ハックルベリーに会いに行く
マンガの80年代から90年代までを概観する:その43(1,761字)
人間というものは、自分が生まれつきできる得意なことを、他人ができなくてもなんとも思わない。例えば、生まれつき工作の得意な大工は、弟子が不器用でも、「才能がないんだな、かわいそうに」で済ませてしまう。こういう親方は、えてして有能な弟子を育てる。
ところが、自分も生まれつきそれができず弱点としていたものを、後になって克服した人は、その同じ弱点に苦しんでいる他者を見ると、強烈な怒りに駆られる。いっそ憎悪を抱く。あるいは、強い差別心を抱く。
生まれつき不器用で失敗ばかりしていた大工が、後にそれを克服して大成した場合、弟子が不器用だと強烈に怒る。「なんでできないんだ!」と、ほとんどいじめのようにしごく。こういう親方の元では、弟子はなかなか育たない。この構造は、人間関係の最も難しい点の一つだ。
ぼくの場合も、これが当てはまる。ぼくの場合は、頭が悪くて苦労をしている人を見ても、「ああ、かわいそうだな」と
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