「正解」というものは、「哲学的に考える力」が身につけばおのずと感知できるようになる。そうして「正解は人それぞれ」などと考えなくなる。
また「哲学的に考える力」は、哲学的な問題を「論点ずらし」をせず、素直かつ真摯に考えればおのずと身につく。
そこでここでは、試しに哲学的な問題について論点ずらしをしないよう気をつけながら考えてみたい。

考えるのは「自分はなぜ生きているのか?」という命題だ。
これの直接的な答えは、大きく二つある。
一つは、「自分が生まれた」から。
もう一つは、「自分がまだ死んでいない」から――である。
このうち、今回は「自分がまだ死んでいない」ということについて、その理由を考えてみたい。

「なぜ自分はまだ死んでいないのだろうか?」
これに対する答えもまた、大きく二つある。
一つは、生きたいという「意思」によるもの。自分は、生きたいから生きている。生きたいという思いが、死にたいと