Omasuki Fightの北米MMA抄訳コラム――今回のテーマは……中邑真輔WWEデビュー!
「NXTの新標準、それはストロング・スタイルです」―― 米国時間で4月1日に開催された”WWE NXT Takeover: Dallas”大会は、実況アナウンサーのそんなギョッとするような一言で幕を開けたのだった。
客席は”STRONG STYLE”などとプリントされたTシャツを着たファンだらけ。日本では世代によって定義が違いそうな、”うるさい”言葉とも思われるストロング・スタイル、この大会でWWEデビューを飾った現在進行形の中邑真輔の形容詞として妥当なのかはいささか疑わしいストロング・スタイルも、青い目のファンにかかると屈託がない。
今の中邑のスタイル、今の新日本プロレスのスタイル、普段のWWEよりはややスピードがあってややハードヒットなプロレスのことを、大雑把かつ無邪気に指しているのであろう。ジャパニーズ・スタイル直輸入が目を見張るほどに受け入れられていたこの大会を、筆者はWWE Networkで観戦した。
中邑真輔は入場シーンだけで会場を制圧していた。独特の動き(ハッスルのキダタ・ローばりに指揮をしながら出てくる風の、あのお馴染みの動作だ。あのポーズに名前が付いているのなら教えて欲しい)とともに、爆発的な歓声の中をゆっくりと入場。先に入場してリング上で待つサミー・ゼインは、まるでファンボーイのように嬉しそうな表情で中邑を見ている。
リングインした中邑は、これまた新日本時代と寸分違わぬ、ロープをつかんでのエビ反りポーズをきめる。この段階で会場では「Holy Shit」コールの爆発だ。エビ反っただけでホーリー・シットもないと思うが、ここから分かることは、この観客は、新日本時代と寸分違わぬ中邑に期待をパンパンに膨らませて見に来ているということだ。次いでゴングが鳴って両者が向かい合っただけで、今度は客席が一体となって、両手を突き上げての「Yes! Yes!」チャントである。この観客は完全にレスラーと文字通り会話をしながら楽しんでいる!
試合で筆者が気に入ったのは、1つにはゼインがコーナーの中邑に走り込んでクロースラインを打つ際に、走りながら「シンスケ~!」と叫んでいたこと。日本人のプロレスごっこみたいで可愛いじゃないですか。それから、中邑が鼻血を出したあと、やや切れたようにゼインを攻め込んだシーン。WWEでは微妙な扱いの流血シーンを、巧みに場面転換に応用した感じ。そしてここで観客は「We Want Strong Style」コールである。もしかするとヤツらはストロング・スタイルはぶち切れることだと思っているのかもしれぬ。ゼインがやや時間が経ってからぶち切れ返してみせてくれたのも香ばしい。
この記事の続きと、ミスター高橋、ハッスル悪夢、モントリオール事件、ザ・ファンクス、中邑真輔NXTなどのインタビュー・コラムがまとめて読める「詰め合わせセット」はコチラ http://ch.nicovideo.jp/dropkick/blomaga/ar1019120