フライ級トップの神龍誠と激闘を繰り広げた所英男インタビュー!(聞き手/松下ミワ)
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・フィーリング頭脳派・元谷友貴は何を考えているのか
――神龍誠選手との試合後、リング上で話していた会話の内容が話題になってますよね。
――神龍選手がその内容を明かしてましたが、「キミはこれから上に行くんだから、『おやじ狩り』とかも本当にツラい思いをしている人がいるわけだから、そんなに簡単に言っちゃダメだよ」と言われた、と。
所 まあ、ちょっと自分が言ったのとは違う感じにはなってましたけど……でも、ああいう感じで話はさせてもらいました。
――神龍選手が「おやじ狩り」と口にしたのはカード発表会見のときでしたが、試合が終わったらそういうことを伝えようと決めてたんですか?
所 いや、とくに決めていたわけではなかったんですけど、試合前にそう言われて、まあ思うことがあったので。でも、本当だったら「何言ってんだ?」と思われるようなことなんですけど、凄く素直に聞いてくれて。……神龍選手は「ヒールやめる」とか言ってましたよね?
――所選手の言葉がかなり刺さったのかもしれないです(笑)。
所 いやあ、ヒールはやめなくていいと思うんですけど。やっぱり那須川天心選手や武尊選手とかは、きっとああいうことは言わないだろうなと思ったし、神龍選手はビッグスターになる選手だと思うので。
所 もともと神龍選手と試合したいなと思ったのは、やっぱり凄くいい選手で試合も面白くて。今回「神龍選手とやったらいい試合になるだろうな」と思ってたので。まあ、好きな選手ではありますね。
――でも、そういうふうに所選手が誰かに意見するのはとても意外ですよね。いつもは「人はそれぞれ考え方があるから……」という感じだったような。
所 ああ、そうかもしれないです。でも、神龍選手はスターになる選手なので、そういう人になってほしくないという思いがありました。だけど、結果的に神龍選手がボクを上げてくれましたよね。知らないあいだに「所、いいヤツ」みたいな。そんなつもりじゃなかったんですけど(苦笑)。
――また時代が違ってきている、と。
所 もう自分は乗っかってきただけなので。「闘うフリーター」というキャッチフレーズにしても。
――それはそれで、やりづらさはありませんでした?
所 「もうフリーターじゃないのに」とかはしょっちゅう言われてたし(笑)。
――ハハハハハハ!
所 「いまは働いてるんですか?」とか、ちょっとバカにされた感じで聞かれたりしてましたけど。でも、ボクはそれで覚えてもらったので。所ジョージさんにつくってもらった『逆境ファイター』というテーマ曲も、「もっと違う曲のほうがいいんじゃないですか?」と言われたりしましたけど、ボクは凄く気に入ってて。とくに、ボクは所ジョージさんのことずっとテレビで見てましたから、あの曲をもらったときは最高にうれしかったです。だから、本当に周りの方につくってもらったものに乗っからせてもらったという感じです。
――たしかに入場曲が『逆境ファイター』に変わったときって、やっぱりちょっと違和感はありましたけど、調子がいいときも苦しいときも所選手がずっとあの曲で入場してきたことで、凄く味わい深い曲になってますよね。
所 ボクもあの曲を聴くと、いまでも鳥肌が立つんですよ。
――いろんな思い出がありすぎて。
所 曲もいいけど、凄く思い入れがあります。だから、会場で流れると自分でも「うわ~~~!」といろんな思いが込み上がってくるんですよね。
――所選手としては、そういうトラッシュトークなしにも、「自分の試合は面白い」という自信みたいなのはあったりするんですか?
所 うーん、自信というか、ボクはいまのMMAの戦い方はできないので。RIZINもちょっと観る人の層が変わってきてるので、ボクの試合を見てもらって「どう思われるのかな?」という不安はありました。やっぱり、自分がRIZINに出始めた頃、才賀紀左衛門選手、クロン・グレイシー、山本アーセン選手とやったときとはRIZINの雰囲気も変わった気はしているんですけど。だから、そういう人たちがボクの試合を観てどう思うんだろうな? と。
――実際は、今回の試合も含めて「やっぱり所選手の試合は面白い」という感想であふれてますよね。
所 いやあ、本当にもう何もできなかった、何もさせてもらえなかった試合だったんで驚いてます。控室に入っても、ずっとうなだれながら、正座してお弁当食べてましたから……。
――ハハハハハハハ!
所 うなだれていても、腹は減るんで(苦笑)。そこで、コメントルームに呼ばれて「何もしゃべることないのになあ……」と思ってたら、そういう話を聞いて。だからビックリしました。自分の中では判定3-0で完封されてますし、やりたいことが何もできなかったので。
――試合を振り返ると、逆に神龍選手のほうがやりたいことさせてもらえてない印象があったんですけど。
所 どうなんですかね? 本当はもっと打撃でくるのかなと思って、そういうことを身構えて練習もしていたんですけど。
――序盤に所選手の打撃が当たってたので、スタンドは嫌がったのかな、と。
所 嫌がったのか、グラウンドで固めていけると思ったのか。まあちょっとそのへんはわからないです。
――グラウンドになったらなったで、所選手がくるくる回るから極めるのも難しいというか。
所 まあ、なかなか極められないですからね。ボクは「深追いしてほしいなあ」と思ってたんですけど。でも、3ラウンドももっと立っていかないといけなかったんでしょうけど、そこがダメでした。まあ、そういうのも含めてうなだれてましたね。
――じゃあ「いい試合だった」と言われても本当に驚いているというか。
所 ビックリしてますし、試合後はまだ自分の試合を見返してないんですよ。悔しくて。
――それだけ納得してない。
所 だから、この悔しいまま次の試合をやりたいなあと思ってますね。
――試合後は、記者の方に「所英男が必要だというコメントがいっぱいきてますよ」と言われて涙ぐんでた姿も印象的でした。
所 そのときのボクの気持ちがやっぱり「もう、ダメだ……」「またRIZINで試合するのは難しいだろうなあ」とか思ってたときだったので、よけいにうれしかったんですよね。
――それに、今回は所選手の泣いてる姿ばっかり見てた気がするんですよね(笑)。
――公開練習で泣き、煽りVで泣き、試合後のコメントで泣き。
所 いや、ホントっすよね(苦笑)。
――今回、9年ぶりのフライ級ということで、やっぱり減量の影響が大きかったんですかね?
所 でも正直、減量は全然キツくなかったです。
――えっ! そうなんですか?
所 もう全然。「あ、こんなにラクなんだ」と思いましたね。今回、10キロぐらい落としたんですけど、9年前にフライ級に落としたときと比べると、毎日ごはんを普通に食べてましたし。
――減量は専属のトレーナーさんついてもらったという話ですよね?
所 KJ(三久保宏治)さんというトレーナーの方なんですけど、やっぱり9年経つと減量も進化してますよ。
――いままでのやり方とはけっこう違ったんですか?
所 基本アドバイスしてもらうのは食事なんですけど、ちゃんと食べてもちゃんと落ちてて。でも、最後の1週間は不安だったので何回かお会いして。でも「これはサイエンスなんです、科学なんですよ」と言われて。だからボクも「言われたとおりにします」という感じで(笑)。
――サイエンスですけど、呪文のように(笑)。
――減量に関しては、RENA選手も同じトレーナーの方だったんですよね?
所 そうです。RENAさんはRENAさんでけっこう落としたみたいなので、大変だったみたいですけど。でも、ちゃんと落として3ラウンド動けてたみたいなので。
――凄いですね。そのKJさんという方は減量専門のトレーナーさんなんですか?
所 いや、基本は普通のトレーニングのトレーナーさんなんですけど、減量は減量で凄く研究されてて。アメリカントップチームの人に習ったとか聞きましたけど、ちょっと詳しくはわからないです。
――とにかく信じてやったと。でも、心のほうは不安で情緒が不安定だったという。
所 そうですね。ちょっと恥ずかしいですよね(笑)。
――泣きどころというか、泣いてしまうツボがあると言われてましたけど、けっこう昔話されると弱いんですかね(笑)。
所 その9年前のVTJの話とかをされちゃうとやっぱりキツいですよねえ。
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コメント
コメントを書く所選手の試合は誰が見ても面白いと思います!
所さんは同世代、中年の星ですよ。
最高のライバル中村大介選手も今第二のピークを迎えてるぐらいだし、まだまだ所さんの試合を観たいです。
いろいろあって出られないのとこもっと知りたい。
減量がきつくなかったというのが意外。
1回KJさんのインタビューも読みたいですね。減量メソッドというのはなかなか知る機会がないので。