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ドキュメンタリー:UFCファイターの試合当日■MMA Unleashed
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ドキュメンタリー:UFCファイターの試合当日■MMA Unleashed

2016-04-15 10:18

    Omasuki Fightの北米MMA抄訳コラム――今回のテーマは、UFCファイターが自らが筆をふるう試合当日のドキュメント! 


    今回はいつもと趣向を変えて、2015年12月29日付BloodyElbow掲載、ジョシュ・サマン(Josh Samman)著、『UFC on FOX 17: Josh Samman's Fight Week Blog (part 3)』(http://www.bloodyelbow.com/2015/12/29/10680776/ufc-on-fox-17-fight-week-blog-part-3-josh-samman)の全訳を2回にわたってお届けする。

    ジョシュ・サマンは、戦績12勝4敗の現役のUFCミドル級ファイターであるが、かねてからその文才でも知られており、現役MMAライターとしても活躍中だ。

    今回ご紹介する記事は、UFCファイターが試合当日に何を思い、何をして、どう戦っているのかという、現役選手しか知り得ない経験や心情を、ライターとしての手腕で客観的に描写しているという、奇跡の文武両道といっても過言ではない作品に仕上がっている。

    題材となっている試合は2015年12月19日、UFC on FOXオーランド大会での「ジョシュ・サマン vs. タムダン・マクローリー」戦で、サマンはこの試合で負けているという点も、この文章のユニークさを際立たせている。


    なおサマンは最近、初の著書『The Housekeeper: Love, Death, & Prizefighting』も出版している。本稿全訳に当たっては、ご本人の許諾を得ていることを申し添える。


    ***


    試合当日の朝の目覚めは、いくつもの意味を持ちうる。ここ最近では、つらくて長い欠場明けからの復帰戦、汚名返上のチャンスがやってきたことを意味することが多かった。しかし今朝目覚めた僕は、過去のことは全部いったん置いておくつもりだった。僕は勝利からも学ぼうとしている。前回のカイオ・マガリャエス戦で学んだこと、それは自分は冷静で集中していた方が良い試合ができるということなのだ。


    携帯をチェックすると、フェイスブックアプリのTimehopが、ちょうど1年前の今日、僕の愛犬が死んだことを知らせてくれていた。こうした偶然があるから、人は宗教に頼るようになる。僕もこんなつながりがあったとは、今の今まで気がつかなかった。気持ちがあふれて流されそうになる。


    僕はじっくりと時間をかけて、思い出を頭から追い出し、朝食に向かう。糖質制限中には、けして口にしなかったようなものを片っ端から食べる。ビスケットにシリアル、パンケーキ。朝食バイキングのオムレツのお兄さんとはもうすっかり友達で、何も言わなくても僕好みのオムレツをちゃんと作ってくれる。


    いったん部屋に戻り、会場の集合時間まで眠ることにしよう。試合当日というのはほとんど同じことの繰り返しだ。食べる。寝る。そしてイメージ・トレーニング。ルームサービスに電話をして、1時間後に食事を持って起こしに来てくれと頼む。これが試合前最後の食事になる。グリルチキンサンド、パスタ、フルーツ盛り合わせが僕の今日の燃料になる。


    食事を終えると下に降りていく。僕らはコーナーに別れて集合する。みんなの態度はまちまちだ。多くの選手がサングラスをかけて、下を向いている。UFCのスタッフが点呼をとっているが、何だかやたらに手間取っている。コール・ミラーにはずいぶん余裕があるように見える。スタッフが僕の名前を間違えて呼ぶと、ミラーが映画『ジム・キャリーはMr. ダマー』でジム・キャリーが忘れ物のカバンをサムソナイトさんに届けに行くというエピソードに引っかけた冗談を言い、場が少し和らぐ。みんなが世間話をし始めた頃、やっと会場までのバスに乗るように指示が来る。


    会場に到着。いつものようにこのタイミングで薬物検査を受けさせられるのかと思っていたけれど、なぜか検査はされなかった。試合当日の計量も行うと言われていたけれど、それもなかった。僕はケージに上がって足元のキャンバスの感覚を確認する。こうするとなぜか会場の雰囲気に自分をなじませることができる。そばにマイルス・ジューリーもいた。開場してファンが入ってくるまでに、案外時間がないものだ。プロダクションの人たちが僕らをケージから追い出す。僕は最後にもう一度、天井の明るいライトを目に焼き付け、そしてロッカールームに戻る。


    今の時間は午後4時、僕の入場は6時の予定だ。こうして時間がはっきり分かっているのは助かる。こんなことはインディ大会の選手たちには望むべくもないことなのだ。とはいえ、実際に前の試合の関係で、入場時刻が15分程度前後することがある。この時間差を踏まえてウォームアップを計算するのは容易なことではない。


    この記事の続きと、ミスター高橋、ハッスル悪夢、モントリオール事件、ザ・ファンクス、中邑真輔NXTなどのインタビュー・コラムがまとめて読める「詰め合わせセット」はコチラ http://ch.nicovideo.jp/dropkick/blomaga/ar1019120

     
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