次は戦闘思考力の操作系です。
自分のことを話し上手と自覚している人よりも、口下手だと自覚している人のほうが多いのではないでしょうか?
僕は話がわりとうまいほうです。
それでも自分より話がうまい人を見ると、「こんなに話し上手だったら便利だろうな」とか、「ちくしょう」という悔しさを覚えます。
だから、自分のことを口下手だと思っている人は、そういうことを感じてしまう機会が多いと思います。
あるいは、口数が多い口下手もたくさんいます。
一方的に話しすぎて相手を辟易させてしまったり、うっかり口を滑らせて相手を傷つけてしまうような人ですね。
そういう人は自分が口下手ではなく、むしろ話し上手と勘違いしているもんですが、あなたは大丈夫でしょうか?
いずれにせよ、基本的に自分が口下手だと思っている人は、次の2つに気をつけてください。
・口数が少ない人
本書の読者の半分くらいは、どちらかというと人前でうまくしゃべれず、口数が少ない傾向の人ではないでしょうか?
そういう人は、思っていることをいつもの4倍くらい多くしゃべることを意識してください。
ダーツをイメージしてください。
真ん中のに1回で当てようとしても、そりゃ素人には無理です。
でも10回、20回と投げると、かなり近くに矢は当たります。
矢の数、つまり口数を増やしてみましょう。
もちろん、簡単なことではありません。
なぜ、口数が少なくなってしまうのかというと、正確な言葉を使おうとしすぎているんです。
スパッと伝わるかとか、正しく相手に理解してもらえる言葉を先回りして考えようとするから、脳の容量をかなり使ってしまっているんです。
言葉に敏感でどちらかというと僕が知っているかぎり文学的な人が多い。
そういう人はいつもの4倍くらいいっぱいしゃべって、こうかもしれない、ああかもしれない、やっぱりこうかもしれないとデッサンやスケッチでたくさん線を引くように言葉を繰り出すべきなんです。
漫画のペン入れみたいに一発でシュッときれいに実線を引こうとしてもうまくなりません。
支離滅裂でもかまわないので、何度も線を引いていれば精度も上がってきますし、たとえ支離滅裂でも相手が意味を拾ってくれます。
自分の講演のテープ起こしをあとで読んでみると、僕はけっこう言葉足らずだったり、矛盾したことを言っていたりするんですね。
しかし、アンケート結果を見るとお客の満足度は非常に高い。
つまり、お客さんは、多少の話の混乱なんて気にせずに、意味を読み取ってくれるんです。
相手を信頼してください。
たくさんしゃべったら、相手が勝手に意味を拾ってくれますし、それが伝わったときの喜びは大きいので、絶対にやったほうがお得です。
・口数がやたら多い人
逆に僕みたいに口数が多い人は、普段の1/10しか発言しないことを意識してください。
口数が多い人は、いろんな言葉で説明しようとするあまり、喩え話に流れすぎます。
先ほど僕が使った比喩で言えば、自動車やパソコンぐらいが限界でしょう。
さらに例を増やせば増やすほど、「何について語っていたんだっけ?」「何でこんな話をしてるんだっけ?」となります。
表現として面白くなるのはいいんですが、内容が伝わりにくくなってしまうんです。
また、おしゃべりな人は、たいてい「それ、前も聞いた」と言われるような同じ話をします。
相手は「もう勘弁してくれ」と辟易します。
いつも考えていることを1/3や1/4に減らしてもまだまだ足りません。
繰り返しますが10個のうちの一つを選ぶように吟味してください。
「シチュエーション、相手の盛り上がり、自分の立場、求めている落としどころを素早く考え、10種類くらいの中から『選ぶ』と意識しろ」
これは本章の冒頭で紹介した島田紳助さんが娘に言った言葉ですよね。
つまり10個くらい答えを考えて、そのうちの1つを返せと。
逆に言えば9/10は思いついても黙っていろということなんです。
口数が少ない人はいつも4倍くらい話すように、口数の多い人はいつもの1/10しか話さないようにし、自分の口数をコントロールできるようにする。
口数を増減させるのは、「相手の言いたいこと」と「自分の言いたいこと」をすり合わせるためです。
これが戦闘思考力の「どんな価値観にも合わせられる応用力」です。
頭の回転が速い人の話し方
――あなたの会話力が武器になるユニバーサル・トーク×戦闘思考力