自分が試合前だったということもあり、しばらくコラムの更新をしていなかったのですが、僅差の判定ではありますが、20日の日曜日に無事に試合に勝つことができたので、早速コラムのほうを更新させていただこうと思います。
試合を終えたばかりなので、普通であれば自分の試合についてあれこれ書いて自分の考えなどをわかっていただきたいところではございますが、今回の試合は自分に全く納得がいかなく言い訳が多くなりそうなので、同じ日(現地時間では19日)に行われたUFC166の堀口恭司選手について書こうと思います。
このコラムを読んでいるマニアの方々には堀口選手がどのような成績を日本であげて、UFCの舞台に至っているかは、すでにご存知のことと思いますが、彼が収めている勝利のほとんどが厳しい相手との戦いをものにしてきている。
最近ではUFCで日本人最高の勝ち星をあげており、ランキングの上位にもいた岡見有信がリリースされた中、多くの人々が日本人で期待が持てる選手が待たれていたところに、最高のタイミングで日本のMMAファンが最も期待する堀口選手がUFCにあがった。
今回の対戦相手ダスティン・ペイグは、UFC3連敗中でUFCバンタム級では下位の方にランクされる選手ではあるが、これまでたくさんの日本人選手がUFCの初戦に苦しんで来ただけに安心はできなかった。
試合展開は1Rが始まってまもなくで堀口選手がバックをとられてしまい、首に手をかけられあわやチョークをとられるかという危ないシーンはあったものの、最後の最後で上を取りパウンドをいれて1Rが終了。
2Rは打撃戦の中で左フックを決めてダウンを取り、パウンドを何発も入れ、一度はスイープされポジションを取られるが、その後しっかりポジションを取り返し、強烈なパウンドでレフェリーストップで勝つという、見ごたえの有る試合内容で、まさしくこれからを期待させる勝利だった。
堀口選手に関しては自分も同じ階級ということもあり、2年ぐらい前から戦う可能性もあると思い試合を見たり、自分が戦う場合のシュミレーションなどで簡単な対策を考えたりもした。
自分が感じる堀口選手の強さを語らせていただく場合、絶対的に言えるのは爆発力のある打撃とステップだと思う。
特にステップは凄い。左右に動き、ただでさえ捕まえづらいのに前後のステップでフェイントも。さらに、パンチも右か左かも分かりづらく、蹴りも遠い距離から打って来る。だから、対戦相手からすると頭を下げてタックルにいくのにとても勇気がいる。
打撃をしようと追いかけると左右に動くので捕まえ難いし、少し相手の出方を見ようと足を止めるとフェイントにひっかかてしまい混乱。打撃を避けてタックルにいこうと思っても遠くから蹴りが飛んでくるのでタックルに行きづらいという、何ともよくできた打撃のスタイルなのだ。
さらに打撃の選手だからレスリングが弱いかといえば、足払いや腰投げ等も難なくこなし、腰が重くテイクダウンも奪い難い。たとえテイクダウンをしてグラウンドに持ち込んだとしても、なかなか身体が伸びきらないので抑え込み難く、さらに立ち上がるのもうまいのだ。
そして自分が一番注目している堀口選手の強さというのは、日本で何度も厳しい試合を経験し、ものにしてきた気持ちの強さと粘り強さである。この気持ちの強さというのは、最初から持っているものもあるが、堀口選手に関して言えばUFCに上がる前に日本でそういった厳しい経験を経て、UFCに挑戦できたというのはとてもでかいだろう。
あとは頭の良さ!自分が彼を見てこのあたりを攻めたら崩れそうだなと思うようなところは、だいたい次の試合では埋めてあり、試合の度に何かを変化させて成長しているように感じる。全く凄い選手だ。
今回は堀口選手を褒めまくってしまったが、本当に良い選手なので日本人UFCファイターとして皆さんにもぜひ応援してほしい選手なのだ。
それではまた!!(大沢ケンジ)