Omasuki Fightの北米MMA抄訳コラム――今回は世界中で議論が巻き起こった「リコシェ vs. オスプレイ」について!
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5月27日(金)に後楽園ホールで行われた新日本プロレス、ベストオブザスーパージュニアのトーナメント戦「リコシェ vs. ウィル・オスプレイ」の最新式空中戦のハイライトを収録したGIFファイルが、ソーシャルメディアを通じて世界的に大きな話題を呼んだところ、これを目にしたビッグ・バン・ベイダー(61)がTwitterで次のように、この試合を批判するコメントを出した。
「見え透いたアクロバット。ストーリーが見えない。このビデオの中に、勝利につながる何かがあるのか。これなら高校生の体操選手を連れてくれば十分だ」
「プロレスの進化なら私にも分かっている。私も世界中で40年もやってきたんだ。勝ち負けにつながっている限り、私はプロレスの進化に賛成なんだ。ストーリーを見せてくれ」
このTweetをきっかけに、海のむこうでも時ならぬプロレス世代論がわき起こることとなった。オスプレイ(23)はベイダーに当てつけるように、「ベイダー!」と叫びながらのスプラッシュ技を使い始めたとも報じられている。そこで今回は、まずこの「ストーリーを見せてくれ」とするベイダーの真意を詳しく代弁しているかのような、英プロレス誌に掲載されたリッキー・スティームボート(63)のシュートインタビューをざっくりと紹介しよう。続けて、レスリングオブザーバーで語られた、ベイダー理論への反論の要旨を紹介する。
これを読めば、一体何を巡って論争が起きているのかが理解できるはずだ。あなたは、この試合を見て、どのように感じたであろうか?
●ある週末のインディーズ大会に立会人として招かれた。メインイベントはベビーフェイスがヒールにベルトを譲り渡すことになっていた。2人はとても優秀なワーカーだと聞いていた。試合前に私は彼らに、これはタイトルマッチなんだから、ちゃんとストーリーを語るように、とだけアドバイスをして送り出した。
試合が終わって彼らがコメントを求めてきた。私はこう言ってやったんだ。キミらは対戦相手にいろいろ仕掛けて、相手に大きなバンプも取らせていたのに、ウロウロ歩き回るばかりでカバーをしないんだな。2人とも、自分のキャラを立てようとするのには熱心だけれど、私の見たところ少なくとも10回は、本来ならカバーするべき機会があった。これはタイトルマッチなんだぞ。チャンピオンはベルトを防衛しようとする、挑戦者はベルトを取ろうとする。それがタイトルマッチのストーリーだろう。それなのに、DDTをやってもカバーもしないで、ジェイク・ロバーツみたいなポーズを取っている。見ていて、こいつはベルトを取ろうとしていないんじゃないのかな、と思ったよ。
まあ、キャラを立てたいというのは分かる。私なら、まずムーブをして、カバーをする。キックアウトされたら、その後でキャラを立てる。キャラを立てるポーズはあくまで、相手を倒そうとしているということをファンに分からせた後にやるべきことなんだ。
フェイスが攻撃をしてヒールを場外に放り出したシーンがあっただろう。で、フェイスが場外のヒールに向かってトペを飛んだ。しかし、その直後にはもう立ち上がって、拳を突き上げたりして怒ってみせて、客からの喚声をあおっていたけれど、そういうことはチープなんだよ。
そうしたらフェイスがこう聞いてきた。リッキー、あなたならどんなふうにしましたか。だからこう答えてやった。場外に飛びたいなら、まずリング内のビッグムーブで相手を弱らせろ。ヒールは自分から場外に逃げる。飛びたいだけのために相手を場外に放り出すんじゃないぞ。自分から場外に逃げさせて、セールをさせておけ。ヒールが、もうこりごりだ、ここから逃げ出したいと思っていることを客に分からせろ。そこでフェイスは、場外でセールをしているヒールに向かって、さらに追い打ちをかけてやるという姿勢を見せる。そうするとファンは「こいつは飛ぼうとしているぞ」と思ってくれる。そうしておいた上で、トペをするんだ。
で、そのトペをやりっ放しにしないで、私ならすぐに起き上がり、相手の髪を引っ張ってリング内に引きずりあげ、マット中央まで転がして、深い片エビにとってカバーをする。もちろん、カウント2で跳ね返されることはみんな分かってる。でも、せっかくの積み重ねを捨て去ることにはならない。トペなどのビッグムーブは、ちゃんと利用しないといけない。そのためには、相手のケツを蹴り上げてでもリングに戻して、これで勝てるのかどうか、まずはカバーをしてみないといけないんだ。
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