岩崎夏海さん のコメント
このコメントは以下の記事についています
今、オリンピックに反対している人がいるけれども、これは相当にまずいと思う。というのも、オリンピックを楽しみにしている人も多いのだが、そういう人はたいてい目に見えない、声を上げにくい弱者なのだ。そういう弱者がささやかな楽しみとしてオリンピックの観戦を心待ちにしていた。日本人の活躍に勇気をもらおうとしていた。そういう人たちに冷水を浴びせかけているのが、オリンピック反対論者なのだ。
『もしドラ』がヒットした2010年に『甲子園だけが高校野球ではない』という本を出すことになって、そのキャンペーンで甲子園大会が開かれている最中の甲子園球場へ行き、甲子園の前のスーパーの催事場で、中継番組のテーマ曲を歌っている西浦達雄さんと販促イベントをさせていただいた。そのとき、西浦さんがしみじみと仰っていたことが、とても印象に残っている。
西浦さんは、毎年そこで歌を歌われているのだが、障害者の子たちがよく通るのだそ
『もしドラ』作者の岩崎夏海です。このブロマガでは、主に社会の考察や、出版をはじめとするエンターテインメントビジネスについて書いています。写真は2018年に生まれた長女です。
全くその通りです。現代は、「弱者」が強いという特徴があるといえます。ぼくは、弱者が強者の振りをしてさらに勝とうとすることは、問題がなくはないとは思いますが、まあそれも仕方ないなと思う部分もあります。彼らはたいてい勝者と言っても弱い勝者で、いつ敗者に回るか分からず、その不安の中でそういうふうに振る舞っているという側面があるからです。実際、弱者を装う人々というのは、経済的に今は潤っていますけど、将来の見通しは暗い、という人が多いです。ただ、そこで許せないのは、その矛先が目に見えない弱者、声を上げられない弱者、例えばオリンピックのファンなどに向かうことです。また、自分は弱者だ、と装うのは許せますが、「弱者を助ける」などと、救済者を装うのは許せません。そういう、本当に一線を越えてしまった人々が、ここ数年で一気に増えたように思います。
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