多くのMMAファイターをマネジメントするシュウ・ヒラタ氏が北米MMAシーンを縦横無尽に語りまくるコーナー!18000字でお送りします!(聞き手/ジャン斉藤)
――最初はUFCの独占禁止法訴訟の件。リー・ケースとジョンソン・ケースと、在籍時期によって訴訟は2つに分けられてるんですが、リー・ケースは2010年12月16日から2017年6月30日のあいだに試合をしたファイター。その登録申請の締め切りが過ぎたそうですね。
シュウ いや、登録申請はもう終わっていて、登録した人たちに「あなたは何試合していて、これだけのファイトマネーとボーナスをもらえましたよね?もし間違いがあったら返信してください」という確認事項の締め切りですね。これから振込先の確認の作業に入るんだと思います。全選手1試合ごとに13,800ドルもらえます。
――約200万円!
シュウ 10試合やっていたら約2000万円ですよ。それプラス皆さんが稼いだファイトマネーの約31%がもらえますね。
――となると、UFCでたくさん試合をしている◯◯さんや△△さんが“遅れてきたビッグボーナス”になるわけですね(笑)。
シュウ でも、登録申請してない選手もけっこういるんですけど、みんな大物なんですよ。コナー・マクレガー、ノゲイラ、ロンダー・ラウジー、ブロック・レスナーあたりとか。たとえばレスナーなんて1試合で億以上、稼げるわけじゃないですか。その31%だとすればかなり大きいですよ。
――なぜ大物は登録しないのか。UFCと何か別の契約を結んでいることもあるのかなあ……。
シュウ あとなぜか韓国人の選手はまだ9割近くも登録してないんですよね。そこも謎なんですよね。
――次はジョンソン・ケースの審議が始まるわけですね。
シュウ だけど、その他にもまた新しい訴訟が2つ始まったじゃないですか。ジョンソン・ケースでは、ランキングやベルトを第三者機関に委ねるかどうか、独占拘束期間を1年にするとか、ポイントがいくつかあるわけですよ。でも、ジョンソン・ケースでもそこがうまくまとまらないんじゃないか? ということで新たな訴訟が立ち上がったわけですね。
――リー・ケースは多額の賠償金が発生したとはいえ、UFCの実質勝利だったと見てるんですけど、まだまだレジスタンスは続くと。ベルトやランキング、独占期間の短縮は通ると思いますか?
シュウ なかなか大変だと思いますよ。UFCはドリームチームの弁護団を揃えてくるわけですから。そこに対抗できるだけの弁護団が揃えられるのか。しかもそのへんは選手個人のお金の話じゃなくて、スポーツ団体としてのシステムに関わってきますよね。そこを改革するってかなり時間がかかるんじゃないですか。
――要はボクシングのシステムに近づけるってことですけど、UFCって民間企業ですからね。そのベルトを第三者に委ねるのは並大抵のことではない。
シュウ これは前から言ってますけども、UFCの経営体制はボクシングのモデルとまた違って、実質プロレスモデルなんですよね。
――ひとつの団体が多くの選手と長期契約を結んで運営していくと。
シュウ そのお抱えの選手たちを起用して、世界中を回って興行を打つ。まさにプロレスと同じ形態なんですよね。これがいまのボクシングみたいに、試合のたびに選手と交渉して試合を組むとなると、UFCからしたら大打撃ですよ。いまのように毎週大会をやれなくなっちゃいますから。
――「他の団体には出られない」前提だからベルトコンベアー式にマッチメイクできて、毎週大会ができるわけですね。
シュウ そうなんです。それができなくなると、いまのUFCのビジネスモデルが成り立たなくなるし、企業として危機ですから。
――そうなると、選手と主催者の駆け引きから、ファンが見たいカードが組みづらくなるかもしれないですね。
シュウ それでビジネスにならなくて、選手が不幸になっても不思議じゃないですよね。
――正直、いまのボクシングのランキングやベルトに権威は感じないんですよね。ランキングは興行の都合で変わるし、暫定王者やら休養王者やらでベルトが多すぎますし……。
シュウ そうなんですよ。団体も多いうえに階級が細分化されていますから。そうなるとチャンピオンになっても、何回か防衛しなくちゃ大金なんて稼げないんですよね。UFCもずっとボクシングをやると言ってましたけど、ついにズッファボクシングとしてスタートしますね。
――ズッファとは以前UFCを運営していた会社ですね。当時ダナ・ホワイトはズッファボクシングを立ち上げてボクシング参画を企てていて。
シュウ 第1回大会が始まりますけども、UFCのような形態でどんどん興行をやって、ランキングも全部仕切って、ベルトも1本だけ。そのやり方でどこまでできるのかって話ですよね。
――ファイトマネーの基本設定がUFCと同じみたいで「安すぎる!」って批判が出てましたね。
シュウ ボクシングもいろいろと動きがありまして。ESPNで毎週やってたトップランクの中継が終わるんですよ。やっぱりスターを押さえてPPVでやったほうが儲かるってことですし、ESPNのような放送形態のボクシングショーは今後なくなるかもしれないですね。ボクシングを定期的に流すところとしては、あと残っているのはDAZNだけという感じになるかもしれないです。
――UFCもESPNと契約更新するかどうかが注目されていますね。AmazonプライムやNetflixに移る可能性があって。
シュウ ものすごい巨額のディールでNetflixと契約するかといえば、微妙だと思うんですよね。
――NetflixはUFCを丸ごと抱えるつもりはないという話もありますね。たとえばナンバーシリーズだけやるとか。
シュウ もともとNetflixってスポーツチャンネルじゃないですし。たしかにWWEはすごくいい視聴者数を稼ぎ出してるらしいですけども、UFCとはちょっと違ってきますよね。
――WWEは毎週数字を狙えるコンテンツですけど、APEXのファイトナイトでは難しいですねぇ。
シュウ Netflixだったらドラマ性の高いTUFのほうに興味を示すかもしれないですし。下手したらコンテンダーシリーズとその選手たちをちらっと取り上げるショートドキュメンタリーもつけて……みたいなコンテンツになる可能性もあるような気もします。
――UFCも各プラットフォームにバラ売りするんじゃないかなって。
シュウ それは充分にありえますね。APEXはあっちで、ナンバーシリーズはこっちとか。いまの時代、いろんなプラットフォームで見られることがあたりまえになっちゃってるんで、視聴者もそこは気にならないかもしれないですよね。そういえばAmazonプライムも少しずつスポーツコンテンツが少なくなってるんです。そういう流れもあってONEのAmazon中継ももしかしたら終わるという。
――ONEとAmazonは今年いっぱいの契約。更新するかはわからないですね。
シュウ 視聴者数も低いらしいですし、そもそもプロモーションされてないですからね。AmazonプライムのONEの扱いを見てると、矢沢永吉のアメリカ進出を思い出しますよ(笑)。アメリカのレコード会社はディストリビューションだけでまったく宣伝してくれなかった。永ちゃんは自分で7万ドル出して宣伝したみたいですね。
――矢沢永吉とONEのアメリカ進出は被りますか(笑)。いまのONEは拠点をタイに移して立ち技でうまくいってるように見えるけども、いままでの投資に見合う成果を上げているのかは微妙ですね。
シュウ キックでいえば悲しいことにグローリーも話題になってないですからね。ものすごく儲かるようなシーンでもないですし、そうなると全体的にスケールダウンするか、もうMMA部門は撤退ということもありえるんですよね。
――格闘技ってローカライズしないと盛り上がらなくなってますよね。ヨーロッパでいえばオクタゴンMMAやKSWもそうですし。
シュウ 本当にそうなんですよ。北米市場はUFCの独占状態になっていて、その牙城を崩すのは厳しい。あれだけお金をかけたPFLでもなんにもならなかったじゃないですか。要は、アメリカ国内では、いままで、数々の団体が名乗りを上げましたけど、UFCに対抗できるビジネスになれなかったというのが現実なんで。逆にKSWはポーランド、RIZINは日本にしっかり根を張って確立してますよね。
・西川大和と階級転向の話し合い
・フェザー転向にいったんは同意したが…
・インフルエンサー格闘技の功罪
・井上直樹の相手はダウトベックが第一候補だった?
・フライ級GPメンバー決定の舞台裏
・「◯◯に勝ったらGPに出られる」という約束
・RTUに出ることを目標とすべきではない
・ケラモフに勝てないならUFCでも勝てない……18000字インタビューはまだまだ続く
この続きと安藤達也、金原正徳、西川大和、有田哲平NOAH拒否、猪木と新間……などの「記事15本15万字詰め合わせ」が800円(税込み)が読める詰め合わせセットはコチラ
この記事の続きだけをお読みになりたい方は下をクリック!1記事200円から購入できます!
コメント
コメントを書く