G1級3歳馬が古馬の壁を打ち破る。新潟記念(G3、芝2000メートル、6日)に出走する3歳馬ミュゼスルタン(牡、大江原)は、夏場を無事に乗り切り、2日の追い切りでも順調な仕上がりを印象づけた。NHKマイルCで3着の実力馬。今夏の混合戦では3歳有利のデータもあり、54キロのハンデを味方に、主役の座を狙う。

1faed39d06466535eaf93ee37500da5f1da5cce8
ミュゼスルタン(手前)は柴田善騎手を背に3頭併せで追い切られた(撮影・酒井清司)

 ミュゼスルタンは、ウッドで3頭併せの大外を豪快に伸びた。5ハロン66秒1-13秒1(馬なり)の時計に、柴田善騎手は「いいね。うまく仕上がった。この時期の3歳馬は、急激に力を付けてくるから楽しみ」と納得の表情を浮かべる。

 6月から始まった3歳・古馬混合戦は、先週まで3歳128勝、4歳以上314勝だが、出走頭数の違いもあり勝率8・9%(古馬6・7%)、連対率17・2%(同13・6%)、複勝率25・3%(同20・5%)で、いずれも3歳が古馬を上回っている。やはり定量で3キロの重量差は大きい。

 大江原師は「古馬は強いが3歳馬には勢いがある。うまく夏場に成長のピークを持ってこられれば、ハンデの恩恵を受けることができる」と話す。スルタンも涼しい函館でしっかり乗り込み、帰厩後も順調に仕上がった。「避暑地でぜいたくな夏を過ごさせてもらった。おかげで気持ちにも余裕があって、筋肉の質も良くなった」と明かす。

 ハンデの54キロは最重量のダコールと4キロ、関屋記念2着のマジェスティハーツとも2キロ差がある。経験を勢いで逆転できる条件は整った。「ワンターンのコースは合うし、硬い馬場じゃないのもいい。ここで賞金を稼ぎたい」と師。NHKマイルC3着、ダービー6着。3歳G1で活躍した実力派が、古馬を撃破する。【水島晴之】