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岡田斗司夫の毎日ブロマガ 2019/01/02
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今回は、ニコ生ゼミ12月23日(#262)から、ハイライトをお届けいたします。

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 【岡田斗司夫流プラモの作り方】 飛行機プラモは資料のつもりで作る

 今日のテーマは「1人遊びの楽しさ」ということで。

 ちょっと最初に取り上げるのが、前回にも見せた、この “B-29” から話を始めていきたいと思いますけども。

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 前回の「B-29は実は宇宙船である」という話、みなさん覚えてますか?

 B-29という飛行機はすごく特殊な飛行機で、当時の科学技術からしたら明らかに1段頭抜けた、高度1万mという遥かに届かない高さを飛ぶ、中が完全に気密状態が与圧されている、いわゆる潜水艦とか宇宙船にわりと近い、歴史上のオーパーツと言われている機体である、という話をしました。

 これを確認したくて、日本の童友社というメーカーがOEM生産している、72分の1のB-29というムチャクチャなプラモデルを買ったんですけど。

 72分の1のB-29って、本当に乱暴ですよね。


 このプラモデル、開けたらちゃんとありました。これがその説明書です。

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 これが全体の設計図なんですけど。

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 ここが前のコックピット。

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 これが後ろの機関銃とかを撃つ人がいる部屋です。

 この2箇所だけが完全に与圧されていて、いわゆる宇宙船構造になっていて、その間をトンネルが通っているんですね。

 この前後の間を、このトンネルをくぐって、B-29の中を動き回るということになってるんですけども。

・・・

 このB-29のプラモデル、僕、買ったは買ったんですけども、実は全部作るつもりはないんですね。

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 大体、ほぼ形が見えてきた状態なんですけど、塗装も途中です。

 こういう感じの模型です。

 わかりますか?

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 これが前の方のコックピット部分です。

 ナビゲーターもいます。

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 これが後ろの方の機銃座で、さらに後ろの方は倉庫になっていたり、ベッドみたいなものがあるのかもしれません。

 この辺の構造は、僕はあんまりよく知らないので、詳しい人に任せますけども。


 何が話したいのかというと、ここまでで、僕にとってのこのプラモデルは、ほとんど終わりなんですよ。

 別にこれ、中身が見える模型じゃなくて、本当は、この後、左側のボディを貼って、色を塗って、ようやく完成するものなんです。

 なので、今見せた中身は、もうほとんど見えないんですね。

 でも、僕にとっては、ここまででいいんですよ。

 もう、このプラモデルはここで完成なんですね。


 なぜかというと「B-29の気密構造というのが実際にどういうものだったのか?」というのを確認して、時々それを眺めてニヤニヤしたいという、博物館とかに置いてある模型のつもりで作っているからなんです。

 だから、ここでもう僕にとっては完成なんですよ。

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・・・

 僕、今回、これをプラモデル編のおすすめとして言おうとしてたんですけども。

 プラモデルを作る人って “完成させようする” んですね。

 でも、1つのプラモデルを完成させようとすると、メチャクチャ ツラいんですよ。


 それって、資料の本を全部読もうとするのと同じなんです。

 資料の本なんて、面白いところをちょっと読んで、あとは放っておいていいんですよ。

 僕自身の使い方はほとんどそうです。

 それを「全部 読まなきゃいけない!」と思うと、読まなきゃいけない本がひたすら溜まって行くことになるんですね。


 それと同じように、プラモを作る人も、ひたすら「いつか完成させよう」と思っているほど、プラモデルが溜まって行くんですけど。

 そんなことせずに、もう、一番好きな部分だけ作っちゃえばいいんですよ。


 表面の色とか、もう、どうでもいいんです。ムラがあってもなんでも構わない。

 「中は機内色に塗る」程度で。


 この機内色に塗る理由は何かというと、この当時のアメリカの飛行機、特にB-29というのは、ほとんどが鉄板とかで出来ていて、人間が座るポイントポイントだけに、こげ茶の木の板があるだけで、残りはほとんど、鉄に分厚いスプレー塗装でジャーっと塗っている、大味なものなんです。

 当時の日本の飛行機が「軽量化、軽量化!」って言ってたし、イギリスの爆撃機だって木で出来てるものがほとんどだったのに対して、「鉄の塊みたいな飛行機を作りやがって! 何考えてるんだ? あいつら!」っていう。

 そういうものを味わいたくて作ってるんで、もうこれで十分なんですね。

・・・

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 松本零士が描いた『成層圏の伝説』という漫画があります。

 第2次大戦中、超高空の成層圏を飛んでくる爆撃機B-29に、日本の戦闘機は手が出ない。

 1万mを超える高度を飛んでるので、まともに戦える戦闘機がいない。


 そんな中、主人公は、陸軍の開発した新型の “隼” で、超高空に挑み、B-29を倒そうとするんです。

 しかし、高度1万mという超高空まで上がってみたら、すでにそのB-29は…

 …飛行を続けていたんですけど、たぶん、機体の先端部分に流れ弾かなんかが当たったんでしょう。

 そのせいで気密が破れて、中の人間はあっという間に窒息死して、凍りついて死んでしまっていたんです。

 でも、エンジンとかは全然壊れていないんですよ。

 だから、このB-29は、延々と落ちることもなく、燃料がなくなるまで、ひたすら高度1万mを飛んで、どこかへ消えて行ってしまった。

 そんな漫画なんですけども。


 この漫画も先週、発見したんですよ。

 僕、松本零士のこの漫画のことを、それまで知らなかったんですけど。

 「あ、やっぱりB-29っていうのは宇宙船みたいなものだったんだ。だから一番正面の窓が破れると空気が抜けて、中の人間が凍って死んじゃうんだ」と。

・・・

 これに関して、僕自身が自分でシナリオを描いた『トップをねらえ!』の第2話に、遭難したルクシオンを発見するというエピソードがあるんです。


 この『トップをねらえ!』のシナリオについては、もうね、山賀が話していたので「昔の約束はなくなった」と判断して話しますけど。

 昔、山賀はこんなことを言ったんです。

 「僕が『トップをねらえ!』のシナリオを書いてるってことは、絶対に内緒にしてください!」と。

 そう言うもんだから「よっしゃ! じゃあ、俺が書いたことにしよう!」と、これまで、そういうことにしてたんです。

 だけど、本当は1話と2話は僕が書いて、3話から6話までは山賀が書いて、そして、5話と6話は庵野が徹底的に書き直したっていうのが、実際のところなんです。

・・・

 その第2話というのは「主人公・タカヤ・ノリコが、かつてお父さんが乗っていたルクシオンという宇宙船を見つける」という話なんです。

 その宇宙船も、正面の窓が破れたことで気密が失われて、中の人間が全て吸い出され、もしくは凍死して死んでしまったんですけど。

 これ、自分自身が描いたシーンだったもんですから、すごい覚えてるんですね。


 これについて、松本零士も同じシーンを描いていたので「やっぱり、B-29って宇宙船なんだ!」って、すごい確信したんですけども。

 これも、僕にとってはやっぱりB-29を楽しむための教材になってるんですね。


 アポロの宇宙計画というのはどこから始まったのかというのは、前回にも話した通り「日本軍のゼロ戦という戦闘機があまりに強かったので、これに対して死んでも負けない飛行機を作ろうと思い、高度1万m飛べる飛行機を作ったら、それが自動的に宇宙船になっちゃったよ」という話だったんですけども。

 それを考えるというか、自分でよく理解するために、プラモデルを買って、作ってたら、この漫画も見つけて「ああ、やっぱB-29って宇宙船だったんだな」と確認できる。

 こういう楽しみ方をするための、プラモデル作りなんです。

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