ぼくは一時期カメラの骨董的なレンズ(オールドレンズという)にハマったことがあって、取り分け「アンジェニュー(angenieux)」というフランスのメーカーの25mmのものが好きだった。これで動画を写すと、画面の周囲になんともいえない魅力的な「歪み」が発生し、それがまさにフランス映画みたいでかっこいいのだ。


アンジェニューはもともと映画撮影用のレンズメーカーだった。だから動画を撮るのに向いているということもある。それで近年、動画用のカメラが安価になり、利用者が増えたことで、俄然注目を浴びるようになったのだ。

面白いことに、「カメラ」というのは日進月歩で、古いものを使っている人はほとんどいない。ところが「レンズ」はそうではない。古いもの――それこそ半世紀以上前の骨董品でも、今でも十分使えるのだ。そのため、中古価格が下がらない。

その中で、製造数が