「小飼弾の論弾」で進行を務める、編集者の山路達也です。
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今回は、2021年03月30日(火)配信のテキストをお届けします。
次回は、2021年05月11日(火)20:00の配信です。
お楽しみに!
新刊『小飼弾の超訳「お金」理論』
「ブラック労働者」をやめましょう。「お金を増やさねばならない」思い込みを捨てましょう。働いたら負け。もう労働には価値はない。理想は、誰でも自由に生きて食べていける世の中。なのに、いつまでも「お金」に振り回されるのはなぜか―――。
『小飼弾の超訳「お金」理論』では、世界を動かしているお金の仕組みと、お金との付き合い方をやさしく解き明かします。
2021/03/30配信のハイライト
- 『るるぶ』宇宙特集から深海探査の話題
- 『庵野秀明スペシャル』の失敗とIntelの迷走
- LINE個人情報問題とIT業界の温度差
- ダークパターンとこれからの広告、『ザンボット3』を見ましょう
- 視聴者質問「IT業界志望の文系大学生にアドバイス」「生命保険に入る意味」
- 遺伝子解析でわかったことと「アスパラ臭」
- スエズ運河についてコンテナとコンテナ船、海事法から考える
『るるぶ』宇宙特集から深海探査の話題
山路:最初は軽いところから行きますか。
小飼:さすがに20万トンの話というのは、
山路:重いですからね、いろいろな意味で(笑)
小飼:物理的に(笑)
山路:弾さんの横にあるこのこれ、雑誌
小飼:これ、はい、『るるぶ』です。『るるぶ』なんだけども、場所がすごい、これ。
山路:これ、マジで作ってるやつなんですか。
小飼:たぶんマジでしょう、というのも、宇宙であれば、確か2週間の隔離とかもないですからね。
山路:そうなん? そうなん? いやもっと違う、いろいろ(笑)
小飼:たぶんそういうことなんじゃないの? そういうことなんじゃないの?
山路:これって一般書店で売ってるって事ですよね。
小飼:なんかナオヤさんが
山路:ヨドバシで買ったとか言ってたけど。ただこう、ものすごくうがった見方をするならば、国内外の旅行が全部駄目になってるから、とりあえずどんな企画でも通るんじゃないかっていう(笑)
小飼:そうそうそう、もう宇宙しかないというね。
山路:ギャラクティック、ヴァージンとかのやつも載ってるんですか?
小飼:今のところはやってそうなところはほぼほぼ全部網羅してると言うのか、なかなかきちんと作られてます。
山路:レイアウトは『るるぶ』のままっていうのがなんかこう
小飼:いや、だから『るるぶ』なんです。だからマジに宇宙に送り込もうという。だから割引クーポンとか探してるんだけどな……
山路:10パー割引とかあったとしてもけっこう高い
小飼:クーポンがないなー。
山路:これ後、観光スポットは載ってないんですか(笑)
小飼:もちろん『るるぶ』だけあって、そこが一番充実してる。
山路:ほうほうほう。宇宙の観光スポット。
小飼:たとえば天王星とかね、どうやって行くんだっていう(笑)。天王星海王星も載ってるから、なかなかですよ、これは。まぁでも、まず太陽系止まりですね。Alpha Centauriというのは載ってないですね。
スタッフ:なんかちょっとちらっと出せるところがあったら
小飼:そうですね。えーとね。これでわりと一番遠くに行けるスポットとか
スタッフ:海王星(笑)
小飼:1番遠い惑星ですね。
山路:今、冥王星が内側に。ああそうか、冥王星は準惑星だから
小飼:もう冥王星は惑星じゃなくて準惑星だから。
山路:そらそうだった、そうだった。
小飼:格落ちしたんですよ。
山路:しかし頑張っていろいろなんとかしようとはしてますね、旅行関係のそういうムックも。
小飼:なかなか面白いです。
山路:いやいや、なかなか頑張っているじゃないですかと。ちょっと後でしっかり見よう。
小飼:でもなー、でもそうやって言われると、とりあえずパンデミック抜きで有人宇宙旅行ってかなり遠くなっちゃいましたよね。たぶん一番近かった頃というのは、まだシャトルが健在で、もうロシアの経済がガタガタで、たかだか20億円ぐらいでソユーズに乗せてもらえた頃ですね。あのUbuntuのマーク・シャトルワースとかがもう本当に金出して
山路:だけどアルテミス計画も動き出してるし、それにスペースXなんかもロケットバンバン打ち上げてるじゃないですか。ずいぶん、そういう意味では近くなってるとも
小飼:打ち上げはカジュアルになってきます、でも有人宇宙旅行って言うのはやっぱり別問題なんですよね。
山路:月に行かなくっても
小飼:人間ってかなり高価なペイロードなので。今のところはISSと天宮に人を送り込む、本来の意味での渡し、シャトルですね、しか需要ないんですよね、有人旅行って。
山路:まぁ安くなりようがない
小飼:なのにクルードラゴン開発したっていうのは偉いよな、スペースX。
山路:なんかね、宇宙旅行とかそのISSとか、あるいは月とかに、もうちょっと安くなったら、行けそうになったら行くかって妻に言っても、絶対に行かないって言うんですよね。本当観光スポットがない(笑)
小飼:やっぱり重要な問題なんだよね。だからね、何で行くんだ、だからそこに空があるからって言うだけでは、たくさんの人は送り込めないんですね。せいぜいISSで研究ぐらいで。で、そっちは今のところ採算度外視なわけじゃないですか。ある程度採算ラインに乗ると、宇宙に人を送り込むことにある程度のご利益がなければいけない。たとえば量子コンピューターの素子を作るのに、長い無重力状態が必要だとかっていうのがわかったら、急に需要が出るでしょう。宇宙で作ったものであれば、100キュビットぐらい実現できるぞ、要はquantum superiorityを理論ではなくて、実際に実現できるんだぞっていうふうになったら、急に需要が出るでしょ。
山路:まだそういうキラーアプリみたいなものは見つかってないわけですよね
小飼:いや、そういうのでいいんですよ、そういうのでいいんです、ハゲが治るとか。
山路:あっはっは。なるほどね、それウケそうだ。
小飼:薬飲まなくてもバイアグラと同様の効果があるとか。そうすると、金持ちの老人が行きたがるわけですよ。今のところ本当に、そこに空があるから、な需要だけなんですよね。
「宇宙空間は退屈すぎるのかなー」(コメント)
小飼:退屈すぎでなくって、ただ単にそこに人をいさせるだけで膨大なコストがかかる。で、似たような状況って言うのは深海にもあります。深海はもっとすごいですよ。
山路:深海のほうが大変って意味で、コスト的な
小飼:だから本当に宇宙よりも遠い場所というのか、少なくとも、だからお金は突っ込まれてない、より我々にとって身近で、実際に行くことでよりご利益があるのにも関わらず。
山路:そういうことか
小飼:日本が世界に誇る、しんかい6500って1986年ですよ。何回も中身を入れ替えてるんですけど。
山路:そうなんですか、そんなに作られてないんだ。
小飼:そんなに作られてない。あのクラスの潜水艇で一番新しいのが中国のやつで、2000いくつだっけ、それ以外のものっていうのは全部まだ冷戦が終わってなかった。
山路:へええ。しかもしんかい6500とかって3人ぐらいでしたっけ、あれ乗れるのって
小飼:そうです。
山路:そんなもんですよね。それから大型化も、そんなには進んでないってことですよね。
小飼:あれでもずいぶん大きくなったんですよ。なんだけども、でもあの頃のままなんですよね。で、あの手の深海探査艇の先鞭になったのはアルビンっていうアメリカのやつなんですけど、それに至っては1960年代ですよ、できたは、最初に。何度も改造して大事に使ってるんですけどね。
山路:海底って、それこそメタンハイドレートとか
小飼:そう、宇宙よりはもう明らかに我々にとっても身近で、調査するだけの価値があるにも関わらず、そんなもんなんですよ。
山路:へええ。なんかそれ聞くと本当にびっくりだなあ。
小飼:まだ恒久的な基地をISSの形で持ってるだけ、宇宙のほうが近いとすら言えるでしょうね。
山路:なんと言うか、比べるもんではないのかもしれないけど、アルテミス計画なんかやるよりも深海のほうに全部突っ込んだほうが
小飼:深海のほうに「も」ですね。でも深海はもっと調査すべきですけれども、革命的な技術がない。今の、単に行くって言うだけでは、それよりも前に地球で一番深い海の底まで行くには行ったというのがあるんですね、トリエステ号が。
山路:マリアナ海溝
小飼:1960何年だっけ。それは本当にただ行って帰ってきただけっていうので、これがアルビンとかになると、中にちゃんと科学の、研究者が乗って、単に潜航するだけではなくて、マニピュレータとかがついていてサンプルとかっていうの取ったりもできてっていうので。一つ革命的だったのは、人を入れるカプセルがチタニウムで作れるようになった。
山路:めちゃめちゃ丈夫になった。
小飼:あと浮力材がいるんですけれども、トリエステ号っていうのは浮力材、中にガソリンを詰めてたんです。普通の潜水艦という浮力材とかは空気なんですよね。だから、バラストタンクに入れた水を圧縮空気でパージして、それで容積増やして持ち上がってるんですけども、それはまだ浅い海だから、せいぜい数百メーターの単位だからできるのであって、何千メーターの深海だからなると、それ効かないわけですよ。
だから、もう始めから水よりも軽いマテリアル持ってって、沈む時にはただ重いものを抱いて、バラストを抱いて、終わったら浮上する時はそれをパッと海の底に捨てっていうやり方でないと安全に往復できないんです。話がちょっと戻ると、トリエステ号の頃にはガソリンを積んでたんです。で、比重0.8ぐらいですから、Δは0.2ぐらいしかないんですよね。だから1リッターの浮力剤に対して200グラムぐらいしか浮力がないんです。
山路:けっこうかさばるというか、
小飼:これがですね、syntactic foamって言って、中が真空のガラス玉を、ちっちゃいガラスビーズをいっぱい作っておいて、それを樹脂で固めたというのができたんです。これだと浮力が0.6を切るんです。
容積当たりで倍の浮力があるわけです。そうすると、潜水艇そのものをずっと小型にできますよね。
山路:今使われてるのも、それなんですか。
小飼:今使われてるのがそれで、それが1980年代から90年代の技術。Syntactic foamも良くなってるので、じつは最初のアルビンに乗ってたやつと今のアルビンに乗ってるやつじゃ、しんかい6500の中身っていうのもちゃんと入れ替わってます。
よりいいのに入れ替わってます。進んではいるけれども、まるっと新しいのを作るには至ってないし、今のところ、あくまでも沈降なんです、潜航する時っていうのは。バラストを積んでおいて、それで惰性でずーっと沈んでいくんです。動力で行くわけではないんですよね。
山路:それこそなんていうか、ある程度の深さのところまで海中基地を作って、そこんとこからちょっとずつエレベーターをやってみたいな
小飼:ことはしないんです。しんかい6500が一番深いところに行く時とかって言うのは、片道6時間とかそんな感じじゃなかった?
何時間もかかるんです。だから、そういう時にはオムツして行くんですよね。
山路:それきついな。しかも3人。3人ギリギリ。
小飼:そうでなくって、そうやってやると動力潜航したくなりますよね。
山路:あるんですか、動力潜航
小飼:無人船はもう実現してます。
山路:これって
小飼:やっぱり人の場合は戻って来られなくなるというのが一番でかいんで。
山路:スクリューでこう回して
小飼:そうそうそう。
山路:下向きに推進力作って
小飼:下向きに推進力を作ってっていうのは無人船では実現してます。
山路:まだ安全性がまだ十分じゃないってことなんですかね。
小飼:人が乗ってるやつと言うと戻って来れないことには話にならないんで。だから、錘を持って、バラストを持って潜航して、終わったらそれを切り離してなんだけれども、そこもやっぱりちょっと変わったみたいで、前は鉄のつぶつぶだったんですけど、今は鉄板をガシャッと切り離す方式にしてるみたい。
山路:なんか比べるのも変だけど、半導体とかの世界ってガーンって伸びていくじゃないですか、性能とかが。ほんと、こういう深海だったりとか宇宙って、すごいステップアップは行かなくて、じりじりじりじりとか進化していきますよね。
小飼:だからやっぱり、文字通りお宝がないと。浅いほうの海というのは海底油田のおかげでだいぶ進んだ。だいぶ犠牲も出てます。掘削プラットホームが一個事故を起こすと、何十人単位でプロが死にますから。実際、北海油田じゃそういう事故があったじゃないですか。
山路:そうかそうか、それか。そういうやつか。
小飼:年の半分は休みだし、それで今だと20万ドルは下らないんで、とてもいい仕事ですよ。
山路:しかしリスクも相当でかいと言うね
小飼:だから一挙に貯金したい人とかっていうのは検討してみては
山路:それって専門家じゃないとできないんじゃないんですか。
小飼:まぁでも専門家といっても、いろんな専門家がいるから。意外と入り込みやすいのは船医かもしれない。産業医の資格を取れば、意外と行きやすいんじゃないかと
山路:なんか稼ぎたい、短期間でガッツリ稼ぎたい人にはお勧めということで。
小飼:なんだけれども、本当に我々にとって身近な海でこの体たらくで、ましてや宇宙はという感じはあるけれども。やっぱり飢えた連中の目の色が変わるようなお宝が見つかったら、そこは変わるのかもしれないですね。
『庵野秀明スペシャル』の失敗とIntelの迷走
山路:わかりました。ちょっとまたこれも軽い話題
小飼:意外と軽くもなかった、この話題(笑)
山路:コメントで「シン・エヴァをやった?」みたいなコメントがあったんで、それ前回やったんですけれども
小飼:実は前回やったんだけれども
山路:その後、NHKの『プロフェッショナル 仕事の流儀』で庵野秀明スペシャルというのがありまして
小飼:全否定されたけどね、プロフェッショナルって名前が気に食わないって(笑)。
山路:あの番組(笑)、制作側の立場で見ると胃が痛くなるような感じの番組ですよね。あれ、番組見てどうでした、弾さん?
小飼:と言うのか、ぼくの妻が見てたのを横目で見てたって感じなんですけど。
山路:面白かったのは面白かったじゃないですか
小飼:けっこうなネタバレになったというのか、あれを見たおかげで『シン・エヴァ』を見たいっていうことになってたから、今度は妻と行ったんですけども。
山路:なんというか、かなり創作に関する、何ていうか、悪戦苦闘みたいなやつはかなり良く描かれてた
小飼:でも、ある意味『シン・エヴァ』の一番すごいところというのは『シン・エヴァ』が作られたことそのものじゃない?
山路:そうすね(笑)。みんなできると思ってなかった(笑)
小飼:しかも単に作るというのではなくって、版権とかをもともと作った会社ガイナックスから全部ひっぺがして、カラーという別の会社を作った上で、そこで引き取った上で
山路:ちゃんと会社利益出して
小飼:しかも4作作って、前作の『Q』と今作の『シン・エヴァ』って何年空いてた、8年だっけ?
山路:8年ですね。
小飼:8年間、カラーの社員を食わせ、他の外注業者にお金を出しっていうのをやってて、どこから金出してたんだよって、そっちのほうが、そっちはまさにプロの仕事じゃないですか。
山路:そういう経済ニュースサイトなんかでそういう記事に出てましたね。
小飼:そういうところが一切出てなかったので、その意味でも失敗でしたね。
山路:手厳しいな(笑)
小飼:番組としてはもう、まさに失敗作なんだけれども、その失敗作であるがゆえに面白い番組になってたっていうのが、すごい面白くて、これあれじゃん、テレビ版の『エヴァ』と同じ構図だ、みたいな(笑)。作品は失敗作なの、でも失敗作であるがゆえに面白かったという。
山路:ちょっとリアリティショー的な、怖いもの見たさもありましたよね。
小飼:いや実際、怖いものではあったと思いますよ。だから、何を追っかけてただけではなくって、何が全く映らなかったっていうところまで含めてね。
山路:最初のほうとか、すごいインタビューアがビビってましたしね。あの辺のところも含めて、なかなか臨場感が。
小飼:いやでもあれだよ、モヨコさんの鳩ビームが見れただけでも、あ、別の番組と混じってるかもしれない(笑)
山路:じゃあ、次ですね。そうですね、IT関係でIntelの話いっておきましょうか。Intel生き残れるのか、Intel、いろんな話が
小飼:Intel入れさせてという(笑)、Appleに
山路:そうそう(笑)。まずIntel、けっこう心配なのは新しく出したCPU、それがよく最近Appleで使われてるCPUなんかだと5ナノメートルのプロセスルールで作られてたりするじゃないですか、Intel、それに追いつこうとしてるみたい話があったんですけど
小飼:そうなんです、周回遅れ状態になっちゃってるんですよね。
山路:さらに新しく出したCPUで10ナノメートルのやつの他の次に14ナノメートル、プロセスルールはもうちょっと前の世代に戻ったやつをなんか新製品として出すみたい状況にもなってたり
小飼:だからそこ痛いよなーっていうね。
山路:それと同時にこう他のメーカーからの
小飼:座布団10ナノメーター(笑)。要するにファブをやりますって言うんだけれども、でもなー、TSMCとサムスンよりも、やっぱりごん太な線になっちゃってるわけでしょ、なんだかんだ言って
山路:ごん太な線って(笑)、プロセスルールの話ね。
小飼:もちろんIntelのやつっていうのは、けっこう違うテクノロジーを使うというのか、使おうとしてて、銅の代わりに何を使うって、コバルト使うっていうふうに言ってるのかな、で、それに失敗したおかげで足が止まっちゃったという。でも、そういういきさつは置いといても。そこ競争力があるのかって言うね。
山路:なんか最近、Intel
小飼:コバルトでいいんだよね。
山路:Mac、Macのちょっと比較広告って言うんですか、MacやめてIntelのCPUの入ってるパソコン買おうぜみたいな広告を出してたんですけど。翌週にはうちもAppleシリコン作りたいと言い出したという、この(笑)
小飼:でも、それはさ、15年前はまさに立場が逆で、本当にI’m PC, I’m Macって言ってた頃にはこっそりIntelと密約を結んだ上で、一斉のせでパワーPCからIntelに変えたわけじゃん。
山路:だけどさあ、今回の場合、ちょっとディスる広告やった一週間後に言うってそれダサくないですかっていう(笑)
小飼:まあ、ダサいはダサいけど、Intelって別にAppleと違ってスタイリッシュだから売れるというタイプの会社ではないじゃん。
そのわりにはスタイリッシュにしようとして滑っているところは(笑)
山路:ウルトラPCなんかのコンセプトっていうのも、けっこうIntel、提唱してたりしたじゃないですか、ウルトラPCじゃなくてUMPCか
小飼:UMPCね、要するにこれくらいの大きさでPCでやるというね。
山路:あの辺もいまいちパッとしなかったっすよね。一週間後に尻尾振るスタイル
小飼:やっぱりPCから離れられなかったんだよね。でも、それ言ったらさ、もともとIntelの石って電卓のためのものだったわけだしさ。
山路:嶋さんの作った
小飼:裏を返すと、いかにPCというフォームファクターがIntelと相性が良かったかだよね。
山路:ビジネスモデル的に
小飼:そもそもPCというのが、一般の名詞というよりはいちアーキテクチャの名前になって、と思ったら、一般人の使うコンピューターの再び一般名詞になったっていうのも、本当にIntelと共に歩んできたわけじゃん。でも、そのPCっていうのを固有名詞にしたIBMはもうPCやってなくって。今IBMに話を持っていくと、Mac勧めてくるんだよね(笑)
山路:そうだよな(笑)
小飼:中の人、Mac使ってるし(笑)
山路:IBMは、Macを全社で使おうとしてますもんね(笑)
小飼:ほんとハラホロヒレハラなんだよね。でも、確かに本当に今や、Mac、ちょっとここまでありふれた存在になるかなっていうぐらいにありふれるようになってきたからね。
「Mac強すぎる」(コメント)
小飼:強すぎる。特に利益の点ではそうで。たぶんMac単体で挙げてる利益っていうのはPC全部出したやつの8倍ぐらいあるんじゃないか、10倍はさすがにいってないのかな。
山路:8倍でもびっくりですけどね(笑)
小飼:マージンがぜんぜん違うんだもん。
山路:OSも自前だし。
小飼:かつては、今のApple程度のマージンは取ってたんですよね、CompaqとかDELLとか。
山路:それがどんどん安くなってっちゃった
小飼:そうそう、コンテナ船の輸送料みたいな話になっちゃって、これはあとの話題で。
山路:なんか1000ドルPCとか言うようになってから、なんかいろいろそっちの方向に進んでったっていうの、あんのかもしれないですけどもね。
小飼:本当に
山路:この短い間にこんなに変わるかと。
小飼:Chromebookとか、ほんと数百ドルですからね。本当にブラウザ見れて、キーボードも意外、けっこうまっとうなと言うのであれば、Chromebookという選択肢があるわけですからね。
「ChromebookのCPUはIntel?」(コメント)
小飼:えーと、どっちでもいいんです。どっちもある。
山路:Armのもある?
小飼:Armのもある。でも、今普通に売れてるのはIntelのやつが多いのかな?
山路:Chromebook、なんか最近めちゃめちゃシェア伸びてるみたいですよね。
小飼:だけども、もちろんぜんぜん儲かってない。
山路:でしょうね。でしょうねっていう(笑)
小飼:Googleですら儲かってないわけね。Chromebook直にはね。
山路:なんかGoogleのビジネスって、本当にGoogle以外の誰が得すんねんみたいな感じのビジネスが多いような気がするんだけどなぁ。じゃあIT絡みでもう一つ、Microsoft、今度は。MicrosoftがDiscordを買収かみたいな話が
小飼:これなー。GitHubになるのか、Skypeになるのかっていう、もうほぼ買収された前提で考える、いやSkypeとかになったら、うーん。あとよく考えたら、LinkedInも今Microsoftだよね。
山路:LinkedIn、SNSの。
小飼:後、SlideShareもMicrosoftだよね、よく考えたら。
山路:SlideShareって?
小飼:スライドを共有する
山路:えっ、あっそうなんですか。
小飼:SlideShareもMicrosoft。
山路:わざわざ買うほどの必要があったのかなとか思って
小飼:って思うよね。でも、どこか買ってくれなければ資金ショートで潰れてたんじゃないかな。LinkedInはとにかく、SlideShareは。
山路:これ、私そんなに、ちょっと1回Discord使ったことありますけど、そんなゲームしないから、あんまりDiscordのありがたみわかってないですけど、これってMicrosoftが買収しなきゃいけないものなんですか
小飼:それむしろ逆だろ、それむしろ逆だろ
山路:Windowsの認証にSkypeのID使えますよって
小飼:SkypeのID使えますよっていうのは。どっちかって言うとMicrosoftIDでWindows認証して、それをSkypeIDにしてくれというメッセージだと思ってたんですけど。
山路:Discord、そんなに買収しなきゃいけないような重要なものなんですか?
小飼:どうなんでしょうね。というのか、Teamsでダメだったのかな。でも、今Discordってユーザベースどれくらいいるんだろうな。まぁでも、買うのだとしたやっぱユーザベースを買うっていうだろうね。
山路:技術的になんかMicrosoftで実現できないようなもんでもないわけですよね
小飼:でもそれはGoogleがYouTubeを買った時だって、Google Videoというのがちゃんとあったわけです。だからユーザーベースとか、あるいはもう文化、カルチャーだとかって言うのが主な売りの、だから一番の売り物はユーザーですよ。
山路:まぁ後はブランドとかね。
スタッフ:えっと去年の12月のテックニュースですね、ユーザーベース、月間アクティブユーザー数は1.4億人ってなってます
小飼:それはまあを売れるでしょう、というのか、じつはGAFAM以外のテックのスタートアップっていうのは、もう自分らのビジネスそのものでは黒を出すっていうことはほぼぜんぜん考えてなくて、要はいつかGAFAMに買ってもらうという
山路:exitが
小飼:exitが。ただやっぱりそうでない例外というのはなかなかしたたかで、たとえばDropboxとか、AWSとかAzureとかも使ってないんですよね。
山路:独自で、なんかすごい規模のやつ作りましたもんね。
小飼:ちゃんと自分の売上で生計立ててるんですね。だからそれは偉い。
山路:しかもサービスとしても、私はGoogleドライブよりもDropboxのほうが使いやすいから好きで。
「ドワンゴはどこか買ってくれないのか」(コメント)
小飼:ちょっと待て、ちょっと待て、カドカワどうなってるんだ一体! 一体、どうなってるんだー。
スタッフ:ドワンゴはカドカワが(笑)
小飼:しかも今、カドカワの社長ってね(笑)
山路:夏野さんになったんだっけ
小飼:そう、夏野さんになるのか、なったのか。
スタッフ:夏野さんですね。
小飼:だからドワンゴ経由ででしょ。
山路:じゃあドワンゴを重視してる、そっちのビジネスを重視してるということの表れではあるわけ
小飼:どうなんだろうね
山路:なんかよくわかんないすよね
小飼:よくわかんない。
山路:何をするつもりなのか
小飼:そもそもカワンゴは駄目だって言うのであれなわけでしょ、クビにし、クビにってどの程度、要は経営から外したわけでしょ。夏野さんならいいの? そこわかんないな。はははは
「『テクテクテクテク』の改正(コメント)」
山路:いちおう、『テクテクライフ』として蘇りはしましたけど。
スタッフ:あ、カドカワ本体の社長になるってのは、本当に近日ニュースになったやつで、6月22日付で代表取締役社長になるそうなんですよ。あ、ニュース出しときます。
「ビリビリ動画に買ってもらえば」(コメント)
山路:いや、ほんとそういう世界なんだよなー。だから、ニコニコ、本当なんか天下、もしかしたら取れたかもしれないのに、やり方では
小飼:やっぱり経営ってことになるのかなあ。本当に技術って氷山の一角だもんなぁ。何で氷山の一角って言い切れるかって言うと、たいていあるサービスが勃興した時には、他の連中もいるわけよ、DropboxにはBoxという会社もあったし、で、他のAppleやMicrosoftやGoogleも同様のサービスというのを持ってたし、持ってるわけじゃん。本当にどうやってユーザー集めるか、だよね。
LINE個人情報問題とIT業界の温度差
山路:じゃあちょっとIT繋がりで、次LINEの話、行きますか。
小飼:あ、なるほどいちおう今日のタイトルですね。
山路:メインの。このLINEの情報問題。要はデータが
小飼:個人情報であるはずの、たとえば添付ファイルとかが、メッセージそのものは暗号化されてたとしても、そうでないものというのはもう全部筒抜けになって、それで中国子会社が見れるようになってたじゃないかという。子会社だっけ、それとも外注だっけ? どうだったっけ?
山路:ちょっとどうだったかな
小飼:まあ、とにもかくにも国外で、プライベートのはずの情報が見れるようになっていたと。
山路:プライバシーポリシーなんかも、いちおう第三国のとこにデータを移すこともあり得るよとは書いてあったんだけれども、そこの技術者が自由に見られるってところまでは別に書いてはなかっただけで。これ、なんかLINEって弾さんもまんざら縁がないわけでもないじゃないですか。
小飼:まぁもちろんそうですよね。だからずーっと大昔に、僕が上場を手伝った会社がNAVERという会社に買われて、そこが始めたサービスがむしろ本家よりも大きくなって、さらにそれが巡り巡ってYahoo!だったGホールディングスに買われたというね。まぁ何と言えばいいのか、もういかにもこの業界らしい。買ったところに買われてみたいな
山路:へえ、弾さんが作ったエンジニアチームとか、そのへんの事って関係あるんですか
小飼:あんまりLINEには絡んでないはずですね。
山路:中国の
小飼:他にもNAVERっていろんなサービスやってたけれども、わりと日本でNAVERが設立されてから集まった日本のエンジニアチームが作ったのがLINEだというふうに、元ライブドアの人が、nipotanが言ってたので、それは間違いないのでしょう。
山路:じゃあ直接の繋がりがあるわけではないんですね。
小飼:まぁゼロとは言えないけどね、かなりの遠縁ですね。かなりの遠縁。
山路:ほんとなんか、大叔父の大叔父みたいな(笑)
小飼:まぁそんな感じですね。
山路:いちおう家系的にはつながってなくもないみたいなところですよね(笑)。今回の問題って、LINEがもうしでかしたということになるんでしょうか
小飼:まあ僕はやっぱりだと思ってたけどね。
山路:やっぱりってのは、LINEの個人情報の扱いのスタンスみたいなことについてっていうこと?
小飼:というのか、それはLINEだけではなくてYahoo!もぜんぜん褒められたものではないし。
山路:そういうのなんか個人データを他の第三者に使う、カルチャーコンビニエンスクラブ、Tカードなんかとも連携してましたもんね。
小飼:そうそうそう。
山路:今はそうでもないのかな。それで勝手に使われたみたいなことからクレームが
小飼:単にそれが国外だっていうので今回は大きな問題になったというのが、だからこれじゃあ政府とか使えないよねっていう話になったんです。なってる。というふうに僕は見てるんですけどね。「まさか」じゃなくて「やっぱり」「やはり」なので。
山路:インターネットのサービスって、タイトルにも「インターネットの国境」って書いたんですけど、ネットサービスのデータがどの国のサーバに物理的に記録されてるかって、そんなに重要なことだったりするのかと
小飼:それはそれぞれの国の政府からは重要なんですよね。もちろん、サーファーにもクライアント、端末にも、技術的には国境なんてないわけですよね。なんだけれども、ありもしない国境っていうのを無理矢理ソフトウェアで再設定してるって言うのが現状なんですよね。
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