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突然ですが、フランス国王ルイ16世の王妃として有名なマリー・アントワネット。マリー・アントワネットがこよなく愛した花があります。それはなんだと思いますか。
それはバラの花でも、ユリの花でもありません。実は、それはジャガイモの花でした。王妃は舞踏会などでジャガイモの花の髪飾りを好んでつけたと伝えられています。王妃が愛した花がジャガイモというのも意外な気もしますが、ジャガイモは白や紫色をしたなかなか美しい花を咲かせます。
さて、今でこそ料理には欠かせないジャガイモ。しかしジャガイモの歴史をたどると、普及するまで長い時間がかかりました。案外知らない野菜の歴史。少し覗いてみませんか。

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野菜の地位

ずっと昔、野菜には身分相応に分けられていました。簡単に言えば、上にあるものは価値が高く、下にあるものは価値が低くなるという考えがあり、食物では鳥が最も貴く、地上を動き回る動物が次に続き、そして地に根を張って動き回る事が出来ない植物は最下位のものとされました。さらに植物の中にも順列があり、同様に空中に実をつけるものの方が、地下の根や茎が食用となるものよりも上とされました。

そこで話は中世フランス、マリー・アントワネットの時代に戻ります。この頃、フランスでは天候不順などから飢饉に苦しんでいました。当時のフランスではジャガイモは地に根を張る植物として偏見をもたれていた為、今ほど普及していませんでした。
やせた土地でも収穫でき、保存のきくジャガイモは、飢饉を防ぐ上で重要な作物。マリー・アントワネットがジャガイモの花を愛したのは事実のようですが、ジャガイモの髪飾りをつけたのは、ジャガイモのキャンペーンの意味合いもあったようです。
マリー・アントワネットの夫、ルイ16世は、飢饉から国を救う為にジャガイモの普及に乗り出しました。ルイ16世は当時の国王にジャガイモの花束を贈り、彼のボタン穴にはジャガイモの花を飾って、ジャガイモを大きく宣伝。さらに妻のマリー・アントワネットがつけたジャガイモの花飾りの宣伝効果は絶大で、美しい観賞用の花としてジャガイモの栽培がフランス上流階級に広がっていったのです。

次にルイ16世は、国王の畑にジャガイモを栽培させ、「これは王侯貴族の食べるものであるから、盗んではならない」とお触れを出して見張りを立てました。凶作を防ぐ為にジャガイモを普及させたいはずなのに、王侯で独占するようにしたのには理由があります。彼は夜なるとわざと見張りの兵隊を引き上げさせました。そこで好奇心旺盛な者や農民が夜中に盗みに来て、自分たちで栽培するようになりました。こうしてルイ16世の策略により、ジャガイモは見事に庶民の間に広がったのです。


ジャガイモのあれこれ

特性

ジャガイモは根の部分だと考える方が多いかもしれませんが、茎の部分が肥大化した部分を食べています。ビタミンCが豊富で加熱調理をしても壊れにくく、カリウムなどのミネラル分が多く含まれています。ジャガイモの成分はでんぷんが多いのですが、カロリーはご飯の2分の1から3分の1といわれています。

良いジャガイモの見分け方

芽が浅い・芽が出ていないもの
表面に傷がなく、しなびていないもの
手に持って重量感のあるもの

調理

ジャガイモが発芽して緑がかった芽にはソラニンという有毒成分が含まれる為、芽を深くえぐりとって調理します。

代表的な品種

  • メークイン:粘質な肉質の為、シチューなどの煮込み料理に最適
  • 男爵:粉質な肉質で、品質が良く、サラダやコロッケなどに適しています。
  • インカのめざめ:とても美味しいことで最近人気の高い品種。栗のような食感で煮崩れないので煮物に適していて、お菓子作りにも◎。

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