木馬に乗る。
 簡単そうに思えるが、大間違いだった。わずか数分間だったが、筋肉痛は必至だろう。
 けさ最後の取材先として訪れた高橋忠厩舎で、高橋忠師と中塚助手のご厚意により、乗馬体験ならぬ「木馬体験」をさせていただいた。単なる木馬ではなく、海外直輸入でウン十万円というプロ仕様。まずは持ち主の中塚助手に手本を見せてもらった。
 華麗なフォームを難なく披露してくれたので、そこまで難しそうには見えなかったが、実際に乗ってみると大違いだった。まず、自分がどんな姿勢なのかが分からない。「顔は前に」「背中はまっすぐ」「腰を落として」などと高橋忠師から直々に“調教”され、言われるがままにして、それらしい見た目にはなった。そして手綱をしごいたりしてみたが…。
 またがって1分も過ぎないうちに、両足(特に太ももの前側)がプルプルしてきた。ふだんから1日おきの10キロ走で足腰を鍛えているつもりだったが、すぐに音を上げて「もう、落馬しそうです…」と情けない声を出すはめになった。
 実際の馬上では、最高時速70キロ以上ものスピードが出て、当然ながら振動も大きい。さらには引っ掛かった馬を制御したり、片手でムチを打ったり…。ありえない。騎手や厩舎スタッフのすごさを痛感する貴重な体験だった。【太田尚樹】

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高橋忠師(右)に“調教”してもらう太田記者

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中塚助手のお手本(撮影・太田尚樹)