して、地裁が止めるみたいな。

小飼:そうそう。裁判所、そう。

山路:そもそもなんかTikTok、配信を止める、いきなり止めろっていうのは無理筋やろうと私なんか見てて思ったんですけど。なんかこうアメリカの連邦地裁とかっていうのはすごいまともな感覚を持ってて、それがなんかまだ救いになってんのかなっていう気がしますけどもね。これ、TikTokって今それこそオラクルとウォルマートとか云々かんぬんみたいなだ

小飼:大統領令、Executive Orderを出すとかっていう意味よりも、オラクルに経営させた方がよっぽど簡単に潰せるんじゃないかという(笑)

山路:でも、ラリー・エリクソンも、嫌われてはいるけど少なくとも優秀な経営者ではないのですか?

小飼:だけども、プロダクトを買う、会社を買うとそこのプロダクトがいつのまに、そうそう、静かに消えてるというのはまぁ、特にOSSの場合はそういうことが多くて。

山路:Sun、Solarisだっけ?

小飼:だから、あれは本当にIBMが金をケチってる間にオラクルが横からかっさらったという感じが強いんだけれども。

山路:なるほどね。これもアメリカ絡みの話なんですけれど、これはトランプ政権とは関係がないかもしれないんだけれども。米司法省がGoogleを提訴へって。

小飼:しないわけないようなとは思うけれども。

山路:これはトランプの政権の話とはまたぜんぜん関係はなさそう

小飼:全然関係ないということはないと思う。何でこの時期にと思うかもしれないけれども、実際にやろうと思ったら、かなりの長期戦になるというのはもう明らかなんで。

山路:じゃぁ大統領選の云々かんぬんにはあんまりこの結果は、Googleを提訴したことによる影響はあまりあんまり無さそう?

小飼:あんまり無さそう。

山路:ちなみに、このGoogleの提訴、司法省がGoogleを独禁法で提訴したことに関して弾さん的にはそれはどう見ます?

小飼:いや、当然そうなるよなと。

山路:当然? (笑)

小飼:はい。確か全広告市場の4割近いんじゃなかったっけな、今Googleのシェアというのは。全広告市場です。だからネット広告とかではなくて、今やネット、広告のメインというのはネットなんです。確かにもう独禁法が成立する余地、成立する状況にはなってるわけですよ。

山路:まずは検索の方のシェアみたいな所から行って,その後広告に……

小飼:いや広告でしょう。というのも、検索そのものは直に売りを立ててるわけじゃないじゃん。検索を通して広告が売上の源泉なので。

山路:これMicrosoftがInternet Explorerを同梱して、やってたことが問題視されて、結局いろいろ裁判になりましたけれども、それに似てるんじゃないか、似てるという風な意見とかもけっこう出てたりするんですけど

小飼:いやぁ、それよりも根は深いし、だからどういう風に、どういうところを落としどころにするのかなあというのも、まあこのあとちょっとNTTの話も出てきますけれども、独禁法によって会社を分けたりサービスを分けたりすることによって、客はかえって不便になるって言うこと、けっこうあるんですよね。

山路:なんか、どうやって分けるんだろうって思いますもんね、Googleのサービスって言ってしまったら、検索とかそんなことも含めたところから得られる広告収入によって無料サービスを提供してるみたいなモデルじゃないですか。なんか無料のサービスを提供して、それこそGmailだけ切り出してやっても、ぜんぜん関係ない……

小飼:そうそう、どうやって維持するんだよっていうことになるよね。

山路:あえて切り出せすとしたら、Google Cloud Platformくらい? それも切り出すのってなんかとっても難しそうな感じはするんですけれどもね。

小飼:いや、でもそうでなくて、たとえばGmailとYouTubeと、別会社がやってた、じゃあサインオンどうするんだとか

山路:ああ、サインオン

小飼:はい

山路:それは本当にどうなるんだろう。なんかソーシャルログインみたいな仕組みを、そこでもやって云々かんぬんみたいな話になってくんのかな。

小飼:まぁでも独禁法の理念として、Googleに突っ込まざるを得ないなっていうのも確かなんですね。避けられない。だからGoogleに何もしないというのもそれこそ職務怠慢になってしまうんで、はい。でも、どこ落とし所にするのかというのはますます難しい、だから昔の独禁法とは違うんだね。
 昔の独禁法というのは、あくまでもこういう、『フリー』という本がありましたけれども、そこで言うとこのビットとアトムの、アトムに分類されるもの。要は人に譲ったら自分の手元からなくなる、ものを伴ったものに対する施策だったんですよね。だから独禁法が今の形になった、一番最初にきっかけというのは石油の独占でしたよね。

山路:それは一番わかりやすいものですよね、言ってしまえば。

小飼:でも微妙なケースが出てきて、電話回線を独占というのはどういう風になったかといったら、別会社が、アメリカの場合は

山路:AT&Tが

小飼:そう、だから地域分割もしたんですよ。一応、それはポジティブにはなるのかな。だけれども今度は携帯電話の時代になって、地域分割っていうのは実質意味がなくなりました。で、今度はGoogleが売ってる物というのは、bitsでしょ。アトムではなくてビットでしょ。

山路:しかも売ってると言っていいのかすらよくわからない。

小飼:だから独禁法のメソロジーでいいのかなっていうのは。

山路:サービスのほとんどもある意味、無料だったりもするわけだし。

小飼:そうなんですよ。だから地域分割っていうのは今やアトムスの会社ですら、成り立ちませんよね。このあとちょっと話出ると思いますけれども、国鉄も民営化部分っていうのはとてもいいと思うというか、民営化した途端に新幹線がかっこよくなって、かっこよくなっただけじゃなくって速くなって、駅も綺麗になって。だけれども分割しすぎたおかげで北海道とか四国とかどうするんだよ。

山路:ずっと赤字ですよね。いやいや、これなんかアメリカ……

小飼:いや赤字はいいんだけれども、独立採算のお金で、他の儲けで損失補填が出来なくなっちゃったんですよね。

山路:これ、特にあの民主党多いですけど、GAFA分割しようって話がやたら多いじゃないですか。それ、どれもなんか分割が難しい企業な気がするなあ。

小飼:だけれども、一番大事なところはシングルサインオンをどうするかで、これは会社が分かれても技術的にはできる。

山路:実際、Facebookのアカウント使って別のサービスにログインするとかやってますからね。

小飼:そうそう。Appleもやってたけど、べつにFacebookから金もらってたわけじゃないし。あるいは逆にFacebookに金払ってたわけでもないし。

山路:いやいや、これもこれもなんか、でも相当時間かかるし、おそらく時間が経って決着が出る頃には決着ってあんまり意味なくなってることをまたやっちゃいそうな気がしてならないけどもね。

小飼:そうそう、Windowsの時よりもぐだぐだな結果になりそうだわなというのが、法が遅すぎるんですよね。ネットの速度に比べて。

山路:これ、3、4年ぐらいはかかりそうじゃないですか、なんかわかんないですけど。あとじゃあもう一つ、アメリカが絡んだそういうことのでかい話としては、半導体、中国との半導体戦争が。

小飼:戦争って戦争になってないよ。こう言うのもなんだけども、両者の秀でてるところというのはあまりに圧倒的な差があって、たとえばプロダクト量産するっていうところではもう米国は勝ち目がないわけです。でも逆にCPUの設計だとか知的財産に関して言ったら、もう中国勝ち目がないんですよ。

山路:このさっきあげたリンクとかでは、そういうファウンドリーなんかもアメリカ国内で何とかしようってことで金を、補助金を突っ込もうとしてるみたいなんですよね。

小飼:今のところはファウンドリーは、大きい奴というのはあのTSMCとサムスンということは、どっちも西──西側っていう言い方はまだ腐ってないとしたら──なので、だから今のところだから、だから中国と米国とどっち取るかって言ったら米国取ってるわけですけれども。

山路:これ、HuaweiがそのまあTSMCとかの取引を規制されたりとか、あるいはサムスン、サムスンはまだでしたっけ?

小飼:サムスンもあれですけど

山路:で、最後いちおう頼ろうとしてたそのSMICに関しても規制を入れようとして、本気でHuaweiがCPUを調達できなくなるようにやってんのって、これってもう戦争なんじゃないかと思うぐらいの勢いなんですけど。SMICとかまで押さえるって凄くないですか。そんな最先端のファウンドリーではないじゃないですか。

小飼:まだ中国は今から自前のファウンドリーを作ろうって言ってて、じゃあまず180ナノメーターですか、まだ3桁ナノメーターですから。

山路:えっ、そんなに遅れてるんですか。

小飼:そんなに遅れてるというよりも、最先端がものすごい、ものすごい進んでるんですよ。だって今だって1桁ナノメーターというのはやっぱりこういうのの中心部であって、こういうのの周辺のモデルとかっていうのは何世代も遅れたやつで充分間に合ってます。間に合わせてますから。