• このエントリーをはてなブックマークに追加

岩崎夏海さん のコメント

userPhoto
岩崎夏海
>>9
これからの本は、超高付加価値でない限り売れないような気がします。
つまり、もうこれまでの本とは呼べないようなものになる必要があるのかもしれませんね。
No.11
139ヶ月前
このコメントは以下の記事についています
「もしドラ」という作品は、いくつもの偶然が積み重なって実現したプロジェクトであるが、ぼくは不思議と「奇蹟」という気が全くしない。そればかりか、それはある種の「必然」のようにさえ思える。かっこよく言えば「運命」か。「もしドラ」は、売れるべくして売れた。そのために書き、そのために、考えられるあらゆる策を講じてきた。 だから、それが売れたからといって、ぼくに大きな達成感があるわけではなかった。もっと言えば、喜びのあるわけでもなかった。それは、ただただホッとした気持ちだった。 喩えていうなら、イチローが200本安打を打つようなものだ。それは、とても大変なことだではあるが、しかし到達可能な目標であり、もっといえば一つのノルマのようなものでもある。だから、それを達成した瞬間には、快感よりも、ホッとした気持ちの方が先に立つのだ。 「もしドラ」が売れた後も、それまで出版すらしたことのない人間が生意気かもしれないが、ぼくにはホッとした気持ちの方が大きくて、喜びというのはほとんどないのだった。それは、達成する前から200万部売れるということを広言していたから、それが果たせて胸をなで下ろしたということもあったろう。 しかし、そんな「もしドラ」のプロジェクトの中にも、実はただ一つだけ、「奇蹟」のような瞬間というのがあった。そしてそれは、ぼくの人生の中においても、比肩するもののないくらい大きな喜びの瞬間でもあった。 それは、けっして大げさな表現ではなく、ぼくがこれまで生きてきた中で、最も欲していた瞬間かもしれなかった。ぼくがクリエイターを目指し、本を書いたことの、最もプリミティブな動機かもしれなかった。ぼくは、その瞬間を味わうために作家になったし、その瞬間のために生きてきたのかもしれなかった。 それは、2009年8月のことであった。 
ハックルベリーに会いに行く
『もしドラ』作者の岩崎夏海です。このブロマガでは、主に社会の考察や、出版をはじめとするエンターテインメントビジネスについて書いています。写真は2018年に生まれた長女です。