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和術慧舟會HEARTS大沢ケンジの格闘技談義! 今回のテーマは空前の盛り上がりを見せたUFC200のあれこれ! 五味、レスナー、チェ・ドゥホ!
――UFC3日連続Abema中継の解説おつかれさまでした!
――UFC3日連続Abema中継の解説おつかれさまでした!
大沢 朝から夕方までしゃべりっぱなしですから大変でしたけど、3日間ともに盛り上がりましたねぇ。関係者の方が言うには新生K−1のAbema中継が凄い視聴回数だったみたいですけど、UFCもかなり凄かったみたいですね。
――急に中継が決まって日本人選手が1人しか出ていないのに、なんだかんだ言ってUFCというブランドは強いんですね。
大沢 これからUFCはダゾーンというやつでしたっけ? 日本で中継していくのは。
――スポーツ特化型ライブストリーミングですね。大沢さんはAbemaのベラトール中継でも解説をやりましたけど、ベラトールは定期的にAmebaで中継するようですね。
大沢 どういうかたちであれ視聴やすい環境ができて格闘技に興味を持ってくれる人が増えていってほしいですね。
――今回の3日連続UFCは凄い試合の連発でしたけど、まず聞きたいのは、UFC古参ファイターであるチアゴ・タバレスを1ラウンドKOした韓国人ファイターのチェ・ドゥホです。
大沢 あ〜〜!! チェ・ドゥホはヤバイですね、あれ! ヤバイ!
――フィニッシュの右ストレートはチアゴ・タバレスの顔面を見事に捉えましたが、見るぶんには凄く簡単に当ててましたね(笑)。
大沢 チェ・ドゥホの右の打ち方には、ボクが思うところあるんですよ。強い選手特有の打ち方があって。
――あれだけ簡単に当てると「当て勘がいい」という言い方をされがちですが、大沢さんはそういう言い回しに昔から否定的ですよね。
大沢 「当て勘がいい」なんてないんですよ。それって何か不思議なことが起きると、幽霊のせいにするのと同じであって。
――何かしら理屈はあるわけですね。
大沢 あの試合前にドゥホのミット打ちの映像が流れたんですけど。その時点でボクは右ストレートを狙ってることに言及してたんです。
――ドゥホの右ストレートはそこまで際立っているんですか?
大沢 ドゥホの右は、叩く感じなんですよ。モグラ叩きをやるときのモーションって早いじゃないですか。モグラが出た瞬間を叩く。普通の選手のパンチは押して打つから、動作的には「イチ、ニ!」になるんですよね。
――つまり予備動作があるんですね。
大沢 でも、チェ・ドゥホの右ストレートはモグラ叩きの要領で叩くから「イチ!」だけで早く打てるんです。光ったところを叩く感覚で。
――モグラ叩きで「イチ、ニ!」だとモグラに逃げられちゃいますね(笑)。
大沢 ドゥホのミット打ちが「イチ!」だけだったから「これは絶対に右を狙ってくる」と思ってて。日本人だと金ちゃん(金原正徳)もその打ち方だし、リオン武のカウンターも同じなんです。ボクがいろんな選手と練習したり、話を聞いて、引退した後に気づいたことをチェ・ドゥホは20代でやってるんだなって(笑)。
――チェ・ドゥホはそのやり方を意識してるんですかね。
大沢 そこは本人に聞かないとわからないですけど、技術ってずっと考えていれば気づくんです。早く気付いた奴が強いし、あの右は見えないですよ。ジョゼ・アルドとも打撃で勝負できると思います。
――UFC暫定フェザー級チャンピオンとも!
大沢 ちなみにアルドの打撃も「イチ!」だけで打ってくるんですけど、アイツの場合はヒザもいきなり出てくるんですよ。ムエタイのアップライトの構えでリズム取りながら距離を詰めてるじゃないですか。そのまま「イチ!」でパンチやヒザが飛んで来る。
――モグラ叩きでいえば、アルドはピコピコハンマーを2つ持ってるようなもんですかね(笑)。
大沢 ちなみにボクがやってた打撃は、相手に見づらくする方法なんですよ。いかに打撃を見えにくくするか。ストレート、アッパー、タックル、ヒザをやろうとする動作が「イチ、ニ!」になるから、相手は事前に把握できるんですね。そこを工夫して「イチ、ニ!」の「イチ」を見づらくして相手を惑わすんです。
――野球のピッチャーでいえば、球の出どころをわかりづらくするようなもんですね。
大沢 アルドやドゥホはそのひとつ上のレベルなんですよね。すべての打撃が「イチ!」で飛んでくるから。
――だからあんな簡単に顔面に入っちゃう。
大沢 今回の試合でドゥホはずっと右を匂わせてるんですよ。いつでも「イチ!」で打てるんですけど、右手をずっとピクピクさせていて相手に警戒させて、左のフェイトを振っておいて右の「イチ!」を打つ。
――ただでさえ反応できないのに混ざられたら……。
大沢 普通のワンツーに見えますよね。「こんな簡単に入るの?」って(笑)。
――ディフェスする側はどうすればいいんですか?
大沢 いやあ、難しいですよ。相手に先手を取らせないように戦うしかないです。金ちゃんと練習をすると、知っていてもフェイントに引っかかってしまうんですよ。だからいかに後手に回らないようするかですね。
――練習次第でそのモグラ叩きは習得できるもんですか?
大沢 できますよ。すぐにできる人もいますけど、そこはイメージの問題だと思うんですよね。やっぱりもともと習ったものってなかなか捨てられないんですよね。急に「モグラ叩きみたいに打て!」と指導されても、イメージできない奴は無理なので。
――武井壮もスポーツにおいてイメージは大切だって言ってますね。
大沢 そうそう。ホントそうだと思います。
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