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今回は、ニコ生ゼミ12月23日(#262)から、ハイライトをお届けいたします。
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「【岡田斗司夫流プラモの作り方】 飛行機プラモは資料のつもりで作る」
B-29という飛行機はすごく特殊な飛行機で、当時の科学技術からしたら明らかに1段頭抜けた、高度1万mという遥かに届かない高さを飛ぶ、中が完全に気密状態が与圧されている、いわゆる潜水艦とか宇宙船にわりと近い、歴史上のオーパーツと言われている機体である、という話をしました。
72分の1のB-29って、本当に乱暴ですよね。
これが全体の設計図なんですけど。
ここが前のコックピット。
これが後ろの機関銃とかを撃つ人がいる部屋です。
この前後の間を、このトンネルをくぐって、B-29の中を動き回るということになってるんですけども。
こういう感じの模型です。
わかりますか?
これが前の方のコックピット部分です。
ナビゲーターもいます。
これが後ろの方の機銃座で、さらに後ろの方は倉庫になっていたり、ベッドみたいなものがあるのかもしれません。
この辺の構造は、僕はあんまりよく知らないので、詳しい人に任せますけども。
なので、今見せた中身は、もうほとんど見えないんですね。
でも、僕にとっては、ここまででいいんですよ。
もう、このプラモデルはここで完成なんですね。
なぜかというと「B-29の気密構造というのが実際にどういうものだったのか?」というのを確認して、時々それを眺めてニヤニヤしたいという、博物館とかに置いてある模型のつもりで作っているからなんです。
だから、ここでもう僕にとっては完成なんですよ。
でも、1つのプラモデルを完成させようとすると、メチャクチャ ツラいんですよ。
それって、資料の本を全部読もうとするのと同じなんです。
資料の本なんて、面白いところをちょっと読んで、あとは放っておいていいんですよ。
僕自身の使い方はほとんどそうです。
それを「全部 読まなきゃいけない!」と思うと、読まなきゃいけない本がひたすら溜まって行くことになるんですね。
そんなことせずに、もう、一番好きな部分だけ作っちゃえばいいんですよ。
「中は機内色に塗る」程度で。
そういうものを味わいたくて作ってるんで、もうこれで十分なんですね。
1万mを超える高度を飛んでるので、まともに戦える戦闘機がいない。
そんな中、主人公は、陸軍の開発した新型の “隼” で、超高空に挑み、B-29を倒そうとするんです。
…飛行を続けていたんですけど、たぶん、機体の先端部分に流れ弾かなんかが当たったんでしょう。
そのせいで気密が破れて、中の人間はあっという間に窒息死して、凍りついて死んでしまっていたんです。
だから、このB-29は、延々と落ちることもなく、燃料がなくなるまで、ひたすら高度1万mを飛んで、どこかへ消えて行ってしまった。
そんな漫画なんですけども。
僕、松本零士のこの漫画のことを、それまで知らなかったんですけど。
「あ、やっぱりB-29っていうのは宇宙船みたいなものだったんだ。だから一番正面の窓が破れると空気が抜けて、中の人間が凍って死んじゃうんだ」と。
昔、山賀はこんなことを言ったんです。
「僕が『トップをねらえ!』のシナリオを書いてるってことは、絶対に内緒にしてください!」と。
そう言うもんだから「よっしゃ! じゃあ、俺が書いたことにしよう!」と、これまで、そういうことにしてたんです。
だけど、本当は1話と2話は僕が書いて、3話から6話までは山賀が書いて、そして、5話と6話は庵野が徹底的に書き直したっていうのが、実際のところなんです。
これ、自分自身が描いたシーンだったもんですから、すごい覚えてるんですね。
アポロの宇宙計画というのはどこから始まったのかというのは、前回にも話した通り「日本軍のゼロ戦という戦闘機があまりに強かったので、これに対して死んでも負けない飛行機を作ろうと思い、高度1万m飛べる飛行機を作ったら、それが自動的に宇宙船になっちゃったよ」という話だったんですけども。
こういう楽しみ方をするための、プラモデル作りなんです。
「え?!それってどういうこと?」「そこのところ、もっと詳しく知りたい!」という人は、どんどん、質問してみて下さい。
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