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岡田斗司夫のニコ生では言えない話
 岡田斗司夫の毎日ブロマガ 2016/09/27
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おはよう! 岡田斗司夫です。

今回はスタジオジブリの宮崎作品の総評価を行います。

まず僕は「初期・きれいごと4部作」と呼んでる作品があります。
これはジブリの初期の作品で、主人公が正しくて、楽しくて、ちゃんと漫画映画になっている4作品なんです。

今回は『風の谷のナウシカ』を語ろうと思います。

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「ジブリ・初期きれいごと4部作」

『風の谷のナウシカ』
『天空の城ラピュタ』
『となりのトトロ』
『魔女の宅急便』

 これが僕が考える「初期・きれいごと4部作」です。

 ひどいですか?
 さんざん考えたんだけど、だめかなあ?

 特徴としては、作家性よりは、職人性を前に出してる作品ですね。
 宮崎駿の内面性を出すよりは、空想で作った作品に近い。

 内面性とは、たとえるなら『シン・ゴジラ』は庵野秀明の「内面」が出てます。

 その意味で細田守さんのアニメはピンと来ないです。
 ぜんぜん内面性が見えないんですね。

 作家性よりは、職人性が強い人なのかもしれません。
 あんまり、ぶっちゃけた話をしてくれない。
 そこらへんが僕の琴線にあまりふれない。

 『時をかける少女』から『バケモノの子』にいたるまで、細田アニメはピンと来ないんです。

 『風の谷のナウシカ』は1984年の作品。
 もちろん中間発表にも登場してます。

 宮崎さんは、制作当時に「こんなアニメは二度と作らせてもらえないだろう」と思ったそうです。
 
 当時の宮崎駿っていうと、興行的に失敗してあまり売れないイメージだった。
 なので「ナウシカは、最初で最後の作品」と挑んだ意欲作で、ハイファンタジーです。

 ファンタジー業界には、ハイファンタジーとローファンタジーが存在します。。

 どういう意味かというと、現実とのつながりがある物語をローファンタジー。

 たとえば『ハリーポッター』
 現実のロンドンの街から魔法の世界に行くので、ローファンタジーなんです。

 別に“ハイ”とか“ロー”は、「高級か、そうでないか」という意味ではありません。

 現実と地続きで感情移入しやすいかどうか。
 もしくは、まったく架空の世界を書かなきゃいけないかどうか。

 ナウシカはハイファンタジーですね。

 一応、「産業社会の崩壊から千年後の世界」って言ってますけど、今のこの社会は出てきてませんから。

 今回、あらためて『風の谷のナウシカ』を再見してみました。
 今になって見てみると、絵作りが地味です。

 もちろん、すごくうまいし、おもしろい。
 でも、絵作りが地味です。

 劇場公開が1984年。
 
 同時期の公開作品が『うる星やつら ビューティフルドリーマー』
 それと劇場版の『超時空要塞マクロス』

 つまり、両方とも絵づらが派手だった。
 そこへ、「内容はあるけど、地味」なナウシカが登場してしまった。

 動員数は91万人。
 ジブリ作品では、かなり少ない数字です。

 僕らの中で『風の谷のナウシカ』は、かなりのヒット作品って印象がありますよね。
 だけどヒットしたのは翌年なんです。

 85年にテレビで放送して、それで人気が上がったから。
 すごく人気があったような気がするんですけど、91万人しか動員できなかった。

 なので、あまりヒット作とは呼べないんです。

 作品の内容も、最後の方は『さらば宇宙戦艦ヤマト』と同じになっちゃった。
 『さらば宇宙戦艦ヤマト』の最後って、敵に特攻するんですよ。

 それと同じように、ナウシカがオームの前で手を広げて「やめてーっ!」て言って、死んで生き返るっていう。

 これは宮崎さんが、後々まで「妥協して、宗教的になってしまった」と言う作品になりました。
 
 ジブリの第一回作品としては、すごくいいんです。
 おもしろいし、アイデアもいっぱい入ってる。

 だけど、やっぱり地味なんですよね。


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