橋本 大谷翔平のメジャー二刀流に中邑真輔のレッスルマニアと、朝からアメリカで日本人アスリートが大活躍ですよ。
橋本 ククククク。俺もいまだに「大谷翔平」という名前を聞くと「ヒャッ!?」って反射的に言っちゃうよね。アメリカの大谷翔平って「ショー・オオタニ」みたいな響きがあるでしょ?(笑)。
――大谷翔平になんだか申し訳ないですよ。いや、“Show”大谷さんには何も悪くないんですけど(笑)。
橋本 全然関係ない話なんだけど、大谷さんは俺のことを「橋本氏ぃ」って呼ぶんだよ。
――あー、俺も「斉藤氏ぃ」って呼ばれるんですけど、『まんが道』のトキワ荘の住人じゃないんだから!(笑)。そんな話はどうでもよくて今回のテーマは中邑氏ですよ。中邑氏ぃ!!
橋本 ヒャッ!?
――今日の『レッスルマニア』で中邑真輔のWWE王座獲得を信じて疑わなかったじゃないですか。
橋本 ホントにねぇ。歴史の証人になろうと、ニューオリンズ現地に行った日本人も多かったわけだよね。
――ボクも王座獲得を見越して、孫弟子の手によってアントニオ猪木が“日本人幻のWWF王者”だった事実が掘り起こされた……という原稿を準備してたんですよ。
橋本 そんな予定稿があったのね(笑)。
――プロレス界の中心から離れて山奥にこもっているボクですらそんな原稿を用意してるぐらいだから、全マスコミが王座奪取の前提で取材してたと思うんですね。
橋本 俺たちが日本に住んでる日本人……ということを差し引いても、そういう流れはあったはずだよね。ロイヤルランブル優勝からの『レッスルマニア』で王座挑戦という期待感もあったし、アメリカでの中邑真輔の人気ぶりも凄いわけでしょ。
――中邑目線じゃなくても、ここでAJスタイルズが防衛した先に何が見えるのか……ってことですよね。それなのにこの結果ですから。
橋本 結果が読めないプロレスだよね。ホントにWWEは怖いよ。
――メインのブロック・レスナーvsローマン・レインズも前評判を覆してレスナーが勝っちゃいましたし、こんなビッグイベントをある意味で“繋ぎの大会”にしちゃうんですもん! ビンス・マクマホン氏ぃ!!
橋本 『レッスルマニア』って1年間の集大成という見方があると思うんだよ。ドラマがここでいったん片付くというか、ひとつの結末を迎えて、翌日の『ロウ』から新しいドラマが始まる。今回の『レッスルマニア』は「いやあ、よかったよかった」じゃなくて「次はどうなるんだ?」という終わり方になった。数年前の『レッスルマニア』でレスナーvsレインズをやったとき、試合途中に乱入したセス・ロリンズがマネー・イン・ザ・バンクを行使してチャンピオンになったときもビックリしたけど(笑)。
――「ビッグイベントはハーピーエンドに決まってる」という刷り込みもあると思うんですよ。ハチャメチャだった昭和・新日本や暗黒・新日本とは違って、ゼロゼロ年代前半から日本のプロレスってその場の雰囲気を崩してまで「To be continued……」にすることはあんまりないですよね。
橋本 調子がよくなってきた新日本がたまにやるけど、WWEほどではないよね。
――バッドエンドではなかったですけど、今年のイッテンヨンで上り調子の内藤哲也がオカダ・カズチカに敗れた試合は、流れを崩してきたところありますよね。
橋本 あれも「いかに内藤でもドーム初メインで勝てるものではない」って捉えれば、崩してないとも言えるし。まあ試合結果だけじゃなく、いまの日本のプロレスは締めのマイクまで含めて、なんだかんだその場を満足させて、お客さんを笑顔にさせて帰すよね。じつはWWEも中継の結末とは別に、人気選手が“残業”して会場のユニバースの溜飲を下げたりすることがあるし。
――完結型ですね。
橋本 たとえば昭和の新日本プロレスは、そのときは消化不良でも来週夜8時になれば、テレビで続きが見れた。まさに連続ドラマというか。でも、いまはまずその場の空気を完結させないと。
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