米スポーツイラストレイティッド誌が、ローカル団体で活躍している女子格闘家ファロン・フォックス (37) が、もともとは男性として生まれ育った「性転換ファイター」であるとのスクープを報じたのは3月上旬のことだった。MMAでトランスジェンダーであることを明らかにした選手はこれが初めてであり、この報道はその後、女子格闘家を中心に波紋を広め続けている。
フォックスは、男性として19歳で結婚して家庭を持ち、家族を養うために海軍に入隊したり、トラックドライバーとして全米を駆け巡ったこともあったが、自分の性別に対する違和感がどんどん大きくなっていったため、2006年に単身タイにわたり性転換手術を受け、6週間後女性としてアメリカに帰国した。
2008年からレスリングと柔術の練習を始め、紫帯を獲得。2010年にはムエタイを中心とした打撃の練習も開始し、2012年5月にはアイダホ州のネイティブアメリカン居住地でプロデビュー戦を行い、1RにTKO勝ち、フロリダ州で行われた今年3月のプロ2戦目でも39秒でTKO勝ちしている。ただしフォックスはこれまで、州のアスレティックコミッションにも、対戦相手にも、トランスジェンダー・ファイターであることを知らせていなかった。もっとも、フロリダ州のライセンス申請書類には、性転換手術などの履歴を記入する欄がなく、どんな添付書類をそろえればいいのかも明らかではなかったし、性転換をしたかどうかを聞かれたわけでもなかった。正直なところ、フォックスの念頭には、他の選手と扱いが違うのは不公平だという気持ち、そしてもちろん、せっかく練習を積んできた以上、なんとしても試合に出場したいという気持ちもあった。
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