ハックルベリーに会いに行く
正解はあります:その2(1,780字)
「正解」はなぜなくなったのか?
また、いつからなくなったのか?
「正解はない」という考え方は、我々の骨身に染みている。この言葉は、疑ったことのない人がほとんどだろう。あるいは、「正解はある」といわれても、ピンと来ない人も多くいるに違いない。
そこで今回は、そもそも「正解はある」とはどういうことか――ということについて、かいつまんで説明してみたい。
ぼくが最初にこの言葉に疑問を持ったのは、父親との関係の中だった。まだほんの幼いときの話だ。だから、もう50年近く前になる。その頃から、この考え方に疑問を持っていた。
疑問を持つきっかけは、しごく分かりやすいものだった。父親が、「相手の意見を尊重しなければならない」とぼくに言った。しかし一方で、彼は「ぼくの意見」は尊重していなかった。
あるいは、父親は「相手の気持ちを考えなければいけない」と言った。その一方で、ぼくの気持ちを全然考えていなかった。
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