大学時代、よく屋外で飲み会をしていた。
20年前くらいの話だ。気候もモラルも今とずいぶん変わった。

卒業式などが行われる大隈講堂という建物の前で飲むことをクマノミと呼んでいた。
その派生版として、授業やサークルの予定ををぶっちぎって、人目を気にしながらクマノミする事はカクレクマノミと呼んだりもした。
終電を逃したメンバーで公園で飲み明かすこともあった。今はそんな非人間的な行動は考えられない。身体がきついし、そんな過酷な環境で話し続けられるトピックも情熱も無い。あの頃は夜が短かった気がする。
戸山公園という公園はそんな大学生の格好のたまり場だった。新歓コンパや、花見や、サークル活動後の反省会などその公園で行われた。サークルがひしめき合う学生会館のほぼ隣にある広大な広場ということで使い勝手が良かったのだ。よさこいサークルにいたっては敷地の半分くらいを我が物顔で占拠して鳴物を激しく打ち鳴らしていた。「よっこいしょー!どっこいしょー!」という勢いが激しすぎて誰も近づけなかった。
そんな戸山公園に久しぶりに訪れる機会があった。広い運動場の他に、小川や起伏に富んだ丘が懐かしい。
この丘は箱根山と呼ばれ、山手線内で一番高い山だと言われている。
その高さ44、6m。登山証明書も貰える。
箱根山の思い出としては、頂上で皆で花見をしていた時、遅れてきた理工学部の先輩に買ってきた唐揚げを勧めたら、「こんものしかないのか!」と理不尽に怒られた事しか思い浮かばない。
その唐揚げは、わせ弁(わせだの弁当屋)という早稲田三大油田のひとつと呼ばれている伝説的な店舗のもので、とり肉っぽい何かが、大質量の衣でまとわれているオイリー&リーズナブルな代物であったので、先輩が怒るのも無理はないのかな、と今では思う。
実は、チキンではなくて地形の話がしたい。
この付近は、とても不思議かつ不気味な地区なのである。