岩崎夏海さん のコメント
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これを語る人はほとんどいないが、その理由の一つに「共依存」がある。共依存の関係にあるから、ブラック企業の経営者は、従業員に無理強いすることにためらいがない。ブラック企業の経営者は、むしろそれを良かれと思ってやっている。 言うなれば、ある種の「DV」のようなものである。「DV」というと、暴力を振るう側に一方的な理由があるように思われがちだが、実際はそうではない。DVは、受ける側にも理由がある場合がほとんどだ。 実際、DVをする人の中には、「暴力が嫌い」というケースもある。しかし彼らは、家庭では暴力を振るう。なぜか? それは、暴力を振るわれる側が、それを「誘って」いるからだ。 暴力を誘う人が、この世には存在する。どういう人かというと、自分に自信のない人だ。そして、自信を持ちたいと願っている人である。この世界に居場所のない人で、居場所をほしいと願っている人、アイデンティティを確立できないから、それを確立したいと願っている人である。 これだけなら別に何の問題もないが、その一方で、怠惰な人でもある。同時に、その怠惰な自分を嫌ってもいる人だ。自分が怠惰であることと折り合いがつけられずに、自己嫌悪を抱いている人。もっと言えば、自罰的な人だ。自分を罰したいと願う人である。そういう人が、暴力を振るわれることを誘ってくるのである。 しかしもちろん、「ぶって!」とSMプレイのようにお願いするわけではない。その「誘い方」は、もっと高度で、もっと複雑な形で為される。続に言う「誘い受け」のような形で為されるのだ。
『もしドラ』作者の岩崎夏海です。このブロマガでは、主に社会の考察や、出版をはじめとするエンターテインメントビジネスについて書いています。写真は2018年に生まれた長女です。
タランティーノの「ジャンゴ」という映画を見たのですが、黒人を奴隷としてこき使う悪い白人が出てくるのですが、その白人に協力して黒人をおとしめる悪い黒人も出てくるんですね。「奴隷頭」というらしんですが、ブラック企業の経営者って、この映画に出てくる「白人」よりも、この「奴隷頭」の方に似ていると思うんです。だから、なかなか難しいというか。一番悪いのは、もちろん「白人」たる我々「消費者」なので、何とも言い難いところがありますね。
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