Omasuki Fightの北米MMA抄訳コラム――今回はUFCヘビー級チャンピオンに上り詰めたファブリシオ・ヴェウドゥム、これまでの道のり!
6月13日に開催された「UFC188」のメインイベントでは、大方の予想を裏切り、37歳のファブリシオ・ヴェウドゥムが、常勝王者ケイン・ベラスケスを下して新しいUFCヘビー級統一王者となった。ベラスケスはこれで、エミリャーエンコ・ヒョードル、アントニオ・ホドリゴ・ノゲイラ、ケイン・ベラスケスの3レジェンドに一本勝ちした男となった。
そんなヴェウドゥムと柔術との出会いは1998年のこと。当時20歳のファブリシオは、ガールフレンドのルシアナと一緒にビーチに出かけた。彼女の家族も一緒だった。
「彼女の元彼にマルコスという男がいた。そいつは柔術を習っていた。マルコスはルシアナを取り戻そうと、いつも僕らにつきまとっていて、僕はそのことにひどくイライラしていた。で、その日ビーチで言い争いになったときに、そいつは柔術で決着を付けようじゃないかといいだした」
「僕は柔術なんて知らないからイヤだといったんだが、なぜかルシアナまでもがやってみろというので、その場で柔術の試合をすることになった」
「恋人とその家族の目の前で、僕はほんの数秒で三角締めに捕まってしまった。顔色が紫に変色していても、僕は何をどうすればいいのかわからなかった。タップアウトということを知らなかったんだ。失神寸前でヤツは技を解いたんだけど、みっともないことこの上なかったよ」
「それにしても、彼女はいったいどうして僕にやらせようとしたのかなあ。こうなることはわかっていたんじゃないかと思うんだけれど・・・実はすでに浮気でもされていたのかな(笑)」
怒り心頭のヴェウドゥムはその翌日にはウィナーベーリング柔術アカデミーに入門、あっという間に頭角を現し、2年後の2000年には、ブラジリアン柔術世界選手権、青帯アブソルート級で優勝した。その頃のヴェウドゥムはすでにルシアナとは別れていたが、マルコスとのつきあいは続いていた。