特定秘密保護法案をめぐって参院の審議が大詰めを迎えている。政府与党は12月6日までの臨時国会会期中に採決して可決成立させる方針だ。だが、たとえば共同通信やFNNの世論調査では、回答者の8割以上が今国会にこだわらず、慎重審議を求めている。

私も同意見だ。さて、そうなると、注目されるのは修正法案の提出者である自民、公明の与党とみんなの党、日本維新の会の対応である。4党は国会の会期延長、あるいは次の通常国会へ継続審議に動くのか。

石破幹事長はブログ失言の汚名をそそぐチャンス


自民、公明の与党は、いまのところ会期延長に動きそうにない。政府が強気の姿勢を崩していないからだが、私は今回の問題では、与党が政府の立場と異なって会期延長の判断をしてもいい、と思う。

石破茂幹事長はじめ自民党の与党議員は、政府と何が違うのか。政府は法案を国会に提出する立場であり、与党議員は法案を受けて国会で野党と議論を尽くすのが仕事である。今回ほど、そういう役割分担が重要になった局面はちょっと思い出せないほどだ。

なぜ、この役割分担が重要か。それは冒頭で紹介したように、国民の8割以上が「国会で議論を尽くせ」と望んでいるからだ。国民は自分たちに代わって議員たちに国会での議論を委任している。議員は「国民の代理人」である。

通常であれば、国民は選挙で与党に多数を与えた時点で政府には法案提出、与党にはそれを可決成立させる手続きをほぼ一括して委任している、と考えてもいい。

だが、今回のようなケースでは、国民は政府が提出した法案について、国会に「しっかり議論して問題点があるなら修正してもらいたい」と期待しているのではないか。複数の世論調査で8割以上という数字が示すのは、そういう民意であると思う。

そうだとすれば、普通は政府を支えるのが与党ではあるが、ここはいったん立ち止まって、国会運営を預かる与党の権限において「慎重審議をしよう」という判断があってもいい。なんでも「政府の言う通り、国会を運営するのが与党」という話になったら、国会や国会議員の権威がないではないか。

ここで石破幹事長が英断をふるって、国会会期延長に動けば「幹事長の権威」は間違いなく高まるだろう。ブログ失言の汚名をそそぐチャンスでもある。国民は「国会というのは政府とは違うのだ」と実感する。それは民主主義にとってプラスである。