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恐怖のRIZIN開国と世界戦略■笹原圭一
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恐怖のRIZIN開国と世界戦略■笹原圭一

2024-09-02 00:00
    大会後恒例!RIZIN広報・笹原圭一さんのRIZIN47代々木総括14000字です!(聞き手/ジャン斉藤)

    【1記事から購入できるバックナンバー】

    ・【KNOCK OUT代々木】五味隆典にやられた!■山口元気


    *ニコニコチャンネル停止中の6月19日にnoteに掲載された記事になります


    ――
    笹原さん! RIZINが焼け野原になるんじゃないか……と震え上がったRIZIN代々木でした!

    笹原 「黒船ペリー来航」ならぬ「チャーリー来航」ですよ!チャーリー柏木さんが率いる屈強な外国人軍団がついにベールを脱いだ感じですよね。

    ――「泰平の眠りを覚ます上喜撰 たった四杯で夜も寝られず」ですか(笑)。ペリー柏木さんがRIZINに開国を迫っているとして、笹原さんはどんな立場なんですか? 尊王攘夷派なのか、開国派なのか?

    笹原 ボクは「面白くなるならどっちでもいいんじゃね?」という幕末なら真っ先に新撰組に処刑されそうな考えですね(笑)。

    ――ハハハハハハ! ちなみにボクは公武合体派なんですよ。「開国して外国人をガンガン呼ぶべき!」という話でもなく、RIZINのような大規模のMMAイベントって海外にシェアを広げていかないと難しい時代ですよね。

    笹原 ホントにそうなんです。前から「なんでメイウェザーなんて呼ぶんだ?」とか批判されたりするんですけど、世界中の選手や関係者からRIZINというイベントがあることをアピールするためには絶対に必要です。

    ――メイウェザーという世界的な知名度を利用していると。

    笹原 そうです。もちろんメイウェザーを使って面白いことをやりたいという気持ちが先にあったりするんですけど(笑)。

    ――そこはプロモーターとしてのロマンを追求したいわけですね(笑)。

    笹原 いまのRIZINはたしかに国内マーケットは好調ですよ。でも、それだけで回していても早晩行き詰まりますからね。

    ――メイウェザー同様に「パッキャオvs鈴木千裕なんかやるべきじゃない!」みたいな声もありますけど、それもやはり海外展開をにらんでいるからってことですよね。

    笹原 そうです。「は? 海外展開?UFCにかなうわけないじゃん」みたいな腑抜けたことを言う人がいますけど、そういう人は「RIZIN丸」から下船してください!!  巨大帝国に立ち向かう勇気を持った人だけで大海原を渡って勝負を挑みますよ!!! 「日本を今一度せんたくいたし申候!」という龍馬のような志がオマエらにはないのか!? 戦う前から負けること考えるバカいるかよ!!!!

    ――新選組じゃなくて笹原さんに処刑されそうですよ(笑)。いったん寺田屋で落ち着いてください。

    笹原 失礼しました。まぁでもUFCとまともに勝負しても当然太刀打ちできないですけど、彼らが考えもつかないようなことをやってマーケットを勝ち取らないといけないんですよね。

    ――国内のプロレス団体ではぶっちぎりの新日本プロレスに陰りがあるのは、海外の放映権料の圧倒的な違いもあって、有力選手を取られまくっているからですよね。

    笹原 新日本プロレスさんもアメリカ進出はしていますけど、もともとWWEが市場を独占していることもあって、簡単じゃないですよね。

    ――圧倒的な資金力を誇るAEWですらWWEには太刀打ちできてない。あのPRIDEだってUFCの急成長を受けてアメリカに行かざるをえなかったり。

    笹原 PRIDEも国内のマーケットは完全に取っていたんですけど、UFCが大きくなりかけたんですよね。

    ――正直あの頃のUFCの規模って所詮はアメリカナンバーワンのローカル団体でしたよね。「アメリカナンバーワンのローカル団体」っておかしな言い方なんですけど(笑)。

    笹原 そうです。まだPRIDEが進出した時には北米マーケットはいまみたいに開いていなかったんです。でも、日本とは市場規模が桁違いに大きい北米マーケットが開いたら、簡単に逆転されるぞ、という危機感があったんです。だからもっと早く北米で勝負をかけようとしていたら、フジテレビショックが起こった。

    ――北米市場に勝負をかけようと攻め込もうとしたら、背後に火の手が上がったと。それで北米進出が半歩なのか、一歩遅れた。

    笹原 そうです。加えて国内市場が安定していたまま海外に討って出たなら、戦い方は全然違ったと思うんですけどね。

    ――RIZINに話を戻すと、海外戦略の一環としてパッキャオを使うわけですね。


    笹原 メイウェザー同様にパッキャオは世界的にビッグネームですからね。それは「悪のチャーリー軍団」を使うのも同じなんですよ。

    ――「悪のチャーリー軍団」ってショッカーみたいな扱いですよ(笑)。

    笹原 やっぱりスポーツってドメスティックな世界だけで競うんじゃなくて、世界に窓が開いていないとダメだと思うんです。

    ――日本のプロ野球もWBCで優勝したり、メジャーに選手を輩出してたりすることで、国内のペナント争いだけではない「対世界」という視点が生まれていますよね。

    笹原 パッキャオを使うのも、中央アジアから怪物を呼んでくるのも、太田忍選手をベラトールに送り込むのも、RIZINが海外と繋がっているところを示すためです。

    ――太田忍選手がベラトールに出ても、RIZINにお金がどっちゃり入るわけではないですけど、RIZINというブランドに寄与するものがある。あのカードはRIZINではなくベラトールでやるから面白いんですよね。

    笹原 敵地で太田選手が勝てば、次のRIZINの試合が楽しみになる。それはつまり太田選手に求心力が生まれるってことですから。

    ――その話でいえば、UFCをFAした堀口恭司のRIZIN参戦が何が大きいかといえば、UFCのブランドを引き下げて帰ってきたところですよね。デメトリアス・ジョンソンとのタイトルマッチ以外に負けてない日本人がいると。

    笹原 堀口選手は強さの象徴として説得力が圧倒的でしたからね。その堀口選手を軸にRIZINは動いていきましたが、新型コロナのパンデミックで……。

    ――外国人選手は途絶えたけど、その国内路線がRIZINの人気に火をつけたところがありますよね。日本人対決って両陣営のファンが燃えますし、SNSで加速していきますから。強さの象徴だった堀口恭司でさえ、バンタム級GP、コールドウェルと日米2連戦、那須川天心との異種格闘技戦と、あの手この手を尽くさないとMMAビジネスは広がっていきませんでしたし。

    笹原 強さを競うのは格闘技の大前提ですが、それだけではお客さんは集まらない。ハードコアなファンを惹きつける求心力と、外に向かって発信する遠心力を同時に育てていかないといけないですから。

    ――猪木さんの「環状線理論」ですよね。たとえば那須川天心のキャリアでいえば……

    ①那須川天心vsロッタン 環状6号線(自分から情報を集めるファン)
    ②天心vs堀口恭司 環状7号線(興味はあるが運営側が仕掛けないと見ないボンヤリ層)
    ③天心vsメイウェザー 環状8号線(格闘技に関心がなく強引に仕掛けないと振り向かない層)

    6号線も7号線も8号線も兼ね備えた天心vs武尊ってプレミアムなカードだったんだなと。でも、天心のRIZIN参戦前に実現していたら、どの程度の規模だったのか……猪木vsジェット・シンも伊勢丹襲撃事件後だから広まったところもありますし。以上、昭和プロレス老人会の意見でした!

    笹原 猪木さんの発想って本当に素晴らしいですよね(笑)。いまRIZINがやらなきゃいけないのは、環状8号線を超えての世界進出ですけど、そこもすでに猪木さんが取り組んでいましたからね。

    ――旧ソ連、北朝鮮、キューバ、パキスタン……猪木さんはヤバイところばっかり向かってますよ!(笑)。

    笹原 RIZINがアゼルバイジャンに行って満足している場合じゃないですよね(笑)。もっともっとRIZINを知ってもらってマーケットを広げていくしかない。そうやって稼ぐことで一流のファイターを日本に呼べるし、当然日本人ファイターにも還元できるわけです。

    ――ぶっちゃけセルジオ・ペティスやアーチュレッタもかなりお高いはずですよね(笑)。

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    笹原 皆さんが想像するよりかなりお高いです(笑)。だからみんなが見たいファイターが呼べるようにRIZINをもっとお金を生み出せる構造にするしかない。ただ、こういうことを言うと「あいつらは金儲けのことばかり考えている」とか言う人がいるんですけどね。

    ――えっ、お金目当てじゃないんですか?(笑)。

    笹原 んあー。見てくださいよ、今日のボクの服装を!全身ユニクロですよ!お金を儲けるのは、RIZINをより魅力的な舞台にするためで、私腹をこやすためじゃないですから。

    ――稼いだお金を未来に投資していると(笑)。

    笹原 たとえば「デメトリアス・ジョンソンを呼んで堀口選手と戦わせろ!」とか簡単に言いますけど、DJが「いくらかかるの?」って話ですよ。

    ――ONEがデメトリアス・ジョンソンに払っているファイトマネーって、RIZIN佐賀大会が3~4回できるんじゃないかって金額だと思いますよ!

    笹原 仮にONEで契約している選手を引っ張ってくるにしても、その選手に振り向いてもらうような条件を提示するしかない。しかもファイターってお金だけでは動かないですからね。いや、まずお金だったりするんですけど(笑)。

    ――お金だけじゃ動かないけど、お金は必要だと(笑)。

    笹原 納得できるお金があったうえで、その舞台で戦うことが魅力的かどうかですからね。

    ――北米は「UFCであらずんば人にあらず」な風潮なので、ベラトールバンタム級王者パトリック・ミックスもファンからリスペクトされないことに不満をもらしてましたね

    笹原 そこの舞台で戦うことを意気に感じられるかどうかですよね。そのためにはRIZINで戦うことがどれだけ魅力的なのかをアピールしなければいけない。

    ――だから飛び道具も使うと。

    笹原 バンバン使いますよ(笑)。でも、そういう競技をはみ出したようなことをやるためには、何が必要かわかりますか?

    ――えっと、やっぱりお金ですか?

    笹原 何度も言いますけどお金は必要です(笑)。でも競技をはみ出したことをやるためには、しっかりと競技を確立させなきゃいけないんですよ。競技以外のことをやるために競技に真剣に取り組まなきゃいけない。

    ――しっかりとしたデッサンができるから、自由な絵が描けると。

    笹原 だからイベントとしても、「悪のチャーリー軍団」に乗っ取られたかのようなRIZIN代々木大会もやるし、超RIZIN3のようなお祭りもやるってことです。


    ・公務員格闘家のファイトマネー
    ・「フルスイングみたいな選手はいないのか」(榊原)
    ・ベイノアは愛の追試
    ・チャーリー柏木の「荒削り」枠問題
    ・ポーランドKSWとの提携
    ・シェイドゥラエフにはUFCからもオファーが…
    ・クレベルの次戦は…
    ・幻のダウトベックvs●●、▲▲
    ・朝倉海UFC好待遇
    ・THE MATCHの背中が見えてきた超RIZIN3……まだまだ続く!!

    この続きと浅倉カンナ、安保瑠輝也、ドーピング問題、くるみ……などの「10本14万字・格闘技記事」が550円(税込み)が読める詰め合わせセットはコチラ


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