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コンプライアンスなんてねぇんだよ!テリー伊藤伝説「明朝までに整形するブスを探せ!」
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コンプライアンスなんてねぇんだよ!テリー伊藤伝説「明朝までに整形するブスを探せ!」

2014-09-19 20:00
    Filed under: チームブルー

    映画監督・黒澤明。
    言うまでもなく、日本が世界に誇る「巨匠」である。
    その"世界のクロサワ"が遺した作品は全30作。
    いずれも黒澤明が描いた"理想の映像"を数秒単位で具現化したものである。

    だが、黒澤の作品への熱い思い入れは尋常ではない。
    例えば、映画『影武者』のクライマックス。
    最強を誇った武田の騎馬軍が織田・徳川連合軍の鉄砲隊に敗れ去り、
    倒れる馬や落下する武将、馬の屍が野を埋めるシーン。
    18歳にして二科展に入選した黒澤の「画コンテ」は、
    色鮮やかな自筆の絵画によって、事細やかに映像化されていく。
    但し、この巨匠がくだした"ムチャ振り"に不眠不休で応えてきたのは
    黒澤明に招へいされたプロの裏方。通称『黒澤組』の面々である。

    もし、「THE HARDWORKERS」の読者がこの窮地に立たされたとすれば...
    如何にふるまいこの任務を遂行し、監督を満足させ、顧客満足させられるか?
    かつてフジテレビは"楽しくなければテレビじゃない!"というキャッチコピーで全盛を極めたが...
    俺たちのような裏方稼業はさらに一段上"ピンチを笑い飛ばさなければ仕事じゃない!"が座右の銘。生きる哲学であった。

    さぁ、みなさんが黒澤組ならば...どうやってココから笑って生還しますか!?

    このシーンを撮るために、北海道のロケ地には130頭の馬が用意され、
    15人の獣医師が集められた。まずは原野一面に死体エキストラの兵士が倒れる。そして、わずかに空いた隙間に撮影用の馬をセッティング。だが、馬が眼を開けたまま倒れると、(馬が)砂利で目を傷めてしまうので...現場スタッフが、地面に布が敷かれる。ここで、ようやく御大・黒澤明が登場。高い足場の上から黒澤が、光線の具合をキャメラを覗き確認。トランシーバーで指示を出す。
    ようやく黒澤のOKサインが出れば...馬術指導の号令で白衣を着た獣医師が、次々に130頭の馬に麻酔を打ちまくる。馬は次々と倒れていく。
    当然、麻酔の効き方は個体差がある。しかも、麻酔が効く時間はわずか30分。

    ...現場はまさに戦場。信玄が散った「野田城の戦い」と化す。

    黒澤組のカメラ班は、あらかじめ割り振りされた位置から、
    地面に倒れ身もだえする馬。力尽きる歩兵。膝をつき崩れ落ちる馬を手際よくカメラにおさめていく。それまでの裏方の苦労など一切無視しながら、冷酷に淡々と各々のイメージをフィルムの上に、焼きつけていく。
    わずか数十秒のために、映画館にお金を払ったお客を楽しませるためだけに。

    ...今から俺(柳田)が語る戯れ言は、1990年代の初頭。
    滋賀県の田舎町から、頼まれもせずに上京した"嘘のような実話"である。
    信じるも、信じないも...もはやどうでもいい。
    コンプライアンス(企業活動において、社会規範に反することなく,公正・公平に業務遂行すること)なんて存在しなかった頃の時効話である。

    "放送作家見習い"という"存在しない肩書き"を背中に焼き付けられた俺に課せられた任務は
    『明日の朝までに、美容整形手術するブサイクな女をひとり!』
    そして、『そのブスが思いをよせる男前をひとり!』集めて来ること。

    『それからよぉ、できればよぉ、その女の出身地は北国の田舎娘。
    サブカルに憧れている幸薄そうな奴が笑うよなぁ~!ガハハ!!』


    当時テレビ業界で幅をきかせていた"ムチャ振り"発注。
    俺の目の前に陣取っていた"斜視の男"こそ...当時のボス『伊藤輝夫』。
    後に"テリー伊藤"と名乗るテレビ界の鬼才であった。



    (つづく)

    文/柳田光司


    【著者プロフィール】
    1968年生まれ。本業は『放送作家』
    現在『あの頃の、昭和館』という映像・音声ブログを配信中
    その中の音声コンテンツ『現代漫才論(仮)』では企画~出演~編集もやっています。
    これまで、いろいろ照れがあり...何ひとつ外に出していませんでしたが...。
    今はもう、そんな自分がアホらしくなり 精力的にアウトプットしていきます。
    Twitterアカウントは@anokoro_no
    https://twitter.com/anokoro_no
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