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日本格闘技界はドーピングにどう向き合うべきか■大沢ケンジ☓タケ ダイグウジ
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日本格闘技界はドーピングにどう向き合うべきか■大沢ケンジ☓タケ ダイグウジ

2024-11-09 20:52
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    9月に配信された大沢ケンジ☓タケ ダイグウジのドーピング対談の活字版19000字です!(聞き手/ジャン斉藤)


    【1記事から購入できるバックナンバー】

    川尻達也vs鈴木芳彦「RIZIN開国の不毛な議論」23000字




    ――
    今回のDropkickスタジオ配信のテーマは「ドーピング」です。まずはドーピング関連の話題でお世話になっているトレーナーのタケ ダイグウジさんです。

    タケ よろしくお願いします!

    ――そしてもう1人は、検査をしたら何か反応が出てしまうんじゃないか……という「鉄の喉」の持ち主・大沢ケンジさんです。

    大沢 ハハハハハ。たしかに怪しい顔立ちはしてますけどね(笑)。

    ――喉は壊れたことないんですか?

    大沢 ボクね、小さい頃に喉が潰れたんですよ。小学3年生ぐらいのときに声が出ない時期が1年ぐらいあって。そのときに腹から声を出さないとダメだとわかって、それで発声が変わったんですよね。喉ドーピングはしてないです(笑)。

    ――大沢さんの疑惑が晴れたところで、一時期よりは風化まではいかないですけど、ちょっと鎮火した感じがあるドーピングについて語っていきます。だいぶ落ち着いたからこそ振り返れることもあるので、よろしくお願いします。

    大沢 まあいろいろと騒ぎになりましたけど、すごく勉強になる期間だったなと。いままで噂話で耳にすることはあったんですけど、今回のことでリアリティを持ってドーピングが近づいてきてる。各方面に話を聞いたら意外とカジュアルにやってるんだな、みたいな。

    タケ それ、誤解されそうですけど、カジュアルにやっているのは格闘技界じゃないですよね?(笑)。

    大沢 あ、そうです(笑)。ボディビル方面なんですけど、トレーニングされてる方に聞いてみると、意外に……普通にやってることを口にするじゃないですか。「ちゃんと専門家に聞いてやってますよ」「あんまりネットで買わないほうがいいですよ」とか。

    タケ ボクも一時ボディメイク系の選手を指導してたことがあって。ボクが教えていた選手たちは当然ナチュラルでしたけど、「あれ?この選手、急に身体がでかくなったな?」という選手はまあまあいたんですよね。

    ――ボディメイク系以外の競技はどうなんですか?

    タケ 他の競技では基本的に聞いてないですね。

    大沢 相撲はどうですか?

    タケ まあ、相撲は無法地帯なので(苦笑)。

    ――相撲は検査がそこまで厳しくないってことですか?

    タケ いや、ゼロでしょ。まあ伝統芸能ですもんね。

    大沢 ボクは話を聞いたうえだけの知識なんで。詳しい方からしたら「違う」って言われるかもしれないですけど……ステロイドを使うとどれくらい身体が大きくなるのかを聞いてみたんですよ。ドーピングなしで本気でトレーニングして、食事をめっちゃくちゃ取る場合、筋肉量は年間マックスで2キロぐらいですよね?

    タケ ナチュラルだと2キロですね。

    大沢 で、ステロイドありだったら半年で5キロ増えますって。

    タケ ですね。年間10キロは増えますよ。

    大沢 あと練習がガンガンできるようになるんですよね。アナボリック・ステロイドだったら1日3部練は安定していけると。

    タケ そこは薬の種類によってだと思うんですよね。完全に筋肥大だけ狙ってくると逆に心臓に負担かかってしまうから。

    大沢 ボクはいままで、ステロイドでパンパンの60キロと、ナチュラルでパンパンの60キロは結局筋肉だけだったら同じじゃないの?って思ってて。ステロイドを取ってもあんまり意味ないんじゃないと思ってたんですけど、練習量が増やせるとなると、ちょっと話は変わってくるんですよね。

    タケ そこが相当なメリットじゃないですか。回復力もアップして、靭帯や腱も強くなってケガをしにくくなる。

    ――これだけで現場に携わっている大沢さんでも、日本のMMAソーンにドーピングが浸透している雰囲気は感じなかったわけですよね。

    大沢 全然です。これは本当の話ですよ。HEARTSはあんまり出稽古してないし、そんなに積極的に外で練習する奴はいないんですよ。だからあんまり情報が入ってこなくて。噂では「◯◯はやってる」と聞くことはあるんですけど、実際はどうかはわからない。体感としてはなかったんですよ。

    ――大沢さんの現役時代もですか?

    大沢 そうです。

    タケ ボクも日本人に関しては耳にしなかったですね。けど、ボクがMMAファイターを見出したのはここ15年ぐらいだから。それは2010年の手前ぐらいで、国内でいうと格闘技が下火になってきて、軽量級の選手が多くなったとき。身体の大きい日本人選手が少なくなっていたから、それ以前のことはわかんないですよね。

    ――2000年代の頃は怪しい選手はチラホラいたんですけど。

    タケ ちょっと名前が出せないけど、「うーん……」っていう選手はいましたね。

    大沢 それはヘビー級ですよね?

    タケ ヘビー級もそうですし、中・軽量級でも……。

    大沢 ……あ~(笑)。ちなみにボクの知り合いの選手がアメリカで試合したときに試合前に興奮剤を1錠飲んだけど、全然興奮しなくて。試合直前にもう1錠、飲んだんですよ。そうしたらめっちゃ興奮して1ラウンドはガーッとめちゃくちゃ攻めたけど、2ラウンド目は鬼のように失速して結果はドローになった先輩がいて(苦笑)。

    ――急に失速する外国人ファイター、けっこういましたよね(笑)。

    大沢 高阪(剛)さんが言っていたのは、高阪さんがUFCに出ていた頃(90年代~2000年代初頭)って海外の連中はとにかく気性が荒いと。控室でも吠えまくってるんですよ。しばらく経って気づいたのが「みんな興奮剤をやってるから興奮しているんだな」と。そんぐらいカジュアルというか、あたりまえに浸透していたってことですよね。

    ――ちょっと前まで海外のメディアが「PRIDEは薬物天国だった!」と騒いでましたけど、正直どの口が言ってるんだと思ってましたよ(笑)。

    大沢 他のスポーツでいえば、自転車もドーピングがハンパじゃなかったですよね。ランス・アームストロングとか。

    タケ あのへんは血液ドーピングの始まりみたいな時期ですよね。

    大沢 もちろん格闘技も昔の動画を見ると、とんでもない身体してるなって思いますよ。肩周りとかハンパじゃないし。

    タケ 国内だとZSTに出ていた某外国人は「あ、入れたな」ってわかりましたね。明らかにテンションがおかしかったし。

    ――昔は外国人が吠えながら入場してくるじゃないですか。試合前だから無駄なスタミナを使う必要はないんですけど、いまとなってみては興奮剤がものすごく効いていたんだなと(笑)。

    大沢 これ、名前を出していいのかわからないですけど、修斗にも参戦していたUFCファイターの◯◯。控室が同じだったんですけど、めっちゃテンションすごくて「これはやってんのかな」って思っちゃいましたよ。

    タケ あっ、ボクと水垣(偉弥)もUFCのときに◯◯のテンションはヤベえだろって話になったんだけど、ナチュラルなんじゃないかなって。ただテンションの高い人(笑)。

    大沢 マジっすか? あれ、尋常じゃないですよ?

    ――結論としては選手の皆さんは控え室でおとなしくしたほうがいいんじゃないかってことですね(笑)。

    ・軽くなる計量オーバーの罪悪感
    ・赤沢幸典という男
    ・「選手が使いたい」と言い出したら…
    ・ドーピングは「精神と時の部屋」
    ・練習しない奴に効果なし?……19000字対談はまだまだ続く


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