もっと知りたい韓国格闘技事情!PKヤドラン@PKyadoran さんに解説してもらいました!(聞き手/ジャン斉藤) ★11月1日に配信されたものを活字化したものです


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SNS上で韓国格闘技情報を発信しているPKヤドランさんにお話を聞いていきたいと思います。

ヤドラン 初めまして、X上で「PKヤドラン」として活動しているものです。

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韓国といえば隣の国ですけど、じつは韓国格闘技界のことは知らないことが多いんじゃないかということで。まず、ヤドランさんはどういった経緯で格闘技界に関わるようになったんですか?

ヤドラン
 もともと私はK-1で活躍してた長島☆自演乙☆雄一郎選手が大好きだったんです。その試合を観に行くようになったことが始まりですね。

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それは、日本に住んでいて?

ヤドラン
 いや、韓国から試合のたびに来日していました。私はもともとアニメが好きで、長島選手もアニメオタクとして活躍していたじゃないですか。そこがちょうどマッチしたんですよね。といっても、最初は私は長島選手のアンチで「格闘技を舐めてるのか!」みたいな(笑)。

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ハハハハハ!

ヤドラン
 でも、ファイトスタイルを見たらめちゃめちゃ面白くて、見ているうちに「この選手は面白いな」と日本まで応援に行くようになりましたね。

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そこから日本語も覚えていったんですか?

ヤドラン
 日本語を初めて覚えたのはアニメだったんですけど、もっと詳しく学ぶようになったのはやっぱり格闘技です。

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現在は格闘技関連のお仕事もされてるんですかね?

ヤドラン
 主にキックボクシングに関する仕事ですね。日本から試合のオファーがあったら韓国でキックボクシングをやっている選手を紹介してアテンドするという。

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マネジメントとまではいかないまでも、窓口としての活動をされているわけですね。キックの韓国人ファイターといえば、最近はRISEとかに参戦している印象がありますが、他の団体でもオファーはあります?

ヤドラン
 大阪のDEEPキック、名古屋のホーストカップ、NJKF(ニュージャパン)、あとはKPKB(九州プロキックボクシング)という団体にも関わらせていただいてます。

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けっこう需要があるんですね。

ヤドラン
 やっぱり韓国人ファイターは勝っても負けても試合が面白いと言ってくれる関係者が多くて。それに地方都市の興行も、日本人同士の対決より日本人vs海外選手のほうが盛り上がりますから。

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そもそも自演乙さんを知る前から格闘技のファンではあったんですかね?

ヤドラン
 ファンというか、格闘技を見るようになったきっかけはチェ・ホンマンですね。

――
チェ・ホンマンといえば韓国相撲シルムの横綱で、K-1にも参戦していた大巨人ファイター。

ヤドラン
 私はそもそもK-1やPRIDEはまったく知らなかったんです。チェ・ホンマン選手がシルムを辞めてK-1に行くというニュースが韓国で流れて「K-1って何?」と。もちろんチェ・ホンマン選手が出場する前にも2004年にK-1韓国大会が開催されてますが、そこまで韓国でK-1は浸透してはなかったんですね。本当にチェ・ホンマン選手がK-1出場してから人気がパッと広がっていったので、私もそれで知ったうちのひとりでした。

――
じゃあ、チェ・ホンマンを獲得したのはK-1にとって凄く大きかったんですね。ちなみに、いまシルムって完全になくなってるんですか?

ヤドラン
 なくなってはないんですけど、正直盛り上がってはいないですねえ。80年代、90年代は凄く人気があったんですけど、いまはプロのシルム選手といっても本当に誰がいるのかとわからないくらいで。それに、協会のゴタゴタとかでシルムの団体も全部解体して。チェ・ホンマン選手がK-1に行くことになって「オレもK-1に行く」という選手たちもたくさんいましたし。

――
韓国相撲という日本の相撲を連想しちゃいますけど、組織としてはけっこう不安定だったんですかね。

ヤドラン
 けっこう内部でも揉めごとがあったりして。韓国ではそういうところがあるんです。だから格闘技団体も1回、2回、パッと格闘技の興行を開いて、お互い揉めて潰れるというのはよくある話です(苦笑)。

――
そういえばボク、K-1韓国大会に行ったときに「韓国ってチケットを買う習慣がないんだよ」と言われたことがあるんですよね。

ヤドラン
 ああ、一般のチケットは売れないですね。たとえば、ジムの選手が出たらその会員さんがチケットを買って観に行くみたいなことはありますけど、一般のファンがチケットを買って見ることはほぼないです。韓国は格闘技にお金払わなくても観れるんですよ。たとえば、日本だとUFCやRIZINはPPVでお金払って観ますけど、韓国はUFCもテレビで無料で流されてますから。いまはそれも徐々に変化してるんですけど、基本的に格闘技にお金払う文化がないですね。

――
ボクが観に行ったK-1は1万人以上のお客さんが入ってましたけど、あれはほとんど招待券なんですかね?

ヤドラン
 うーん、そこはわからないですが、たとえば「韓国スポンサーのショッピングサイトで一定の値段以上を買ったらキャンペーンでチケットもらえます」みたいなキャンペーンはよくありますね。私も一番安いチケットを買ってK-1を観に行ったことがあるんですけど、会場にいたら「無料でいい席に移れますよ」という感じでリングサイドで観たことがあります(笑)。

――
そういう中、チェ・ホンマンが参戦していた旧K-1がなくなって以降、韓国格闘技界はどうなっていったんですか?

ヤドラン
 韓国にはもともとキックの団体はなかったですし、いまはKTKという団体が長く続いているんですけど、そこも1~2ヵ月に1回のペースで大会をやってるぐらいです。でもそれ以前は、ほぼやっては潰れ、やっては潰れての繰り返しで。

――
やっぱりお金を払って観る習慣がないから経営も大変という。

ヤドラン
 それもそうですし、さっき言ったとおり結局、揉めて潰れてるんで(苦笑)。

――
とにかく揉める! 一方でMMA団体はいつぐらいからできるようになったんですか?

ヤドラン
 じつは2003年から韓国でも総合格闘技団体はあったんですよ。ただ、それはちゃんと競技場じゃなくて、日本でいうクラブみたいなところで開催されていたというか。

――
いわゆるクラブファイトのような。

ヤドラン
 Gimme Five(ギミー・ファイブ)という団体なんですけど。それは選手が事前に準備して試合に出るわけじゃなく、本当にその場その場で登録して舞台に上がって試合するんです。そして勝てばファイトマネーが日本円で4万円、負けても2万円という。お金がほしいから格闘技経験がなくても上がる人とかもいましたね。ただ、死亡者が出てしまったことがきっかけでイベントが潰れて、代表もめちゃめちゃ借金に追われてという。

――
それで法的にも開催が難しくなっていったんですね。

ヤドラン
 法律もそうなんですけど「格闘技は怖い」という印象が植えつけられて、いまも昔の人たちは格闘技に対していい思いを持ってない人もけっこう多いです。いまもROAD FCに目をつけている市議員が「総合格闘技はスポーツではない」という発言をしてたり。だから、ROAD FCのジョン・ムンホン会長は政治家たちとも仲良くしてめちゃめちゃ頑張ってるんですよ。

――その後、国内団体に関してはいつくらいから定着してきたんですか?

ヤドラン
 ROAD FCは2010年の立ち上げで、その時期は日本格闘技界の冬の時代にも重なるから、ROAD FCには日本人ファイターも参戦していたんですよね。そのあと中国のスポンサーがついて、そこから韓国の総合格闘技がどんどん定着しはじめた感じです。

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