『風の谷のナウシカ』
『天空の城ラピュタ』
『となりのトトロ』
『魔女の宅急便』
これが僕が考える「初期・きれいごと4部作」です。
ひどいですか?
さんざん考えたんだけど、だめかなあ?
特徴としては、作家性よりは、職人性を前に出してる作品ですね。
宮崎駿の内面性を出すよりは、空想で作った作品に近い。
内面性とは、たとえるなら『シン・ゴジラ』は庵野秀明の「内面」が出てます。
その意味で細田守さんのアニメはピンと来ないです。
ぜんぜん内面性が見えないんですね。
作家性よりは、職人性が強い人なのかもしれません。
あんまり、ぶっちゃけた話をしてくれない。
そこらへんが僕の琴線にあまりふれない。
『時をかける少女』から『バケモノの子』にいたるまで、細田アニメはピンと来ないんです。
『風の谷のナウシカ』は1984年の作品。
もちろん中間発表にも登場してます。
宮崎さんは、制作当時に「こんなアニメは二度と作らせてもらえないだろう」と思ったそうです。
当時の宮崎駿っていうと、興行的に失敗してあまり売れないイメージだった。
なので「ナウシカは、最初で最後の作品」と挑んだ意欲作で、ハイファンタジーです。
ファンタジー業界には、ハイファンタジーとローファンタジーが存在します。。
どういう意味かというと、現実とのつながりがある物語をローファンタジー。
たとえば『ハリーポッター』
現実のロンドンの街から魔法の世界に行くので、ローファンタジーなんです。
別に“ハイ”とか“ロー”は、「高級か、そうでないか」という意味ではありません。
現実と地続きで感情移入しやすいかどうか。
もしくは、まったく架空の世界を書かなきゃいけないかどうか。
ナウシカはハイファンタジーですね。
一応、「産業社会の崩壊から千年後の世界」って言ってますけど、今のこの社会は出てきてませんから。
今回、あらためて『風の谷のナウシカ』を再見してみました。
今になって見てみると、絵作りが地味です。
もちろん、すごくうまいし、おもしろい。
でも、絵作りが地味です。
劇場公開が1984年。
同時期の公開作品が『うる星やつら ビューティフルドリーマー』
それと劇場版の『超時空要塞マクロス』
つまり、両方とも絵づらが派手だった。
そこへ、「内容はあるけど、地味」なナウシカが登場してしまった。
動員数は91万人。
ジブリ作品では、かなり少ない数字です。
僕らの中で『風の谷のナウシカ』は、かなりのヒット作品って印象がありますよね。
だけどヒットしたのは翌年なんです。
85年にテレビで放送して、それで人気が上がったから。
すごく人気があったような気がするんですけど、91万人しか動員できなかった。
なので、あまりヒット作とは呼べないんです。
作品の内容も、最後の方は『さらば宇宙戦艦ヤマト』と同じになっちゃった。
『さらば宇宙戦艦ヤマト』の最後って、敵に特攻するんですよ。
それと同じように、ナウシカがオームの前で手を広げて「やめてーっ!」て言って、死んで生き返るっていう。
これは宮崎さんが、後々まで「妥協して、宗教的になってしまった」と言う作品になりました。
ジブリの第一回作品としては、すごくいいんです。
おもしろいし、アイデアもいっぱい入ってる。
だけど、やっぱり地味なんですよね。