アメリカのインディプロレスの“現在”を伝える連載! アメリカインディープロレス専門通販「フリーバーズ」(https://store.shopping.yahoo.co.jp/freebirds)を営む中山貴博氏が知られざるエピソードを紹介していきます! 今回のテーマは「CMパンクとダニエル・ブライアンのAEW移籍説」です!



鋭い刃先のピザカッターで額を切り裂かれ、悲鳴をあげるクリス・ジェリコ。その額から血が流れる場面が、テレビ画面に映し出される。日常生活ではまず見ることがないであろう凄惨なシーンが、アメリカのプライムタイムに家庭に生中継され、その模様を100万人以上もの人たちが視聴した。

この衝撃映像は7月28日(現地時間)、全米中にテレビ放送されたAEWの水曜夜の定期番組「ダイナマイト」のメインイベント、クリス・ジェリコvsニック・ゲイジ戦でのワンシーンだ。

かつてはプロレスの醍醐味ともされたが、近年、WWEや新日本プロレスでは、あまり見ることがなくなった流血試合をテレビで見たのは117万9000人。そのうち、スポンサーにとって重要であり、購買意欲を持っているとされる18歳から49歳までの、いわゆる“コア視聴者数”は、63万3千人と高い数値を出した。

7月28日の同番組の平均視聴者人数は110万8000人。裏番組で地上波NBC局が「東京オリンピック」を放送し、1000万人以上が視聴している中、先週より視聴者数は4万人減少したものの、“コア視聴者数”では水曜夜の番組で上位に位置している。

今や若いプロレスファンを中心に人気を集めるこのAEWが、この夏から秋にかけてWWEに追いつけ追い越せと、大攻勢をかけようとしている。

噂の発端は、CMパンクとダニエル・ブライアン、2人の大物レスラーのAEW参戦である。

日本では、日本人選手が参戦したときくらいしか話題に上がることがないAEW。業界最大手WWEの影に隠れた、創立間もない新興団体と認識されているかもしれない。また、アメリカでは新日本プロレスの人気が高いと言われているが、それはプロレスマニアだけの話で、一般的知名度ではAEWには敵わない。

ジェイ・ホワイトがインパクト・レスリングに出るのもケニー・オメガと戦いたいわけではない。棚橋弘至がAEWの番組に出て、IWGP・US王座挑戦をアピールするのも、AEWで試合をしたいわけではない。新日本プロレスのアメリカ大会「NJPW STRONG」が、単体ではなかなか話題を作れないので、トップレスラーの彼ら2人が宣伝のため他団体に出ているのである。
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