「スター・ウォーズ」は、史上最も成功した映画シリーズだ。中でも取り分け最初に作られた「エピソード4」は重要だ。この「4」の成功があったからこそ、シリーズ全体の成功もあったのだ。

ところで、「スター・ウォーズ」シリーズは、作者のジョージ・ルーカスが神話学者のジョーゼフ・キャンベルと、彼の著作「千の顔を持つ英雄」に影響を受けて作られた作品だ。ジョーゼフ・キャンベルは、世界中の神話を研究し、その中に共通の物語構造を見出した。それを実例を紹介しながら読み解いた本が「千の顔を持つ英雄」なのだが、ルーカスは、これを参考にしながら「スター・ウォーズ」を練り上げたのだ。

そのため「スター・ウォーズ」は神話的要素に満ちている。登場人物から世界観、ストーリー展開に至るまで、「千の顔を持つ英雄」に紹介されていたさまざまな神話が引用されている。おかげで「スター・ウォーズ」は、今ではこの作品そのものが一つの神話ともなったくらいだ。
だから「スター・ウォーズ」を見ることは、そのまま神話を経験することにもつながるのである。そこで今回は、「スター・ウォーズ」の何が神話的で、それがなぜ人々の胸に響くのかという観点から、この映画を論じてみたい。