今週から秋の東京競馬が開幕する。メーンの毎日王冠(G2、芝1800メートル、11日)はG1馬4頭を含む、出走全馬が重賞ウイナーという豪華布陣。英国遠征帰りのスピルバーグ(牡6、藤沢和)にとっては天皇賞・秋(G1、芝2000メートル、11月1日=東京)連覇に向け、はずみをつけたいレースだ。
昨年の天皇賞・秋を制したスピルバーグ(右)
得意の庭に帰ってきた。天皇賞・秋連覇を狙うスピルバーグにとって東京競馬場は全6勝を挙げるベストの舞台。昨年の毎日王冠では直線で狭い位置に入り、割って出るのに手間取ったが、それでもコンマ1秒差の3着。そのレースも含めて府中の1800メートルは【3 0 2 0】と崩れ知らずだ。
今年初戦の大阪杯で4着、続く英G1プリンスオブウェールズSでは6着に敗れた。世界の強豪が相手だったことばかりが敗因ではない。藤沢和師は「前走は相手も強かったし、馬場も硬かった」としながらも「それに右回りで内にささった」と適性面も敗因に挙げている。
英国で2戦するプランもあったが、結局は1戦で切り上げ、夏場を休養に充てた。秋の始動は、昨年と同じ左回りの毎日王冠を選んだのは必然だ。「一年中ずっと走れるタイプじゃないので、1戦だけで日本に戻した。帰ってきてからの調整は楽だった」。追い切りでは目立って速い時計は出していないものの、順調に乗り込んだ。1週前は坂路で4ハロン57秒2-13秒7をマーク。3頭併せの真ん中から力強い動きを見せている。
チャレンジャーだった昨年と違い、今年は受けて立つ立場。豪華メンバーがそろったが、それでもこの舞台で言い訳をするわけにはいかない。「東京だし、恥ずかしくない競馬をしてほしい」。トレーナーは休み明けからスピルバーグの末脚全開をイメージしている。【高木一成】
◆毎日王冠の豪華メンバー 過去10年で天皇賞・秋を勝った馬の6頭が毎日王冠をステップにしているように、毎年豪華メンバーが集まる。中でも98年は宝塚記念覇者サイレンススズカに無敗の外国産3歳馬2頭が挑んだ語り草のレース。サイレンススズカが逃げ切り、5戦無敗のNHKマイルC馬で、同年のジャパンCを制したエルコンドルパサーは2馬身半差2着、4戦無敗で前年の朝日杯3歳S以来だったグラスワンダーは5着に敗れたが、同年の有馬記念で勝利した。