どうして最後の最後にしか
スペシウム光線を使わないのですか?
『水戸黄門』の印籠(いんろう)でも
よく似た議論が交わされるが
この”スペシウム問題”は
我々世代の”少年”が
”大人”になる時
誰もが論じ合ったテーマだ!
「馬鹿だなぁ!
それじゃ番組として面白くないじゃないか!」
大人になった少年達は
高かったはずの壁を越え
そうした回答を打ち出しては笑い飛ばした!
だが!
私にはそもそも
その壁を越える気が無かった!
私は恐らくその壁の下の部分に
こっそりと自分専用の抜け穴を作っていた!
なので少年と大人の間を
自由に行ったり来たりする事ができたのだ!
A:ウルトラマンは
スペシウム光線を発射するために
その広い体表面積で
宇宙から注ぐ微量の物質”スペシウム”を
体内に蓄積しなければいけないのです!
光線として発射できる量を蓄積するのに
約2分40秒を要するのです!
私のこの回答を聞いた多くの友人が
しばし沈黙した後に
せっかく越えた壁を
またよじ登って元の場所に帰って来たものだ!
「じゃあひょっとして
3分間を告げるカラータイマーの点滅は
スペシウム蓄積を告げる合図なのではないか?」
「いや!
カラータイマー点滅以前に
スペシウム光線を打つ場合もある!」
「その際のスペシウム光線は
威力が弱いと考えていいのだろうか?」
またみんなで論じ合った!
私は45歳になった今でも
そんな議論を本気でひろぐ事ができる!
昨日”大阪高島屋”にて
『円谷英二 特撮の軌跡展』
をひろいだ!
ひろぎにひろいだ!
そもそも私の人生など
この東北が生んだ偉人
「円谷英二(つぶらや・えいじ)」による
空想の具現化無しには
語る事ができないのだ!
その名前に全く聞き覚えのない人から
”その人はどれだけすごい人なの?”
と聞かれた時
彼ほど端的にそのすごさを説明できる人はおるまい!
「”ゴジラ”と”ウルトラマン”を生んだ人ですよ!」
その二つを生んだのが
同一人物であるという事に
改めて興奮してしまう!
作家「ウィリアム・シェイクスピア」が
「ロミオ」と「ジュリエット」という
2大キャラクターを生んだとは言え
ならばそれらを絵に描いてみろ
と言われると
よほどの画力が無ければ
とんでもない「超視点画」が産出されてしまう!
ましてや「ハムレット」の絵など
どう描いていいものやらだ!
だが!
「ゴジラを描いてごらん」
と言われれば
世界のほぼ全ての都市で
”あれ”が描かれるだろう!
「ゴジラ」のストーリーを知る人は少ないが
誰もがその存在を知っている!
そう考えると世界的な認知度で言えば
シェイクスピアなどよりも
断然「円谷英二」の方が上だと私は考えている!
実在しない世界的有名人(?)で
「ゴジラ」と張り合えるのは
「サンタクロース」ぐらいだろう!
そのライバルですら
キリスト教圏を一歩出てしまえば
「ゴジラ」の相手にはなるまい!
『円谷英二 特撮の軌跡展』は
「ゴジラ」10%
「ウルトラマン」90%
といった割合の展示会だった!
氏が”特技監督”を務めた名作
『ガス人間第1号』を
舞台化させていただいた経験のある
私ほどになると
「へー!
それは知らなかった!」
という新たな発見は無かったが
それでも数々の直筆資料や
かなりの量の怪獣達の着ぐるみや
ジオラマや撮影セットなどに囲まれると
”子供の遊び”を生む現場が
決して”子供の遊び”ではなかった事を痛感し
全身が興奮で震えるのを感じた!
Q:ウルトラマンはなぜ
科学特捜隊が窮地に陥るまで登場しないのか?
怪獣が現れたら即座に登場すれば
あれほど街を壊されないで済むのではないか?
その答えは既に『ウルトラマン』第37話
『小さな英雄』にて
脚本家の「金城哲夫(きんじょう・てつお)」氏が
恐らくは「神楽坂」の旅館
「和可菜(わかな)」の一室にて
見事に書き切っている!
「結局最後に怪獣を倒すのは
いつだってウルトラマンじゃないか!
ならば科学特捜隊なんて必要ないじゃないか!」
そう主張して「イデ隊員」が
科学特捜隊の仕事を放棄するのだが
やがてウルトラマンは
地球人達に大切な事を問う!
「いつか私がいなくなった時
君たちはどうするのですか?」
それは飛躍させれば自衛隊の強化とも取れるため
日本国憲法問題まで発展してしまうのだが
それ以前に
”少年達への自立心を呼びかけている言葉”
だと私は感じる!
大人に守られる事を当然と思って育つうちに
自分が大人になっている事に気づかずに成長してしまう
そんな悲しい人種が多く出現する昨今
金城氏によるウルトラマンを通した
このメッセージは
あまりにも大切な物だ!
少年のうちに聞いておかなければいけない
大切な言葉だ!
『円谷英二 特撮の軌跡展』会場内で
ふと目にとまったのは
空を背景に
両手を広げた「ウルトラセブン」の
約40〜50cmほどの人形が
逆さに吊るされた小ブースだった!
ブースに設置されたボタンを押せば
その「ウルトラセブン」の角度が変わる!
その様子はカメラで撮影され
モニタに写し出される!
だが映し出されるその画像は
上下が反転された物である!
なにげなくその「ウルトラセブン」の角度を変え
遊んでいるだけの観客を多くみかけたが
この展示ブースこそが
イベント内で最高に貴重なものであると
私は感じていた!
「円谷英二」は”逆さまの視点”に
多くの答えがあると探った人だ!
例えば彼が表現した火山の噴火は
水を入れた水槽に
山のミニチュアを逆さに入れて撮影された!
山の頂上部には穴が開けられており
そこから絵の具を溶いた色水を流し込むのだ!
すると水槽内には山の先から流れる色水が
ゆっくりと水槽の底に向かって広がる!
カメラを逆さにしてそれを撮影すると
なんとも不気味に噴煙を上げる
恐ろしい火山が表現できるというわけだ!
逆さに吊るされた「ウルトラセブン」は
この”逆さの発想”の中でも
「円谷英二」による歴史的偉業とされる技法の
そのデモンストレーションだった!
当時海外の映画関係者や映画ファンの中で
こんな言葉がささやかれていたと聞く!
「どうしてツブラヤが撮影する飛行シーンには
飛行物の上に糸が無いのだ?」
世界最高技術を有するハリウッド映画でも
当時の作品を見れば
飛行機やUFOが飛ぶ際には
どうしても飛行物の上に
糸が見えてしまっている!
DVDやBlue-ray化される事によって
映像が鮮明になるため
更に見えるべきではない糸が
濃く映し出されてしまう!
なのに!
「円谷英二」の作品ではその糸が一切見えない!
理由は簡単だ!
円谷作品の飛行シーンは
逆さまに撮影されており
どうしても見えてしまう糸は
飛行物の下に出ているのだ!
これは
「大人はすぐに自分を安心させようとして
理解できない事象の粗さがしを開始する!」
という本能を逆手に利用した手法だ!
「円谷英二」という人は
常にそうした人間の本能を利用して
新しい物を見せる事に尽力した人物だ!
彼の有名な言葉にこんなものがある!
「他人から”できますか?”と聞かれたら
とりあえず”できます”と答えちゃうんだよ!
その後で頭が痛くなるぐらい考え抜けば
大抵の事はできてしまうものなんだ!」
円谷英二
”できますか?”と聞かれて
”できません!”と答える事ほど
人生にとって退屈な事はあるまい!
”できます!”と答えてしまってからが
人生は面白くなるのだ!
『円谷英二 特撮の軌跡展』での
逆さに吊られた「ウルトラセブン」は
その人生の面白い方向に向かって飛んでいるように
私には見えた!
私は
Q:ウルトラマンは
どうして地球のために戦い続けるのですか?
というシンプルな質問や
Q:ウルトラマンとウルトラセブンが戦ったら
どちらが勝ちますか?
という難問にも
他人をしっかりと納得させる答えを持っている!
それほどまでに「円谷英二」が作り出した世界を
深く研究している45歳だ!
少年と大人との壁に
こっそり抜け穴を掘って生きてしまった
そんな生き物だ!
なのでこれ以上書き続けたら
文章が際限なく続き
大変な事になってしまうので
ここらで納めるとし
残りはトークイベントでも開催しようと思う!
『円谷英二 特撮の軌跡展』は
なかなかしゃれた展示物も多く
『ニッポン無責任新世代』に出演していただいた
「すすむちゃん」こと
「黒部進(くろべ・すすむ)」氏が
”スプーン”にサインした物なども展示され
ごく少数の観覧者を笑わせてくれた!
(その意味を理解する方は
過去の『ひろぐ』記事
『「やすらぎ」と「ぺけぽん」の間』
に掲載したとても貴重な写真を
是非ご覧いただきたい!)
グッズショップも充実しており
あれこれ悩んだ末に
すごい物を購入した!
値段は3,500円と
それほど安価ではないが
これを商品化しようとした人達の
その発想力に敬意を表して購入した!
一体どれだけの方が
この素晴らしさを理解してくれるだろうか?
これは『ウルトラQ』第19話
『2020年の挑戦』の中で
「誘拐怪人ケムール人」が
深夜の遊園地にて倒された際
誘拐された主人公達が解放され目覚める
その物悲しい遊具”コーヒーカップ”を
実際のコーヒーカップとして再現した物である!
全部で3色あったが
『ウルトラQ』は白黒作品であるため
”本当の色”というのは無い!
なのでこの色を選んでみた!
うん!
これはいい買い物をした!
ついでに
同行してくれた
「ゲイブ」こと「ガブリエルみき」と
「14匹目の幼虫」こと「サラリー」とで
こんな写真も撮らせていただいた!
撮影してくれた係員は
我々の迫真の「ウルトラ警備隊」姿に
たいそう興奮して
頼んでもいないのに
10枚ほどもシャッターを切ってくれた!
「貼り出して展示したいぐらいです!」
やめてくれ!
マネージャーに呼び出されるから!
はてさて!
今月は「ひろの日」生配信も再開する!
16日はちょいと都合が悪かったため
今月は以下の日程で配信を行う!
ゲストは「へびいちご」の
「島川学(しまかわ・まなぶ)」君
を迎えてみようと思う!
そもそも養成所NSC入学時には
「大将」こと「兵動大樹」君の
漫才パートナーであったという「島川」君!
一体彼が何者なのかを
のんびりぐったり探ってみようと思う!
お楽しみに!
「ひろの日」生配信『語るひろぐ』
2014年5月20日(火)
20:00〜21:00
ゲスト:島川学(へびいちご)