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長谷川幸洋コラム第44回 他国への攻撃を日本への攻撃とみなし反撃する根拠が「集団的自衛権」である理由
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長谷川幸洋コラム第44回 他国への攻撃を日本への攻撃とみなし反撃する根拠が「集団的自衛権」である理由

2014-04-17 20:00
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    かつて議論を呼んだ自衛隊によるインド洋上での給油活動 〔PHOTO〕gettyimages

    安倍晋三政権が目指す集団的自衛権の憲法解釈変更にからんで「集団的自衛権を行使しなくても、個別的自衛権の行使で対応できる」という意見が与野党から出ている。日本周辺で起きた有事の際、米軍を守るのに集団的自衛権の行使は必要なく、従来から政府が合憲としてきた個別的自衛権の拡大解釈で対応可能、という主張である。

    この意見は与野党だけでなく、集団的自衛権の行使容認に反対ないし慎重な新聞などマスコミの間でも根強い。いずれ国会で本格的な論争になるだろうが、ここでは議論を一段と活性化させるためにも、ひと足先に考えてみる。

    「日本が攻撃目標になっている」と"みなす”ケース

    たとえば、公明党は米艦船が自衛隊艦船と並走している時に攻撃を受ければ、日本は個別的自衛権の行使で米艦船を防御できると繰り返している。山口那津男代表は私がコメンテーターとして出演した4月5日放送のBS朝日「激論!クロスファイア」でも「集団的自衛権の行使はリアリティがない」と強調した。

    日本共産党は4月10日付「しんぶん赤旗」の「主張」で同じようなケースを挙げて、次のように書いている。

    〈 元内閣官房副長官補(安全保障担当)の柳沢協二氏は著書で、第1次安倍政権時に『公海上で米艦が攻撃された場合の自衛隊の対応については、日本近海であれば、そのような攻撃は通常、日本への攻撃の前触れとして行われ、日本有事と認定できるため、・・・個別的自衛権によって米艦の護衛が可能』と説明していたことを明かしています(『検証 官邸のイラク戦争』)。高村氏が挙げる事例は個別的自衛権で対応できるのに、無理やり集団的自衛権行使の類型に入れ、それを正当化する口実に使っているだけです。 〉

    ここで「高村氏が挙げる事例」というのは、同紙によれば「A国が日本を侵略するかもしれない状況下で、日米安保条約に基づき日本近海で警戒行動をとる米艦をA国が襲った。日本は集団的自衛権の行使になるからといって米艦を守らず、米艦は大損害を受けた。A国はその後、日本を侵略してきた」というケースである。

    もう1つ、例を挙げよう。結いの党の江田憲司代表の主張だ。江田は近著『政界再編』(角川ONEテーマ21)でこう言っている。

    〈 今、問題とされているケースは、本来「個別的自衛権」の範疇に包摂されるべきものであり、これまで認められてこなかった「集団的自衛権」をわざわざ持ち出すようなケースではない。 〉

    〈 太平洋で米軍の艦船と自衛隊の艦船が並走していたところ、たまたま敵国のミサイルが米軍の艦船に命中した。それに対して反撃した場合、集団的自衛権の行使にあたるのではないかというのですが、これなどはまさに机上の空論です。そういう事態というのは、実際には既に日米に対して開戦している状況でしょうし・・・もしかしたら自衛隊の艦船を狙ったものかもしれない。そうなら即座に反撃する、それが現場の常識、感覚ではないか。 〉(同書、41~42ページ)

    これらは、いずれも完全に同じケースとは言い切れない。だが「日本が攻撃目標になっている」と「日本がみなしている」点で山口、柳沢(日本共産党)、江田の3例は共通している。具体的に言えば、たとえば北朝鮮が米艦船を狙ってミサイルを発射したとしても、日本は「日本艦船に対する攻撃」とみなす、というケースである。 
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