第2次安倍改造内閣が発足した。菅義偉官房長官、麻生太郎財務大臣、甘利明経済再生担当大臣などの主要ポストは留任している。一方、女性閣僚が3名増えて、これまでで最大の5名になった。さらに党の政調会長に稲田朋美さんが起用されるなど、「女性の活用」が前面に出ている。

今回の内閣改造でいちばんのサプライズは、小渕優子経済産業大臣だろう。女性であり、最年少でもある。フレッシュさは、国民には好印象を与えるはずだ。

経産大臣にとって最大の難問といえば原発政策だろう。原発への不信感は国民の間で根深く、さまざまな感情が渦巻いている。小渕大臣が、どれほどの手腕を発揮できるか、期待して見守りたい。

さて、改造を終えた安倍内閣が今後どういう道をたどるのか。現在、日本経済は非常に危険な状況にある。4月の消費税引き上げ以降、2014年4~6月期の国内総生産(速報値)は、実質で1.7%のマイナスだ。年率換算すれば6.8%のマイナスとなる。ここまでは安倍内閣も想定内だったろう。だが、その後の7~9月期も、マイナスと予想されている。消費税アップで、一時的な落ち込みは予想されたものの、ここまで回復しないのは想定外だ。

さらに悪いニュースがある。厚生労働省が2日発表した7月の毎月勤労統計調査だ。1人当たりの現金給与総額(月平均)は、前年同月比2.6%増の36万9846円。5カ月連続のプラスである。しかし、物価の影響を織り込んだ実質賃金指数は1.4%減になる。つまり、賃金の上げ幅が物価上昇に追いついていないのだ。これはアベノミクスの狙いがうまくいっていない、といっていい。