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人間というのは不思議なものだ。人の少ない集落では、住民同士必ず挨拶を交わすが、たくさんの人が住んでいる都会のマンションだと、挨拶を交わさないようになる。隣家の人の顔さえ知らないという人も多い。
これは都会が「冷たい」からではなく、むしろ「暖かい」からだ。というのも、挨拶は必ずしも相手を信用しているときにするものではないからである。むしろその逆である。相手を信用していないときに、挨拶は発生する。
例えば、都心のマンションに住んで隣家の人の顔も知らず、廊下ですれ違っても挨拶しない人でも、必ず挨拶するところがある。それは「登山道」だ。登山道で向こうから見知らぬ人が来ると、どんなに無愛想な人でも挨拶をする。特に、向こうから屈強な男性が来ると挨拶をする。
なぜかというと、「恐い」からだ。山道で襲われたらたまったものではないから、襲われないことを確認するために挨拶するのだ。そうして登山道では、それが必
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