文◎アール(『巌流島』実況)
『アールさん、リアル格闘技の実況をしてみませんか?』
『アールさん、リアル格闘技の実況をしてみませんか?』
知り合いのニコニコ関係者の何気ないこの一言から、僕と今回の「巌流島 実験検証 道場マッチ」との関わりが始まった。
とても光栄なお誘いだし、興味もある。同時に簡単なことではないという確信があった。すぐにでも返事をしたかったが、とりあえず話を聞かないことには不安しかない。
にもかかわらず、LINEでの会話はとても軽いノリで進み、番組ディレクターとの打ち合わせがあっさり決まる。
僕は普段は格闘ゲームの試合を実況させてもらっている。昨今は格闘ゲームの世界もプロが生まれ、世界中のいたるところでイベントが開かれ、賞金額もどんどん上がっている。そんな中で多くの日本人選手が活躍していれば盛り上がらないはずがない。
そうした格闘ゲームのイベントのMCや試合を実況して盛り上げるのが僕の役割。駆け引きはわかりにくい部分が多いので、自身もプレイヤーとして練習している。イベント前には参加選手たちに胸をかりて強さの質を肌で感じて実況に活かしたりもする。
そんな試行錯誤を繰り返して積み上げてきた格闘ゲームの実況を人間同士の試合でどのように活かすか……。プロレスを始め、格闘技実況の方々の歴史と凄さは知っている。目の肥えたファンが多い世界だということも知っている。
(うん、考えれば考えるほど不安が増すばかりだ!)
いろいろ頭で考えていてもしょうがないので番組のディレクターに話を聞いてみよう。なぜ自分なのか? どんなことを期待されているのか? まずはそこからだ。
番組D『何もかも実験的な企画なのでいつも格闘ゲームでやってるように実況してみてください。今までにない形で格闘技を見せたいんですよ! 大丈夫、楽しんでやってください』
なんて軽いんだ……。ってか話を聞いてみると選手もルールも本当に実験的だ。このイベント、大丈夫なのか?w
とはいえ、あの元K-1の谷川さんを始め、巌流島の実行委員会にはそうそうたる方々のお名前が連なっている。もう少しいろんな角度から話を聞いてみよう。
番組ディレクターと話していて感じたのは、この企画は本当にみんなでチャレンジするものなのだということ。チャレンジするのは僕だけではない。運営も、選手も、番組スタッフも、視聴者すらも該当者なのだ。
本番当日。
格闘技イベントらしく関係者はガッチリとした体格の強そうな人ばかり。一緒に司会進行をする渚さんは何度も共演しているので、ひとまずは彼女を頼りにしようと思っていた。
(でもね、
谷川さんをはじめ旭道山さん、松本天心さん、山田さんとみなさんがとても気さくに迎え入れてくれたんですよ!)
これは本当に嬉しくて、なんというか歓迎されてる空気というのを感じた。やはりこのイベントはみんなでチャレンジするものなのだと再確認できた。それで開きなおれた。
番組が始まると視聴者も戸惑っているのがコメントから見て取れた。僕は少しでもうまく視聴者も一緒に新しいものを創る一員なのです! という主旨を伝えようとしていた。
出場選手はパンチの効いたお茶目なキャッチフレーズとは裏腹に物凄い根性を見せて不慣れなルールの中、激しい試合を演じた。その姿から選手一人一人にとってもこの巌流島に参加することはチャレンジなのだと伝わってきた。
解説陣もそうした選手たちの熱に応えるように、初心者視点からの質問にわかりやすく熱い解説をしてくれた。
番組が進むにつれその熱はより大きく、心地よいものになっていった感覚があった。
コメントも多く寄せられ、そのほとんどが選手に対してか、今後の巌流島に対する建設的な意見で非常に素晴らしかった。運営の人は本当に参考にしていると思う。
『理想の格闘技を創っていく実感』を多くの人が共有できたからこそ、実験検証 道場マッチは面白いと評価されたのではないだろうか。予想を遥かに超えた3万人以上の視聴数は他の公式番組と比べても引けをとらない立派な数字だ。
大反響につき、6月も開催予定とのことなので僕の実況も反省点をふまえ、巌流島とともに成長していけたらと思う。
そしていつか道場マッチからみんなの想いを背負った選手が本戦の舞台に立つ日を願っている。
という感じでブロマガ1回目を書いてみました。なぜ格闘ゲームの実況者が実況してるんだ? そもそもこの巌流島ってなんなんだ? というコメントが印象的だったので、その部分が伝われば幸いです。
自分の実況は拙い部分がたくさんありますが精進していきます。よろしくお願いします!