大晦日に因縁のクレベル・コイケ戦が決定した斎藤裕インタビューです!(聞き手/ジャン斉藤)
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――もうクレベルとは巡り合わないと思っていたのに……。
――まさに「タイミングが合えば」ですね。
斎藤 合っちゃいましたねぇ(笑)。この大晦日じゃなかったら、もうなかったかもしれないですね、ホントに。やっぱりマッチメイクは勝ち負けによって全然変わってしまうので。
――ファンが「見たい!」と歓迎するカードでも、それぞれ選手と興行側の思いが合致しないと組めないってことですよね。そもそもクレベルが金原正徳戦で勝っていたら、このカードはありえなかったでしょうし。
斎藤 このタイミングではないでしょうね。やっぱりマッチメイクはホントに難しいですね。
――とはいっても、クレベル戦があると思いましたか?
斎藤 うーん……まだわからないかな、と思ってましたね。彼が今後どういうふうに動くのかはわからなかったので。
――すぐにこの負けを取り戻したいと考えるのか、ちょっと休んでから再起するのか。
斎藤 そうなんですよね。金原さんとの試合が終わったあと「すぐにアゼルバイジャンで試合したい」と言っていた記事をチラッと見ましたけど。
――RIZIN名古屋大会で朝倉海とのスタンディングバウトルールが直前まで検討されたり。
斎藤 大会前日まで交渉していたやつですよね。
――こんな緊急な企画なのにクレベルは「ヒジありでやりたい」とか言い出して(笑)。
斎藤 まあ、それがRIZINの世界観ではありますね(笑)。
――クレベル戦はRIZINのほうからオファーがあったんですか?
斎藤 はい。正式オファーがあって、こっちとして「やります」と。
――オファーがあったときはどう思いましたか?
斎藤 ボクが大晦日に試合をするんだったら「誰だったらいいかな」って考えてはいたんですけど。早めのタイミングで決まってよかったですし、クレベルだったら盛り上がるなって思いました。やっぱり大晦日ですから、みんなが盛り上がれるカードですよね。
――意外なことに斎藤選手の大晦日参戦は2021年の朝倉未来戦以来2度目なんですよね。
斎藤 そう、2度目です。RIZINに出てからは毎回会場には行ってるんですけど。
――もっと出ているイメージはあるんですけどね(笑)。というと、対戦候補として考えていた中の1人にクレベルは入っていたってことですね
斎藤 はい。ファンは見たいと思うでしょうし、できたらいいかなとは思ってましたね。だから断る理由はなかったです。
――忘れてるファンもいると思うんですが、2年前にクレベルと「やる・やらない」で水面下で騒動になったときがあって。クレベルの都合で大会の日時を延期してでも組もうとしてたけど、結局クレベルとRIZINの交渉が不発に終わり、宙ぶらりんとなった斎藤選手は急遽牛久絢太郎と対戦することになりました。記者会見でも複雑な思いがあるような口ぶりでしたね。
斎藤 はい、思うことはたくさんありますね(苦笑)。
――ハハハハハハ。だからって怒りや恨みとして引きずってるわけでもないですよね。
――「あの野郎!」という感情があるわけではない。当時は振り回されたから、そういうものはあったのかもしれないですけど(笑)。
斎藤 まあ、ないことはなかったですよ(苦笑)。それよりもプロモーションみたいなかたちで皆さんにもそういう事情を知ってもらえたら、試合に対して思いが深まるのかなあ……って。
――クレベルの前回の試合、金原戦のことをあらためて聞きたいんですけど、結果的にどう思われますか?
斎藤 そうですねぇ。金原さんがすごく上手に戦って、寝技でもトップからのパスカードという攻めをして、クレベルに極める機会を与えなかった。そこまで行かせなかったという感じですね。
――金原選手の一方的な展開になると思いました?
斎藤 うーん……あそこまで封じ込められるかなとは思ったんですけど、やっぱり1ラウンドの立ち合いでパンチが当たったことで、だいぶ流れが金原さんのほうに傾いたのかなとは思いましたね。それでもワンチャンスで極めるシーンがあるかなっていう自分の予想はあったんですけど、そこまで攻めさせない金原さんの実力が見えた試合ですよね。
――いったん金原有利の展開になっちゃうと、クレベルでも修正していくのは難しいってことなんですかね
斎藤 そうですね。あとこれは本人たちにしかわからないと思いますけど、クレベルは本調子だったのかなっていうところは正直なところはありますね。金原さんを落とすわけじゃないし、そこで完全に封じ込められる金原さんの強さがあったんだとは思うんですけど、クレベルがどこまで作ってこれたのかってことはすごく思いました。
――前回の減量失敗の影響もあったんじゃないかと。
斎藤 減量もキツイんですかね。身体が緩かったし、気持ちのアップダウンも激しいですよね。彼は試合以外でも暴れてるんで(苦笑)。
――ハハハハハ。ファイターはメンタルを整えるのも大事ってことですね。
斎藤 だと思いますけどね。それが9月の試合ではいい方向にいかなかったかなって個人的に勝手に思ってます。
――最近の斎藤選手はスクランブルで試合に出る感じではないから、メンタルは落ち着いてる感じですか?
斎藤 ボクはそういうのはもう終わりましたね(笑)。そういう時期もありましたけどね。ひとつの試合に勝ち負けで状況が目まぐるしく変わってくるので、動きを見ながら自分が行けるときは入るし、待ったほうがいいかなってときは落ち着いて待つというか。
――いまは緊急事態のボールが飛んでこないゾーンにいる感じですかね。
斎藤 デッドボールが当たるような位置にはいないですけど(苦笑)。立ち位置をちょっと間違えると大変なことになっちゃうんで。
――いまは鈴木千裕がバッターボックスでインコースに覆い被さっているというか(笑)。
斎藤 彼はいいですねぇ。ああいう若手が出てくれると、我々は助かりますよ(笑)。いい意味でも恐れ知らずというか、とりあえず「行く!」「やる!」で。年齢的にも、じつはいいキャリアを積んでるんじゃないかなって見えてしまいますね。すごくそう思います。
――最近のUFCでヴォルカノスキーとウスマンの大物2人がショートノーティスで試合に出てたじゃないですか。ファンからすると「無理しなくていいのに」「消耗されちゃう」という感想になるんですけど、斎藤選手もそういう機会が多かった。選手側からすると、それがチャンスだったら無理して戦いたいという気持ちはわかりますか?
斎藤 そこにはいろんな背景が見えますよね。自分はそういうことを経験してきてるんで、表に見えるものだけじゃなくて、裏で何が動いてるのかも勘ぐってしまう。その選手が急な試合をやるということは、それだけの理由がきっとあるんだなって見えてしまうので。それでも無理なものは無理な場合はあるんですけど。
――それこそ幻に終わった朝倉海vs皇治なんかそうですね。逆に井上直樹の欠場を受けて佐藤将光vs太田忍で収まった。
斎藤 そこは自分が望む条件なら、ですよね。選手側としても、落とし所を見つけてやるのが一番理想だし、そこはプロフェッショナルとしてはすごく大切な判断だと思います。
――単なる消費されてるわけではないと。
斎藤 たぶんそういう目で見られるのは選手がつらくなっちゃいますよね(苦笑)。
――そこで決意したり、何か考えがあって決めたことですし。
斎藤 目に見えるものだけだったら、消費されたように見えるかもしれないですけど、自分はそういうふうには決して思ってはないです。ファンに心配してもらえるのはありがたいですけど、まあまあ安心してくださいと。どんな試合でもケガはするだろうし、無事に帰れる保証はない。試合はやるとしたら覚悟を決めないといけないんですけど。自分はそこで消費させられたとか、あんまりネガティブなふうには思わないですけどね。そういう場だからこそ経験できたこと、感じることもたくさんあるので。それはやった人にしかわからないですよね。自分自身が成長できたころで、やった意味があったのかなって思えるようになりました。
――RIZINに投げる魔球を受けた男だから、鈴木千裕選手はいいキャリアを積んでいると思えるのかもしれません(笑)。そういえば幻のクレベル戦が浮上する前あたりですかね。中村K太郎さんの相手にトップポジションからの攻防を確認している姿を見たことがあるんですよ。あれってクレベル戦を想定したものですか?
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コメント
コメントを書く"斎藤チャンプ"と謳われ続ける男へのインタビュー。
インタビュアーが投げかける質問に対して真摯に答え続けていく、丁寧に、間違わない様に答えていく。
めっちゃ「嘘をつくのが」嫌いそう
斎藤選手にとっての水と油は朝倉未来ではなくクレベルなんですよね。だから斎藤選手にクレベルの事を話させると冷静を保とうとしても一言多くなってそこがとにかく面白い。
JAPAN TOPチームの講師になって、朝倉未来と一緒に練習してほしい。