ハックルベリーに会いに行く
岩崎夏海クリエイター塾について(1,909字)
ビジネスはいきなり大きく始めない方がいい。まず小さく始めることがだいじである。そこで芽がありそうだと分かれば、そこから拡大していく。失敗したらすぐにやめればいい。小さく始めていたらそれほどの損害にはならないはずだ。
今、岩崎夏海クリエイター塾というものをしている。これは、必ずしもビジネスとして始めたわけではない。ぼく自身が「教えること」というのをもっと研究したいという観点から始めた。そうして、大きな利益が出ているわけではないが、もう4年くらい続いている。
岩崎夏海クリエイター塾を始めて分かったのは、教えるという場においては縦のつながりだけではなく横のつながりも大切だということだ。横のつながりというのは、岩崎夏海クリエイター塾でいうとぼくと塾生との関係ではなく、塾生同士の関係ということである。この関係が刺激をし合えるようなものであることが、非常に重要なのだ。
岩崎夏海クリエイター塾は、この点を最初にデザインしていたわけではなかった。最初は縦のつながり――つまりぼくと塾生の関係しか頭になかった。
しかしそこで自然と横のつながりが生まれ、塾生同士が一緒に飲みに行くということが行われていた。それを知り、ぼくには思うところがあった。そこで起こる横のつながりを、もっと充実したものにするために、何かぼくに貢献できることがあるのではないか、と思ったのだ。
その、ぼくにできることとは何か?
それは、横のつながりにおける「議論の種を提供する」ということである。
例えば、ぼく自身が実際に突き当たっているトラブルについて話してみる。そうして、それについて議論してもらうのだ。そのトラブルの解決方法を考えてもらうのでもいいし、それを社会論的に考察してもらうのでもいい。
例えば、ぼく自身は今、本がなかなか売れないということが悩みの一つだ。それがなかなか解決できないということを、みんなに話し、議論してもらう。
すると、こういう問題は正解というものがなかなかないので、さまざまな意見が出るだろう。そうなれば、その議論は刺激的になる可能性がある。
なぜなら、そこで出るさまざまな意見は、各人の個性や人生の構えのようなものから浮き彫りになっている場合が多いので、他の人の考え方や発想にはない場合が多いからだ。つまりそこで、新たな考え方や発想法を得ることができるのである。それは、場合によっては自分の問題解決の参考にもなるだろう。
そういうふうに、ある集団の中に答えのない問題が投げ込まれ、そこで議論が活性化するときに、人は成長を果たす。これは、ユダヤの教育法の一つでもある。集団の横のつながりの中で知識と知恵のキャッチボールが生まれることによって、人は考えというものをどんどんと広げ、また深めることができるのである。
そして、考えを広げ、また深めるということは、多くの人にとって喜びにつながるのではないだろうか。ぼく自身も、ぼくの人生の中においても、考えが広がったり深めたりするということは、最上の喜びの一つともなっている。
そしてぼくは、自分が楽しいと思うものは他の人も楽しいはずと考えているので、クリエイター塾ではそういう機会をもっと作っていきたいと思っている。
話は変わるが、最近ぼくが興味を持っているものに、運動と睡眠がある。今、これらを勉強するのが楽しい。
だから、自分が楽しいと思うものは他の人も楽しいはずという考えに則ると、この二つは今後流行ると思う。もうすでに流行っていると言う人がいるかもしれないが、ぼくは今以上に流行るだろうと思っている。
なぜかというと、ここ20年くらい、多く人は「頭を鍛えること」にはそれなりに集中してきたが、その分、運動することと休息することはおざなりにされてきたからだ。そしてそれが、少なからず現代人の悩みの一つもなっている。
それゆえ、運動と睡眠の問題を解決すると、多くの人に寄与するということがあるだろう。今、多くの人は衣食住といった生きる上での根本的な悩みからは解決されるようになったが、その分それ以外のところが問題になってきている。そして、その筆頭ともいえるのが生活のクオリティというか、どう気分良く生きられるかということだろう。そして、そこに焦点が当たるとなると、運動と睡眠は避けては通れない。
そういうふうに、ぼくはこれから何が流行るかということもよく考えたりするのだが、そのことをクリエイター塾における横のつながりのネタの一つとして、随時提供していけたらとも考えている。
そんな岩崎夏海クリエイター塾では、今も塾生を募集している。詳しくは、こちらを参照されたい。
第5期岩崎夏海クリエイター塾開講のお知らせ(2,427字)
http://ch.nicovideo.jp/huckleberry/blomaga/ar1441836