岩崎夏海さん のコメント
このコメントは以下の記事についています
去年、年間の自殺者が15年ぶりに3万人を下回ったそうだ。そのことを、良いことと見る向きがほとんどだが、ぼくはそれに違和感を覚える。なぜなら、ぼくは自殺を悪いことだと思っていないし、自殺を止める必要もないと思っているからだ。自殺はとても自然で、当たり前のことである。今日はそのことについて書く。
『もしドラ』作者の岩崎夏海です。このブロマガでは、主に社会の考察や、出版をはじめとするエンターテインメントビジネスについて書いています。写真は2018年に生まれた長女です。
人生最後の日を自分で決めるという考え方には反対です。そもそも、多くの人は自分という概念をそこまで突き詰めていないので、よく分かっていないのです。ちょっとでも自分とは何かということを考えると、他者との境界線が見えなくなります。それでおいそれと自分とは言えなくなるのです。
単純な例を一つ申しましょう。よく女性誌などに新陳代謝を促しましょうという記事が出ていますが、新陳代謝というのは古い細胞を積極的に殺せということで、古い細胞とは則ち自分です。女性誌は詰まるところ自分を殺せと言っている。うんこも自分の一部です。自分はどこまで自分なのでしょうか?食べた鶏肉はいつの時点で自分になるのでしょう?それは科学では絶対に解明できない問題です。この先どれだけ医学が進歩しようと、人の正の瞬間や死の瞬間を規定することはできません。それはグラデーションだからです。生と死は連続している。昼と夜が連続しているように。自分と他者も連続しているのです。それが分かると、自分というのはずいぶんといい加減な存在なのだなと言うのが分かります。
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