不動産価格を知るための指標には、さまざまなものがあります。中でも、ニュースなどで取り上げられる機会が多いのは「路線価」です。今回は、不動産投資の基礎となる路線価の見方について学んでいきましょう。
土地を評価するためのさまざまな指標
地価公示価格、固定資産税評価額など、土地の価値を評価する指標にはさまざまなものがあります。国が公表する指標は、あくまで国が査定した土地の価値です。そのため、マーケットが求める価格とは異なる場合があります。売買の際の指標になる市場価格というものもあるのです。
国が公表する土地価格の指標の中では、地価公示価格がもっとも時価に近いといわれます。路線価は、この地価公示価格の80%程度に設定されているため、時価の80%程度という目安で考えるといいでしょう。なお、土地を相続するときの相続税や贈与税の算定には、路線価が使われます。
路線価のチェック方法を知ろう
路線価は、毎年7月ごろにその年分のデータが国税庁のホームページで公開されるため、誰でも無料でチェックすることができます。まずは国税庁のホームページにアクセスし、見たい年度・地域を選択しましょう。選択すると、エリアの地図とともに数字とアルファベットで示された不思議な記号が出てきます。例えば、路線に「150D」と記載されている場合、これは「1平方メートルで15万円」という意味です。
そして、後ろのアルファベットは何を示しているかというと、これは「借地権の割合」を示しています。借地権とは、「第三者から借りた土地に自己所有の建物を建てられる権利」をいいます。土地は大家さんのものですが、建物は賃借人のものという状態を指します。借地権の割合を示すアルファベットはAからGまであり、それぞれ以下の割合が決められています。
A=90% B=80% C=70% D=60% E=50% F=40% G=30%
1平方メートル当たりの価格と借地権の割合を掛けた価格が「路線価」となります。
2面を道路に挟まれている土地は価値が高い
路線価は、その名の通り道路を基準とした土地価格の表示方法ですが、土地の2面が道路に挟まれている場合はどうなるのでしょうか。2面が道路に挟まれている場合、路線価の高いほうを「正面」、低いほうを「側方」と呼びます。正面の路線価に側方の路線価の一部を加えて計算します。
普通宅地の場合、側方路線影響加算率は5%と決められています。2面が道路に面しているほうが使い勝手が良いので、それだけ評価が加算されるわけです。例えば、路線価が15万円と10万円の土地100平方メートルの場合は(15万円+10万円×5%)×100平方メートル=1,550万円と計算できます。
路線価日本一はどこ?
毎年7月に路線価が発表されると、路線価日本一の土地はどこかが話題になります。2017年7月に発表された2017年分の路線価トップは、東京都中央区銀座5の「鳩居堂」前でした。中央通りに面した、三越や和光のある銀座4丁目交差点のあたりです。鳩居堂前の路線価は、1平方メートルあたり4,032万円で、32年連続日本一となっています。
この価格は、過去最高値だったバブル直後(1992年)の3,650万円を上回ったことでも話題を呼びました。近年、付近に大型商業施設「GINZA SIX」や東急銀座プラザが開業したこと、そして訪日外国人客の増加によってホテル需要が急速に高まっていることなどを受けて、銀座の地価は高騰しています。また、都道府県別では、東京のほかに大阪、愛知など13都道府県が上昇しました。
身近な土地の路線価をチェックして相場観を養おう
路線価は、誰でもウェブ上でチェックできる指標です。相続の時の相続税や贈与税を計算する場合の基準にもなる指標なので、不動産投資をする方は路線図の見方や計算方法を身につけておくと便利でしょう。土地の相場観を養うためにも、実家の付近や投資用不動産を保有しているエリアの路線価図をチェックして、実際に価格を計算してみてはいかがでしょうか。