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岡田斗司夫の毎日ブロマガ 2017/06/27
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今回は、『機動戦士ガンダム』がいかに優れたSFだったかを話します。


今回の記事はニコ生ゼミ5/28(#180)より一部抜粋しました。

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「『機動戦士ガンダム』は、SFだったのか?」


 昔、「『機動戦士ガンダム』は、SFか?」という大論争があったんだ。

 そのとき、SF作家の高千穂遙(たかちほ はるか)は、「あれはロボットものであってSFじゃない」
と言ったんだ。

 だけどガンダムは、やっぱりSFなんだよ。


 富野監督は、最後に出てくる“ニュータイプ”という思想を、“遺伝”でなくて“進化”と捉えてるんだよね。

 つまりガンダムは、人間が宇宙空間に行ったら認識力が広がって、他人の考えていることや、思いやりとかがわかる。

 それを戦闘に利用されてしまうという話なんだ。

 たぶん富野さんの世代は、今西錦司(いまにし きんじ)という生物学者の影響をすごく強く受けているんだよね。


 今西錦司という人は、京都大学の名誉教授なんだけども、“今西進化論”というのを編み出した人なんだ。

 同じ生物でも、棲み分ける環境によって変化が起きる。
 そして変化が起きたら、その変化は種全体に一斉に広がる。

 そう言ってるんだよね。


 僕が『ガンダム』を「いいSFだ」って思うのは、アムロが最後にア・バオア・クーからコア・ファイターで脱出する時に迎えるシーンなんだよ。

 みんなが「アムロは?アムロは?」って言って迎えるんだ。

 そしたら“おちびちゃん3人組”がニュータイプとして覚醒して、アムロに脱出経路を教える。

 その時、おちびちゃん3人組はアムロよりさらに進化したニュータイプになっている。

 ミライさんも、フラウ・ボゥも、カイ・シデンも、ハヤトすらも、アムロからの声が聞こえる。

 つまり、もうニュータイプになっちゃってるんだ。

 少なくともテレビ版・ガンダムの最終回で富野由悠季が描いたのは、そこにいたホワイトベースの仲間たちが、アムロと時期こそ違え、どんどんニュータイプとして進化していく瞬間をバーッと描いたんだ。
 
 そして面白いことに、ブライトさんは最後まで進化しないんだよ。

 ブライトさんは、最後まで進化しなくて、ミライとか、セイラさんに、「お前は、アムロとまだ連絡が取れるのか。」と聞く。

 そして最後、アムロが帰ってきた時に、全員が喜びの顔で迎えて一斉に手を伸ばすんだ。


 ガンダムで描こうとしたのは、“種は進化する”とか、“人類はニュータイプという革新を迎える”ということじゃない。

 ニュータイプとして革新を迎えたセイラさんであろうと、ニュータイプとして革新を迎えなかったブライトさんであろうと、両方がアムロ・レイを笑顔で迎えるというのがクライマックスシーン。

 つまり大事なのは“進化”じゃなくて、「自分が帰れる場所があるか、仲間がいるか」っていうことを映画の中で描いちゃった。

 だから『機動戦士ガンダム』というのはすごいSFなんだよ。

 普通のSFだったらここで、進化する・しないに、意味づけをしちゃう。
 でもそうじゃないんだと。

 宇宙空間に行っても、人は進化するかどうか、わからない。
 わからないけど、仲間がいなくなったら心配して、みんなで力を合わせてそいつを探す。

 この大きい流れをガンダムはやってくれた。

 この辺が『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』に無いところだよね。


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