何度も何度もいろんなところで話してきた事だが
文章にする事はあまりなかったので
ここらで『ひろぐ』に書き記そうと思う!
私がこの世界を目指したのは中学生の時だった!
もともとは本気でレスラーになりたいと思っていた!
英国が生んだ名レスラー
”爆弾小僧”「ダイナマイト・キッド」のような選手になりたかった!
しかも私の妄想では
現実には存在しない漫画の主人公
『タイガーマスク』としてデビューしたかった!
ところが!
1981年のある日!
あの腹立たしい事件が起こった!
新日本プロレス中継でいきなり現れた
とんでもなく粗末なマスクをかぶった
「タイガーマスク」を名乗る私よりも小さな男が
まさに憧れのダイナマイト・キッドを相手に
100点満点の試合を見せた!
あの試合だけは今見てもくやしくてならない!
しかしその時点で私は
「プロレス界に私の居場所はない!」
と親にまで宣言した!
私が将来に抱いていた2つの夢のうち
1つがその日に消えた!
今の私はそのもう1つの場所にいる!
どうしてもコメディ関係の仕事に就きたい
と両親にも語った!
なので母親と共に受けた高校の三者面談では
母親も真顔で
「コメディの仕事ってどうやったら就けるんですか?」
と尋ねてくれた!
先生は郷土芸人「ビートきよし」の知り合いなら紹介できる
とか
「伴淳三郎」の親戚ならば知っているとか
私の将来とはほぼ無関係なアドバイスをくれた!
他に誰に相談しても
もらえるアドバイスは似たようなものだった!
私はコメディの未来を変えたいと願っているのに
取り敢えずお笑い芸人の
しかも本人ではなく知り合いを紹介しようとした!
同時に「まずはいい大学にさえ入れば」と
”そのうちあきらめる方式”を私にあてがおうとした!
私はとてもイライラした!
誰か大人に相談する時間が完全に無駄なものだと察した!
そんな時に
ジェニファー・コネリー目当てで
『ラビリンス 魔王の迷宮』
というファンタジー映画を観た!
その作品の脚本家として
「テリー・ジョーンズ」の名前がクレジットされていた!
その当時ビデオリリースされた
イギリスのコメディ番組
『空飛ぶモンティ・パイソン』を観るのは
私の受験勉強前の日課だった!
日清カレーヌードルを食べながら
毎日必ず数本観て
全てを観終えたら
また最初から観た!
テリー・ジョーンズは
そんなコメディグループであるモンティ・パイソンの
発起人的ポジションの人物だった!
当時の
『ロードショー』や『スクリーン』といった
映画雑誌には
たいていハリウッドスターへのファンレターの宛先や
先方に喜ばれるファンレターの書き方などが載っていた!
なので観た映画の製作会社へ手紙を送れば
いずれはその関係者に届くという事を知っていた!
私は『ラビリンス 魔王の迷宮』を製作した
トライスター社に
テリー・ジョーンズ宛の手紙を書いた!
はじめまして!
僕は日本の山形という田舎町に住む
1969年生まれの高校生です!
ビデオリリースされた『空飛ぶモンティ・パイソン』を
毎日観ています!
すごいテレビ番組だと思います!
僕は今大学に進むための勉強をしていますが
人生の目標はあなたのようなコメディの仕事をする事です!
けどもどの大人に相談しても
その夢をギブアップさせようとする言葉しかもらえません!
僕は日本のコメディの未来を変える
「The Wind of Change(変化の風)」になりたいと思っています!
その頃聴いていた
ロバート・ワイアットのシングルに
ナミビア共和国の独立を支援する
南西アフリカ人民機構「SWAPO」の応援歌
『The Wind of Change』という歌があり
つたない英語ながら
そのタイトルを引用した!
もしもよほど退屈だったら
何か僕に言葉を下さい!
この逆境の中で
僕はどうしたら「The Wind of Change」になれるでしょうか?
それをポストに投函した時点で
私の心は既に晴れていた!
ひとまず親や周囲の言う通り
東京で”いい大学”と呼ばれるようなところに入学し
できるだけの事をやってみよう!
そのうち夢など消えてしまうのだろう!
変化の風になどなる必要はない!
みんなと一緒の風に乗って
流れに任せて生きて行こう!
テリー・ジョーンズに手紙で愚痴ったという
その経験だけで充分だ!
充分か?
ああ!
充分だよ!
ところが・・・
数カ月後!
「ひろちゃん!
なんかイギリスから手紙が来てるよ!」
母親が私に一通の封筒を持って来た!
差出人はテリー・ジョーンズだった!
いやいや!
これはきっと
マネージャーが代筆したサインの入った
ポストカードか何かだろう!
しかし開封した瞬間
私の全身に何か電流のようなものが走った!
既に解散したモンティ・パイソンの便箋に
私の人生を変える
とんでもない文章が直筆で書かれていたのだ!
はじめまして!
テリーです!
山形という場所がどういうところなのか僕は知らないよ!
けども日本の高校生である君が
僕らの番組を褒めてくれるのはとても嬉しいな!
君の質問にできるだけ答えてみようと思う!
君は僕らの『空飛ぶモンティ・パイソン』を
とても褒めてくれたけどさ!
もしも君が自分の未来としてあれを目指すのならば
それは大きな間違いだ!
だってあの番組は君が産まれた1969年にやってたものだよ!
つまり君はあの番組を目指せば目指すほど
自分が産まれた日に帰って行くんだ!
僕らがやった事の要素をどれだけ盗んでもかまわない!
けどできるだけ僕らから離れようと努力してごらん!
それが君の未来だ!
そしてそれをやろうとしたその時に!
次に続く最後の一行が
私の全てを変えた!
Then,you can be THE WIND OF CHANGE!!
(君は変化の風になれるんだ!)
何度も読み返す必要はなかった!
テリー・ジョーンズからの短い返信を一度読んだ瞬間に
私がこの人生でするべき事がすべて見えた!
流れに乗って集団就職のように東京に行ってどうする!
もっと変わったところで自分を試そう!
大阪だからってボケツッコミなど書くものか!
私は変化の風を吹かせるために現れたのだ!
コントと物語が行ったり来たりで何を見ていいかわからないだと?
しょうがない!
私は誰も見た事のない物を作るためにやって来たのだ!
だって私は”The Wind of Change”でなければいけないのだ!
Mr.Jonesが私にそう言ったのだ!
私は自分が作ったものを真似られても盗まれても
一度も文句を言った事はない!
だってMr.Jonesも私にそう言ったのだから!
私を頼って将来の悩みを相談する若者たちには
真剣に返事をする!
だってMr.Jonesがそれをしてくれたから
私はここにいるのだ!
私からなにかしらの影響を受けたという人は!
毎年とは言わずせめて今日だけでいい!
テリー・ジョーンズという偉大なコメディアンを
追悼していただきたい!
だって彼がいなければ
私はこうしてあなたに知ってもらう事など
あり得なかったのだから!
テリー・ジョーンズ
2020年1月21日没
Thanks Mr.Jones!
I’m still trying,
fighting,
and enjoying
to be The Wind of Change!
See you next life!!
Hirohito
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